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354: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 22:37:52.30 ID:5+fbzMw2O.net
遅くなった。 
今からシャワーを浴びたら書きます。 

362: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:23:31.62 ID:5+fbzMw2O.net
みんなありがとう。 

続き 
こんな時って眠れないもんなんだな。 
体は仕事で疲れてるんだけどさ。 

俺さ小学の時はいじめられてたんだよ。 
て言っても悪質なやつじゃないんだけどな。 


 

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とりあえずクラス全員から嫌われてた。 
家が貧乏で母ちゃんがいなかったから。 
親父が爺ちゃんぐらいの年ってこともあったんだと思う。 

363: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:24:32.49 ID:5+fbzMw2O.net
それである日、クラスの女子が買ってもらったばかりの
手提げカバンがなくなったってなった。 

校庭のドブで見つかったんだけど、 
クラスの奴等は俺を非難したんだ。 
「お前んち貧乏だからだろ?」 
「最低ー」 

みたいな感じで。 

364: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:25:45.36 ID:5+fbzMw2O.net
誰かが先生にチクって、職員室で説教された。
当然親父も呼び出されたわけだけど。

親父は俺に「お前が本当にやったのか?」
って聞いてきた。

俺「してないよ」
俺の目をしっかり見て、

親父「そんなことうちの息子がやるわけない。

あんたら教師まで疑うのか?
ふざけるな」
っていつも穏やかで温厚な親父が、ムキになって怒りだしたんだ。

365: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:27:08.85 ID:5+fbzMw2O.net
だからその時、親父が職員室で暴れて警察が来たことは、
本当に自分が生きてて申し訳ないって気持ちになった。
子供ながらにな。

帰り道親父が俺の手を引っ張って言ったんだ。
親父「俺!!
父ちゃんはお前のこと信じてるからな。

父ちゃんは絶対にお前がやってないって分かってるんだ。
あんな恥ずかしい姿見せてごめんな」

366: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:28:47.63 ID:5+fbzMw2O.net
そんな親父を見たの初めてだったよ。
正直驚いた。

でも俺は疑われても仕方なかった。
すぐむかついたら、クラスのやつをぶんなぐって泣かしてたし。

クラスで買ってたカメを、勝手に池に逃がしたりしたことがあって、
それをクラス全員に責められて暴れたこともあった。

本当に問題児だったんだ。

367: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:32:09.03 ID:5+fbzMw2O.net
俺「オレ悪いことしてばっかだよ。
みんなに疑われてもしかたないんだ。

何で父ちゃんは俺のこと信じるの?
本当に俺がやってたらどうすんの?」

親父「父親が息子信じなくてどうする!」

いつも強がってた。悪ガキぶって泣いたら負けだと思っていた
俺も、さすがに泣いてしまった。
その言葉で十分救われたんだ。
親父は俺の頭をクシャクシャして。

368: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:33:25.77 ID:5+fbzMw2O.net
親父「泣きたい時は泣けばい。
悔しいだろうけど、悪くないなら悪くないって言い続けろ。悪いことしたらちゃんと謝れ。」

昔の記憶がよみがえる。
俺は眠るハルの髪をクシャクシャしながら、
父親の俺が息子を信じなくてどうすんだって、独り言を呟いた。

朝がきて、俺はハルをおぶって仕事場に向かった。
ハルを置いて仕事に行くのが不安だったからだ。

369: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:35:19.44 ID:5+fbzMw2O.net
アルバイトが会社に子供を連れてくるなんて、前代未聞なのは分かってる。
社長に事情を説明すると、
現場は駄目だから事務に置いていくならいいと言われた。
理解がある人で本当に助かったよ。

370: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:36:48.51 ID:5+fbzMw2O.net
事務員さんによろしく言って現場作業に出た。

昼は会社に戻ってハルとコンビニ弁当を食べた。
ハルは嬉しそうに食べてた。
俺もハルのそばにいて安心できた。
お利口にしてたみたいだし。

事務員「この子めちゃくちゃ可愛いね。

将来イケメンだわw」
息子を誉められて悪い気はしないもんだ。

作業が終了すると、社長がみんなでご飯に行こうと誘ってくれたので、
その言葉に甘えることにした。

371: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:39:46.00 ID:5+fbzMw2O.net
社長行き着けの居酒屋に入り「好きなもん食え」と言われた。

ハルは人が多いせいか少しグズっていた。

社長に酒をすすめられたけど、ハルもいるので断った。

帰宅したのは少し遅い時間になった。
ハルは俺の背中でぐっすり眠っている。
ハルを起こさないよう、静かに家に入る。

373: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:40:45.63 ID:5+fbzMw2O.net
リビングに灯りがついていたので、
遅くなりました。とだけ伝え部屋に入った。

ヒロシおじさん「俺くんちょっといいかな?」
戸を少し開けヒロシおじさんが顔を出した。
少し険しい表情に、何かあるなと感じた。

374: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:42:13.22 ID:5+fbzMw2O.net
リビングのソファーに腰を掛け対面するも少し沈黙が続いた。

何か言い出しにくそうにしていたので、
俺「あの…昨日はすいません。
奥さんの服汚れちゃったみたいで。」
俺から話しをふった。

ヒロシおじさん「いや…いいんだよ。
そんなこと気にしなくても」
相変わらず気まずい雰囲気だ。

375: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:43:14.83 ID:5+fbzMw2O.net
ヒロシおじさんは仕事用の鞄から、
パンフレットのようなものを出してテーブルに置いた。

ヒロシおじさん「これなんだけど…」

俺に見やすいように、そばに近づける。

自立支援相談?
サッと目を通した。

376: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:45:29.44 ID:5+fbzMw2O.net
俺「すいません。
迷惑かけますがもう少しだけ待って下さい。
すぐ家を探して出ていきますんで。」
思い出したくない過去が脳裏をよぎる。

ヒロシおじさん「いや、そんなつもりで言っているんじゃないよ。
本当に心配なんだ。」
見え見えだ。
早く出ていけ、面倒はごめんだと顔に書いてある。

379: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:49:43.29 ID:5+fbzMw2O.net
俺「本当に迷惑かけてすいません…」
部屋に戻って先程のパンフレットをもう一度見た。
少し手が震えている。

俺にはトラウマがあった。

381: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:52:36.51 ID:5+fbzMw2O.net
俺がガキの頃、
親父が現場仕事で大怪我をした。

入院した親父と俺に残されたのは借金だけだ。
勿論家賃が払えず今にも追い出されそうな勢い。

毎日借金取りが家に来ていたのは言うまでもない。

382: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:53:37.18 ID:5+fbzMw2O.net
一人家で留守番状態の俺は、
布団を被り嵐(借金取り)が過ぎ去るのをずっと待っていた。
そしてとうとう奴等が来た。

児童相談所の職員だ。
俺はすぐ養護施設に入れられた。
親父が迎えに来るまでの1年間すごく辛かったのを覚えている。
当時6歳だった。

383: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/15(火) 23:59:24.81 ID:5+fbzMw2O.net
あの日ハルを保育園に迎えに行った
俺なら、迷わず施設に入れていかもしれない。
育てていく自信なんてなかったからな。

でも今は違うんだ。
父親になるって決意した。
何があってもこいつを守るって決めた。
それはもう揺るがないものになってる。

短い時間だけど、ハルと過ごして沢山何かをもらった。
何かを感じた。
今ハルは、俺にとって掛け替えのない宝物なんだ。
どんなことがあっても手放さない。
どんなことがあっても。。。

俺はパンフレットを丸めてゴミ箱に捨てた。

384: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:00:24.45 ID:7uhA5R94O.net
次の日、
同じようにハルを連れて仕事に出た。
お金は少しはできたけど十分とは言えない。
とりあえず働かなきゃな。

作業中何度も携帯が鳴った。
気になったので不在着信を確認。
カズエおばさんからだ。

俺はすぐに電話をかけ直した。

385: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:03:33.88 ID:7uhA5R94O.net
俺「もしもしおばさん。
どうした?」
「あの…
私サキです」
電話に出たのはヒロシおじさんの娘のサキだ。

俺「どうしたんすか?」
サキとは家で顔合わすだけで話したことはなかった。

サキ「おばあちゃん昨日入院したんですけど…」
昨日は遅く帰ったし、ヒロシおじさんから何も言われてないので知らなかった。

サキ「おばあちゃんが俺さんに会いたいって。
今から病院にこれますか?」

386: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:04:37.09 ID:7uhA5R94O.net
電話を切ると、社長に理由を話し少しの時間抜けさせてもらうように頼んだ。
俺はハルを連れ病院に向かった。

病室に入ると、カズエおばさんと横にはサキが座っている。
俺が会釈すると、

サキ「ハルちゃん。
私が見てます。」
と言ってハルの手を引き病室を出ていった。

387: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:06:00.97 ID:7uhA5R94O.net
俺「おばさん大丈夫?」
カズエおばさん「大丈夫よw
ただどうも胸が苦しくてねw」
カズエおばさんは思っていたより元気そうだった。

カズエおばさん「わざわざ呼び出してごめんねw

当分家には帰れそうにないんだ。」
俺「うん」

390: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:07:07.24 ID:7uhA5R94O.net
カズエおばさん「サキちゃんいい子でしょ?
昔からおばあちゃん子でねw

お見舞いにきてくれるのはあの子だけよ。」
今日電話で話したのが初めてなんだが、想像してたのとは違ったのは確かだ。
世間話を簡単に済ます。

391: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:08:19.71 ID:7uhA5R94O.net
カズエおばさん「ごめんなさいね。
私のせいでハルちゃんに辛い想いさせて。

俺ちゃんにも心配させた。
どうしても謝りたかったの。」
カズエおばさんは涙を流しながら俺に謝ってきた。
俺に謝ることなんて何一つないのにだ。

とてつもない迷惑かけてる、本当は俺の方が謝らないといけない。

392: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:10:24.24 ID:7uhA5R94O.net
俺「おばさん。
俺のことは心配しなくていいから。
早く元気になってよ。」
おばさんがありがとうと言いながら枕元から封筒を出した。

カズエおばさん「これ使って。
これで家を借りてハルちゃんと二人で暮らしなさい。

今の状態では何もしてあげられないからね。」
そう言って現金の入った封筒を俺に渡した。
中味は確認してないけど、かなりの金額だった。

俺「おばさんありがとう。
でも俺大丈夫だからw
もう家も見つけたよ。

おばさんのおかげでハルとやっていけそうだ。
だからこれはいらないよ。」
俺はその封筒をおばさんに返した。

393: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 00:15:06.99 ID:J3diCumJ0.net
強がるなよぉ‥

396: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:16:52.52 ID:7uhA5R94O.net
嘘をついたけどこれで良かったんだ。
本当に助けてもらってばかりだ。
気持ちだけで十分。胸がいっぱいになった。
これ以上何かしてもらうなんて罰が当たると思った。


病室を出てサキからハルを預かった。
俺「迷惑かけたっすね」

サキ「ハルちゃん本当に可愛いw
弟にしたいw」
俺「ありがとう」

397: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:17:56.91 ID:7uhA5R94O.net
そう言って帰ろうとすると、
サキ「あの、すいません。

母がごめんなさい」
と言ってきた。

サキ「ハルちゃん悪戯なんてしてませんから。

私知ってるんです。教科書も服も母が自分でやったんです。
本当にごめんなさい。」
教科書は部屋に置いていて、ハルが手に届くはずがない。
服もヨシノおばさんのお気に入りだったらしい。
そんなものをハルが悪戯できるような場所に置いているはずがにいと言うことだった。

398: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:19:35.85 ID:7uhA5R94O.net
俺「はい。
こっちも。

受験で大変な時期に迷惑かけて。」
そう言って病院を出た。

何故ヨシノおばさんがそんなことするのか理解に苦しんだ。
まあ俺とハルが邪魔で仕方なかったんだろう。

俺の腹は今にも煮えくり返りそうだった。
俺はその脚でカズエおばさんの家に向かった。
黙って家に入り荷物をまとめた。

399: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:24:51.83 ID:7uhA5R94O.net
ヨシノおばさんがリビングにいるのが見えたので、勢い良く扉を開いた。
おばさんはびっくりした顔でこちらを見ている。

俺「お世話になりました。
もう出て行くので。

ヒロシおじさんにもお伝え下さい」
強い口調で言って深々と頭を下げた。

401: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:26:39.38 ID:7uhA5R94O.net
ヨシノおばさん「えっ?あ?
そうなの。

愛想なくてごめんなさいね。
何もしてあげられなかったけど元気でね。」
白々しいやつだ。

俺「もし…
もしこれから外であんたと出会って、もしハルが悲しむようなことがあったら。

何が何でも絶対に許さないっすから。」
と捨て台詞を吐いて家を飛び出した。

その時の俺どんな顔してたんだろうな。
相当怒ってたし恐かったと思う。

402: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 00:27:29.95 ID:90od9UcB0.net
これは高性能クズだわ

403: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:28:49.83 ID:7uhA5R94O.net
いつの間にかあの時の公園に来ていた。
辺りは暗がり始めてる。
ハルは公園に入るなりハシャいで滑り台を滑り始めた。

その姿を目で追いながら茫然として立ち尽くしていた。
針でチクチク刺さるように胸が痛くて苦しくなった。
病気とかじゃなくてな。
何でかって?
それはハルを少しでも疑ったからだ。
すぐに信じてやらなかった。

本当はヨシノおばさんが悪いとかじゃないんだ。
文句垂れられながらも住まわせてくれていたんだし。
ただの八つ当たりじゃないか。

405: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:35:31.64 ID:7uhA5R94O.net
何よりも悪いのは、父親である俺がハルを信じなかったことだ。

俺はハルを怒りのまま怒鳴ってしまった。ハルは怒ってたけど、
あの時ハルは本当に俺に怒っていたのかもしれない。
何で信じてくれないのって。

俺は本当にグズだよな。ハルごめん。本当にごめん。
自分の不甲斐なさに嫌気がさす。

砂場で遊ぶハルに詰め寄り強く抱きしめた。
今にも涙がこぼれ落ちそうだったけど、グッと我慢してこらえた。

ハル「パッパーもうイタいー?」
俺「痛くないよ。
悲しいだけ」
ハル「いたくないにょー?」
俺「うんうん」
ハルはまた嬉しそうに滑り台によじ登った。

408: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:37:53.74 ID:7uhA5R94O.net
すまん。
レス少ないけど今日はこれぐらいで寝ます

409: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 00:39:56.94 ID:+DyiRd5j0.net
お休み、気長に読むわ!

410: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 00:42:04.17 ID:pWEiI2tb0.net
毎日ありがとー、お疲れ!

412: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 00:43:50.75 ID:nQoOW5Ot0.net
>>408
おつ
さっさと終わらせてほしい

社長には少しの時間って言ってるのにばっくれてんじゃん

415: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/16(水) 00:53:30.73 ID:7uhA5R94O.net
みんなありがとう。
色々な意見、指摘もな。

>>412
続きに経緯を書くからスルーしてくれ。

ハルのこの時の年も気になってると思うが、
追々書くんで見ててくれると助かる。

すまん。
ではおやすみ

422: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 05:07:48.47 ID:kO2CKzK60.net
頑張れトーチャン

427: 名も無き被検体774号+ 2014/07/16(水) 07:00:33.38 ID:QjssNvub0.net
続き、楽しみに待ってます
おつかれさま


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470: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 00:43:06.24 ID:x6B3BH20O.net
今日は少しで申し訳ないが書きます 

続き 
携帯のバイブで仕事を途中で抜け出していたのを思い出した。 
しまった。 
やはり社長からだ。 

俺「すいません。 
連絡せずサボっちゃいました。」 

クビになることは間違いない。社会人失格だよな。 

472: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 00:46:58.44 ID:x6B3BH20O.net
社長「おい俺! 
心配したぞ。 
何やってたんだ?」 
俺は社長に今日の出来事を全て話した。 

社長に今すぐ会社に来るよう言われた。 
会社にはもう社長以外誰もいない。 
当然なんだが。 

ソファーに恐い顔で座る社長。 

473: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 00:48:59.80 ID:x6B3BH20O.net
俺「本当にすいません。 
申し訳ありませんでした」 
怒られても仕方ない状況。 
謝るしかない。 
せっかく雇ってもらったのに、いい加減な自分を呪った。 

社長「おい俺? 
飯食ったか?」 
俺「いやまだ。」 
社長「よし。 
なら飯行くぞ」 

何も言ってこなかったが、
この状況と社長の太い声がマッチして妙に凄みを感じた。 

そして俺とハルは社長に連れられ定食屋に入った。 

475: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 00:50:36.76 ID:x6B3BH20O.net
最近は不景気だとか、奥さんがうるさくてかなわないって話を社長は淡々としてきた。 
まるで何もなかったように、 
仕事をサボった事には何もふれてこなかった。 
その時は変に緊張したよ。 

俺「すいません。 
やっぱり俺クビですよね?」 

社長「ん? 

バカか。 
クビにはしねーよ。 
さっさと食って行くぞ。」 

俺「はい…」 
クビにならないと聞いて少し安心した。 
ハルにご飯を食べさせて店を出た。 

476: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 00:52:47.40 ID:x6B3BH20O.net
みんなありがとうな。感謝。 

続き 
社長に車に乗るよう言われたので車に乗った。 
社長は何も話さない。 
車内は無音で、シーシーと社長が口に入れた爪楊枝の音だけが聞こえた。 
ハルはウトウトしている。 

俺「あの…どこ行くんすか?」 
口を開かない社長に、黙ってついていくことにした。 

477: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 00:53:56.42 ID:x6B3BH20O.net
車が来たことないアパートの前に停まると、付いて来るように言われた。 
そのアパートの一室を開けると、 
社長「ここ使え」 
と社長が言ったんだ。 

俺「どう言うことっすか?」 

社長「ここわ俺が嫁と喧嘩した時に使う別宅だ。 

お前に貸してやる。」 

478: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 00:55:22.52 ID:x6B3BH20O.net
最初は社長の言葉を理解出来ず、いまいち状況が掴めなかった。 
でもそう言うことなんだ。 
俺は社長の親切に思わず泣いてしまった。 
俺「クッ… 
本当にいいんすか…?」 

社長「あーいいよ。 
家具も使っていい。 

その代わり家賃はもらうぞ。」 

481: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 00:56:23.73 ID:x6B3BH20O.net
俺「すいません…エグッ 
本当に…ありがとうございます…エグッ」 
本当に嬉しかったんだ。 
やっと住む家が出来たってこともなんだけど、何より社長の優しさが痛い程伝わった。 

社長「バカ野郎。 
大の男が泣くな。 

そんな泣き虫で子供なんて育てられねーぞ」 
俺「はい…エグッ」 

484: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 01:01:59.43 ID:x6B3BH20O.net
俺「何で他人の俺なんかに…ここまでしてくれるんすか…?」 

だってそうだろ? 
まだ一月も働いてないバイトなんだぞ俺は。 
信じられなかった。 

485: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 01:05:12.28 ID:x6B3BH20O.net
社長「アホ。 
他人じゃねーだろ? 
お前はうちの従業員だ。 
お前は若いのに根性もあるしよ。俺は買ってるんだよ。 

それに、一緒に汗かいて一緒に飯食ってんだろ? 
もう俺の家族みたいなもんなんだから面倒みてやるのは当たり前じゃねーか。 

それと礼なら山下に言え。 
あいつお前のことも、お前のガキのことも心配してたからな。 
クビにしないでくれーって頼んできやがってよw 
最初からクビにするつもりもなかったけどなw」 

486: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 01:06:11.63 ID:x6B3BH20O.net
何から何までお世話してもらった。 
せっかくもう泣かないって決めてたのにな。 

社長に礼はいらないから仕事で返せと言われ、
明日はゆっくりしろと言われ1日休みをもらった。 

488: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 01:08:19.47 ID:x6B3BH20O.net
俺は今まで大人が嫌いだった。まあ俺も大人なんだけどな。 
信用できるやつもいなかったし、
他人からこんなに優しくされたことなんてなかった。 

佐々木先生やカズエおばさん。社長や山下さん、みんなが俺なんかに優しくしてくれる。 
今まで人生を損して生きてきたんだなって思った。 

この人達は見返りも求めずに俺に優しくしてくれた。 
本当に信用できる人達だ。出会えたことに感謝したい。 

グズな俺は、こう言う人達とのであいのおかげで、
少しずつ成長できたんだと今は思う。 

489: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 01:09:45.26 ID:x6B3BH20O.net
俺は一人で生きていけるなんてずっと強がってたんだよ。 
でもそうじゃないって分かった。 
まわりに助けられ、支えられ、こうやって生きていけてるんだと気付かされた。 

それとハル。 
ハルが何よりも俺を強く支えてくれてるんだって思うんだ。 
もう一人じゃない。 
ハルの存在は大きい。 
こいつがいるんだから生きていける。 
そう思った。 

少しボロでワンルームの小さな部屋だったけど、
俺とハルには十分すぎる部屋だった。 

490: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 01:13:23.72 ID:x6B3BH20O.net
翌日、俺とハルは電車に乗って買い物に行った。 
天気も良く朝からハルは上機嫌だ。 

ハル「でんさー?」 
俺「うん電車。 
次のに乗ろうな」 
ハル「でんさーのるーwキャッキャッ」 
楽しそうにするハルを見て少し幸せな気分になった。 

491: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 01:18:07.40 ID:x6B3BH20O.net
生活用品を買おうと色々見ていると、
いつの間にかハルが何かを抱きかかえて歩いていた。 


俺「どうしたそれ??」 
ハル「でんさー?」 
どこで見つけたのか、ハルはおもちゃを持っているようだ。
でも、電車のおもちゃと思ってバスのおもちゃを間違って持っているようだ。 

俺「それバスだw」 
ハル「ばすー?」 
俺「うん。電車はこっちな?」 
と言っておもちゃ売り場にある電車のおもちゃを見せた。 

492: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 01:20:10.17 ID:x6B3BH20O.net
ハル「いやーー」 
大きな声。 
どうやら電車より大きなバスのおもちゃを気に入ったみたいだ。 

そう言えばハルにおもちゃなんて買ってやったことないな。 
普通の父親らしいこともしてあげたことない。 

そのバスのおもちゃを買ってあげることにした。 

493: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 01:21:33.33 ID:x6B3BH20O.net
帰りの電車、ずっとバスのおもちゃを大事そうに抱えるハル。 

ハル「でんさーw 
でんさーwフンフンフンフン♪」 

家に帰る前公園の砂場で一緒に遊んだ。 
山作ったり、穴掘ったり。ハルはバス走らせたりして。 
ハル「でんさーw 
でんさーのるーwキャハ」 
まだバスを電車だと思ってるんだ。 
その笑顔がたまらなく愛おしかった。 

494: 名も無き被検体774号+ 2014/07/17(木) 01:22:24.93 ID:IE8XdJrb0.net
楽しいひとときにホッとするぜ 

495: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 01:22:57.47 ID:x6B3BH20O.net
なんだかこうやって、何も考えず二人でゆっくりしたのは初めてかもしれない。 
満たされた気持ちになった。 

俺もハルも泥だらけだ。 

俺「ハル?風呂行くか?」 

ハル「おぷろいやー」 
ちょっと怒るハル。 

部屋に風呂がなかったので、ハルと近くの銭湯に行った。 
ハルはすごく風呂嫌いなんだけど、初めての銭湯にはしゃいでた。 

496: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 01:24:37.67 ID:x6B3BH20O.net
二人で一つの布団に横になる。 
ハルは今日買ったバスをしっかり抱いて寝てた。 
遊び疲れたんだろう。 
穏やかな寝顔だ。 
初めて買ってあげたおもちゃ。相当気に入ったみたいで俺も嬉しかった。 

ここはもう俺とハルの家なんだ。 
ようやく落ち着けたことに安堵した。 
これからは少しずつだけど、家庭らしい家庭を作ってやろう。ハルのために。 

498: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 01:26:28.92 ID:x6B3BH20O.net
今日まで色んな出来事があった。 
何度も挫けそうだったけど、ハルの存在がいつも俺を助けてくれた。 
なんとかやってこれたんだな。これ以上下はないだろうってくらいの底辺を味わったけど、 
でももう大丈夫だ。 
そうだよな? 

俺は自分に言い聞かせるようにして目を閉じた。 

こんな小さなことが、こんなに幸せに思えるなんてな。 
ずっとこの幸せが続いたらいいなと切に願った。 

でも、これからが俺にとってもハルにとっても
本当に大変になることを、この時はまだ知る由もなかった。 

499: 名も無き被検体774号+ 2014/07/17(木) 01:27:23.62 ID:K2eHANVB0.net
まだ大変になんのかよ・・・ 

ハルタソ〜 

500: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/17(木) 01:28:38.39 ID:x6B3BH20O.net
今日はここまでにします。 
遅くまで待っててくれた人達ありがとう。 
そして本当にすまん。 
もう休ませてもらいます。 

501: 名も無き被検体774号+ 2014/07/17(木) 01:29:28.83 ID:K2eHANVB0.net
おつかれ 
ゆっくりやすんでくれ 
明日も頑張ろうな! 

505: 名も無き被検体774号+ 2014/07/17(木) 01:33:26.56 ID:jN4ruPSk0.net
文章読み易い。 
支援 



最後まで書き終えてほしい。 

557: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 00:53:00.89 ID:+vWUIxCFO.net
すまん書きながらいつの間にか眠ってしまってた。 
ずっと一緒さって歌聞いてたらついつい泣いてしまうんだ。 
で寝るパターン。 

とりあえず中途半端ですまんが少し書く。 

558: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 00:53:56.62 ID:+vWUIxCFO.net
「中度の自閉症ね。」 
そう告げられた。 

新生活を始めて、2ヶ月が過ぎようとしていた。 

今俺は児童精神科のある、医療機関に来ている。 

俺「すいません。 
俺バカなんでよく分かりません。 

ちゃんと説明してもらえますか?」 

話しは1ヶ月前にさかのぼる。 

560: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 00:54:56.10 ID:+vWUIxCFO.net
佐々木先生「ハルちゃんのお父さん。 
明日は参観日ですが、来れそうですか?」 

俺「はい。 
大丈夫です。休みもとってあるんで」 

仕事も順調で、ハルも保育園に通い始めた。 
明日は参観日と言うことで、前もって仕事も休みをもらっていた。 

佐々木先生「ハルちゃん良かったねーw 

パパ来るってw」 
ハル「パッパーw 
パッパーw」 

561: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 00:56:01.66 ID:+vWUIxCFO.net
1日保育園でのハルを見れると言うことで楽しみにしてた。 

参観日の日、 
ハルは俺がいることでもあって少し落ち着きがなかった。 

朝の挨拶から始まり、散歩、給食、お昼寝、お遊戯と言う感じで進行していく。 

ハルは俺のところに何度も来て。 
ハル「かえどー。 
かえどー。」 
と言って手を引っ張ってきてた。 

その度先生が来て連れ戻していく。 
佐々木先生「ハルちゃんまだ帰らないよーw 
みんなでお歌唄おうねw」 

562: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 00:57:18.19 ID:+vWUIxCFO.net
俺が保育園に来るのは、送り迎えの時だけだから仕方ないことなんだけど。 

1日があっという間に終わった。 
けど俺は何かモヤモヤしたものが残ったんだ。 

まわりが帰宅準備をする中、俺は佐々木先生に声をかけた。 
俺「先生ちょっとお話出来ますか? 

ハルのことで」 

563: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 00:59:49.91 ID:+vWUIxCFO.net
園児全員が帰宅した後、教室で佐々木先生と話すことになった。 

ハルは楽しそうに積み木で遊んでいる。 

佐々木先生「すみません。遅くなって。 

で、お話ってなんですか?」 

俺「あの?その? 
ハルなんですが…」 
何て聞けばいいのか考えながら、 
俺「みんなハルと同い年ですよね? 

ハルってまわりの子達と比べて、 
ちょっと違うような気がするんす。 

見た目とかじゃなくて…」 
何て言っていいのか分からない。 

564: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:00:47.57 ID:+vWUIxCFO.net
佐々木先生「成長がですか?」 
そうだ。それだ。 
俺「そ、そうです」 

佐々木先生「お母さんから何も聞いてないんですか?」 
俺「えっ?はい…」 

サリナが知っていたこと。俺は殆ど家に帰ってなかった。
知らないことなんて山ほどある。 

俺「聞いてないって言うのは?」 
佐々木先生「お母さんがお家からいなくなる前に、 
そう言う話ししなかったですか?」 

566: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:03:22.58 ID:+vWUIxCFO.net
俺は佐々木先生に、サリナがいなくなるまでの期間、ずっと家に帰ってなかったことを話した。 

佐々木先生「そうだったんですね…」 

俺「ちょっと引きますよね。 

本当すんません」 

佐々木先生「謝らなくていいです。 

ハルちゃんは、確かにまわりの子より成長は遅いですよ…あっ!」 

567: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:04:51.49 ID:+vWUIxCFO.net
佐々木先生は何か思い出したように、手帳を机に出した。 

佐々木先生「たしか… 
あっ来月の4日に児童精神科の検診がありますよ。 

ハルちゃんの。 

私も同伴するつもりだったから、その時にきちんと話しましょう。」 

568: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:09:24.09 ID:+vWUIxCFO.net
この時のハルは3歳だった。 

今までハルが普通で当たり前に成長してると思てったんだよ。 

でも、参観日で見た回りの子達は、ある程度言葉を理解し、ある程度会話が出来てた。 
オムツも取れ、当たり前のことを当たり前にしてたんだ。 
でもハルはそれとは違う。 
同じ3歳の子達と比べてあきらかに成長が遅れてた。 

570: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:10:27.08 ID:+vWUIxCFO.net
俺はハルのために頑張ってたつもりだ。 
でも本当にそうなんだろうか? 
結局自分の為だったのかもしれない。 

だって息子の成長が遅いことに気付かない親なんていないだろ。 
どんだけ無関心なんだって言われてもおかしくない。 

572: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:11:28.43 ID:+vWUIxCFO.net
佐々木先生は誤解をまねくといけないから、
きちんと専門家に説明してもらってほしいと言ったけど、毎日モヤモヤしていた。 

男の子は女の子に比べて成長が遅いと聞いことがある。
そんな感じなのかなと少し軽く考えてた部分もあった。 

それでももし何か大きな病気で、
今後ハルの将来に障害があるのならと、考えるだけでやりきれない気持ちになる。 

それなりの覚悟は必要だと思った。 

573: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:12:42.75 ID:+vWUIxCFO.net
当日、地域にある医療機関にハルを連れて行くとに。 
佐々木先生とは現地で合流した。 

そして検診が始まる。 
ハルをおもちゃで遊ばせたり、身体検査などをした。 
その後専門の先生が 
俺と佐々木先生に普段のハルの様子を質問してきた。 

574: 名も無き被検体774号+ 2014/07/18(金) 01:12:55.64 ID:fH3K6gdM0.net
3歳ならしっかりしてくるよな 
会話を楽しんだり、積み木とかで遊んだり 

575: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:14:12.85 ID:+vWUIxCFO.net
先生「中度の自閉症ね」 

先生は50前後の眼鏡をかけたおばさんだが、どうやらこの分野では名のある人らしい。 

俺「すいません。 
俺バカなんでよく分かりません。 

ちゃんと説明してもらえますか?」 

一言自閉症と言われても、俺の頭じゃ理解できない。 

先生「発達障害よ。」 

俺「発達障害?」 

前回サリナが来ていたらしく、 
その時に自閉症と診断されたらしい。 
先生は俺がハルの自閉症を初めて知ったことを知り、1から説明してくれた。 

577: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:16:03.25 ID:+vWUIxCFO.net
俺「でも、 
だからって普通の子じゃないわけじゃないっすよね?」 

先生「これから先、どう成長するかはまだ分からないの。 

でもね、これからもっとまらりの子達と差は離れて行くわよ。 
それがどう言うことか、お父さんも理解していかないといけないわ」 

途中から、先生の話しが耳に入ってこなかった。 

578: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:17:01.88 ID:+vWUIxCFO.net
俺は放心状態だった。 

先生「次は半年後ね。 
その時のハルちゃんの様子を見て、これからの進路を決めていきましょ」 


佐々木先生「お父さん大丈夫ですか? 
元気だして下さい。」 
検診が終わると、そう言って佐々木先生は保育園に戻っていった。 
帰り、院のそばの公園でハルを遊ばせ、
まだボーっとする頭を整理する為ベンチに座り込んだ。 

579: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:18:17.59 ID:+vWUIxCFO.net
俺「ふぅー」 
何ヶ月ぶりだろう。辞めていた煙草で一服する。 

ハルは楽しそうに滑り台で遊んでいる。 

先生の言葉を思い出していた。 
先生「ハルちゃんを叱ったり否定したりしちゃ絶対に駄目よ。 

ハルちゃんはそれだけで傷つくの。」 

俺は何度もハルを怒鳴ってきた。 
初めて二人で過ごした夜も、カズエおばさんの家で悪戯したと思った時もだ。 
ハルにはそれが何でか分かってないのにな。 
ただ傷つけただけ。 
きっと辛かっただろう。 

580: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:20:44.75 ID:+vWUIxCFO.net
先生「あまり遠くに行ったり、知らない場所に連れて行くのも駄目よ。 

不安でパニックになって辛いだけだから。」 

先生の一言一言が胸に突き刺さる。 

ずっとずっと連れ回してた。 
その度泣いたり叫んだりしてたのを覚えている。 

ハルのそ時の気持ちを少しでも気づいてやれなかった。 
俺はハルにただ辛い想いばかりさせていたんだ。 
本当にグズだ。 

俺は下を向き、頭の中で何度も何度も先生の言葉を思い出した。 

最低な父親だ。 

582: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:25:20.38 ID:+vWUIxCFO.net
自分を責めるしかなかった。 
どれだけハルを苦しめてきたかを考えると、胸が張り裂けそうだった。 

「お父さん大丈夫ですか?」 
誰かが優しく背中をさすってくれた。 
佐々木先生だ。 

佐々木先生「やっぱり心配になって、 
戻ってきちゃいましたw」 
優しい笑顔で俺に話しかけてくれた。 

583: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:27:44.68 ID:+vWUIxCFO.net
俺「大丈夫です…」 

するとハルが近づいてきた。 
ハル「パッパー、イタイの?」 
俺の事心配してくれてるのかな。 
その純粋な瞳に心は打ち砕かれた。 

俺はボロボロ涙を流した。 
人前なのに恥ずかしさなんてぶっ飛んでた。 

俺「ハルーごめんな。 
パパ最低だなー。」 

俺はハルを強く抱きしめる。 

584: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:29:54.71 ID:+vWUIxCFO.net
佐々木先生「落ち着いて下さい。 
ハルちゃん苦しいですよ」 

俺「俺のせいなんす。 
俺が全部悪いんす」 
俺はただただ泣いた。叫んで。 

何もかも俺のせいなんだ。 
ハルがこうなったのも、ハルが辛い想いしてきたことも。 

これからだってそうだ。 
大きくなって自分がまわりと違うことに気づいた時に、きっとハルは傷つく。 

俺がグズでロクなやつじゃないから、 
ハルがこうなってしまったと思ったんだ。 

ハルがあまりにも可哀想じゃないか… 

585: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:31:52.81 ID:+vWUIxCFO.net
俺は一生分泣いたんじゃないかってくらい泣いた。 

その時は、自分への怒りとか後悔とかで泣くしかなかったんだよ。 

先生は何も言わず、落ち着くまでずっと背中をさすってくれていた。 
ハルは俺の横にちょこんと座り頭をヨシヨシしてくれていた。 

587: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:32:48.37 ID:+vWUIxCFO.net
俺「恥ずかしいとこ見せてすいません…」 
ようやく落ちついた。 
泣きすぎたってのもあるけど、何だか少しスッキリしてた。 

佐々木先生「いいえ。 
男の人がこんなに泣くの見るの初めてかもですw 
ハルちゃんもだよねー?w」 
ハル「ねーw」 

佐々木先生「お父さんのせいじゃないですよ。 

先生も言ってたでしょ? 

生まれ持った性格だって。 
それにハルちゃんにはお父さんしかいないんですよ。」 

588: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:33:59.32 ID:+vWUIxCFO.net
俺「分かってます。こんな駄目な奴が父親で大丈夫なんすかね?」 

佐々木先生「わたし初めてお父さんと会った時、正直本当にお父さん? 
って思ったんですw 
なんかチャラいなーって。 

他の園児のパパって、雰囲気とか面構えとかでパパって分かるんですけどね。 
お父さんは全然そう見えなかったです。」 

590: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:35:30.41 ID:+vWUIxCFO.net
俺「……」 

佐々木先生「でも、今のお父さんはパパですよw 
パパの顔してますwあの時のお父さんとは全然違う。 
見違えましたよ」 

俺「ありがとうございます…」 

佐々木先生「それにハルちゃんだってきっと幸せですよ。 

お父さんが守ってくれてるから。 

お迎えに来る時に見せる笑顔なんか、本当に幸せそうに見えます。」 

591: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:37:17.12 ID:+vWUIxCFO.net
俺「はい…」 

佐々木先生「だから頑張りましょ。 
わたしも協力します。 

ずっとハルちゃんが笑顔でいられるだけで十分じゃないですか? 
ハルちゃんはハルちゃんです。 
今まで通り愛してあげたらいいじゃないですか?」 

そう言われハルを見た。 
ハルは大好きなラムネを頬張り満面の笑みだ。 

また涙が零れた。 
佐々木先生の言葉に救われた。ハルの笑顔に救われた。 

先生が言ってたな、ハルちゃんを可哀想なんて思っちゃいけないって。 

592: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:41:02.61 ID:+vWUIxCFO.net
本当そうだ。 
可哀想なんて思う俺は父親失格だ。 

どんな障害があってもハルはハルだ。 

俺はハルには俺みたいな大人になってほしくないと思っていた。 
将来自分の夢を持って、それを叶えてほしいと考えていた。 

でもそんな先のことどうだっていいじゃないか。 

どんな未来でも、ハルがただ笑顔で過ごせれば。 

今のこの笑顔を失わないために俺が頑張ればいいんだ。 
今以上に愛情をそそげばいいんだ。 

何があっても、 
絶対にこの笑顔を守ろう。 
そう誓った。 

593: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:49:03.39 ID:+vWUIxCFO.net
それから少しずつだけど、俺も変わっていった。 

料理を始めた。 
料理なんかしたことなかったけど、 
ハルの為にちゃんとした物を食べさせたかった。 

サリナの親に会いに行き、 今までの事を含め謝罪しに行った。 
最初はすぐ追い返されてたけどな。 

何度も土下座した。 
許してくれるまで何度も通った。 

ハルのおじいちゃんおばあちゃんなんだ。 
少しずつだけど心を開いてもらえるようになった。 

ハルが可愛くて仕方ないらしい。 
和解とまではいかないが、これからはハルのために協力すると言ってくれた。 

594: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/18(金) 01:49:54.58 ID:+vWUIxCFO.net
すまん。 
限界がきたので寝ます。 
いつもみんなありがとう。 

595: 名も無き被検体774号+ 2014/07/18(金) 01:51:14.62 ID:vthVu/lh0.net
1かっこいいな。ありがと、ゆっくり休んでな 

600: 名も無き被検体774号+ 2014/07/18(金) 02:17:44.82 ID:2IYMHp6l0.net
がんばれ! 
めっちゃ楽しみにしてる! 

620: 名も無き被検体774号+ 2014/07/18(金) 12:07:10.84 ID:euUoXdgW0.net
まさかの展開なんだが… 
こればかりは誰も悪くないよな 

毎日楽しみにしてます 
1は本当におつかれさま! 

653: 名も無き被検体774号+ 2014/07/19(土) 18:00:40.66 ID:ywTmWPyk0.net
一気に読んで涙とまらんかった 
私も色々あり小さい子ども抱えて半ホームレスしたけどその時を思い出した 
うちの息子も2才半だけどまだ二語三語文しか話さない 
これ昔の話かもしれないけど、ハルくんが今元気で楽しくやってるならそれで良い 

>>1さん大変だろうけどお互い頑張ろう 


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674: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 04:37:11.78 ID:LwQCgtEKO.net
すまん昨日はこれなかった。 
みんな色々レスありがとう。 
変な時間に目が冷めちまったので続きを書いて行きます。 

675: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 04:40:18.99 ID:LwQCgtEKO.net
ハルと過ごす初めてのクリスマス、 
小さなツリーにショートケーキにロウソク。 

ハル「おたんじょーび?おたんじょーび?」 
と言って喜んでいたハル。 

クリスマスだけど、ハッピーバースデーの歌を唄ったのを覚えている。 

すごい喜んでたよ。本当。 

676: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 04:41:33.71 ID:LwQCgtEKO.net
正月にはサリナの実家やカズエおばさんに挨拶に行った。 
カズエおばさんは退院して元気そうだった。 

ハル「こににちわ」 
義母「こんにちわねw 

上手ねーw」 
ハルは元気に挨拶出来て誉められてた。 
ずっと練習してたんだ。 
出来て良かった。 

677: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 04:42:51.54 ID:LwQCgtEKO.net
進級すると、ハルの為に園が個別で一人先生をつけてくれる事になった。 
その際には佐々木先生が名乗り出てくれたらしく、担当が佐々木先生になった。 

ハルも佐々木先生に懐いてたし、本当に良かった。 
で、感謝もした。 


休みの日が合えば、佐々木先生の進めで
発達障害などのサークルや集会に行くようになった。 

色んな問題を抱えた親子さん達が集まり、情報交換をする。 
本当に勉強になったし、勇気を貰えて支えにもなった。 

678: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 04:43:55.93 ID:LwQCgtEKO.net
初めて尽くしの一年だったな。 

ハルは4歳になった。 
いつもと違う道を通ったり、 
自分のうまくいかないことがあればすぐ奇声をあげ発狂してたけど、
抱きしめてあげて背中をトントン。 

先生「ハルちゃんの中ではちゃんとした計画があるの。 
それを崩さないように。 

コツコツゆっくりでいいのよ」 
と児童精神科の先生。 

ハルにはハルの中で強いこだわりがあるんだ。 
だからこだわりを否定してはいけない。 
ハルの気持ちを尊重することが大切なんだ。 

679: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 04:44:54.18 ID:LwQCgtEKO.net
毎日仕事を終わってハルを寝かせたら、
少しでも育児に生かせたらと思い専門の本なんかを読んで勉強した。 

ハルは耳で聞くより目で見たものを判断する。 
だから絵のカードを作って教えてあげたんだ。 

俺「電車だよ」 
ハル「でんさー?」 
俺「そうそう 
じゃこれはりんごね」 
ハル「じんごー?」 
俺「そうそう 
賢いねハルは。 
上手ーw」 
ハル「じょずーw」 
悪魔で真似してるだけだけど、それでもうんと褒めてあげるんだ。 
ハルはすごく喜んで手をパチパチさせる。 

680: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 04:45:54.01 ID:LwQCgtEKO.net
これをずっと続けていくようにした。 

最近は少しずつだけど俺の言葉にちゃんと反応し理解してくれ、
ままならない口調で返事してくれるようになったんだ。 
すごい進歩だ。 

毎週日曜日に行く、日課の散歩のおかげでもあった。 
散歩に行くと子供達が良く集まる公園がある。 

681: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 04:47:01.58 ID:LwQCgtEKO.net
ハルは人見知りをしないが、やはりおかしな行動をする。 
一緒に遊びたくて近づいてるんだけど、
まわりのお父さんお母さんなんかが、気味悪がってわざとハルから遠ざけるんだ。 

ただ仲良くしたいだけなんだよな。 
少し悲しい気持ちになったけど、それは仕方のないことだと割り切った。 
その時に、ハルと良く遊んでくれた女の子がいたんだ。 

683: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 04:48:09.15 ID:LwQCgtEKO.net
まいちゃん。 
ハルより二つ上なんだけど、とてもしっかりしてた。 
ハルは小さい子のマネをすぐするので、 
まいちゃんはすごく頼りになった。 

まい「ハルちゃんまいと遊ぼうねw 
まいのお菓子半分あげるねー」 
って。ハルもまいちゃんにすごく懐いてた。 

684: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 04:49:07.06 ID:LwQCgtEKO.net
毎日悪戦苦闘はしてたけどさ、本当に幸せだった。 
我が子の成長を肌で感じながら、自分も成長出来てるみたいで。 

1日1日を大切に過ごした。 
ハルにとってかけがえのない1日であるよう一生懸命に。 

あっという間にハルは5歳になった。 

そんなある日、事件は起きた。 

685: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 04:52:27.04 ID:LwQCgtEKO.net
俺「ハルが帰ったってどう言うことですか?」 

今日は佐々木先生が風邪で休みってこともあり、
臨時で別の先生がハルについていた。 

先生「ハルちゃんお母さんが迎えに来ましたよ。」 

1時間も前に帰ったとのこと。 
サリナが? 
心拍数が上がる。 
俺はすぐ携帯で義母に連絡した。 

686: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 04:54:09.05 ID:LwQCgtEKO.net
俺「ハルが保育園にいないんす。 

もう帰ったと言われました。 
サリナだと思う。 
連絡ありませんでしたか?」 

半年前からサリナの携帯番号が変わっていた。 
そのせいでこちらから連絡は出来ない。 

687: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 04:55:15.10 ID:LwQCgtEKO.net
義母「あの子から連絡ないわよ。 

わたしも探すわね。すぐお父さんにも連絡いれる」 

俺「すんません。 
助かります。 

俺も心あたりのある場所を探しますんで」 

何故今。 
何故このタイミングなんだろう。 
俺はサリナが行きそうな場所を探した。 
前住んでいたアパート。公園。スーパー。 
不安が募る。 

688: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 05:00:00.63 ID:LwQCgtEKO.net
もしかしてもうこの街にはいないかもしれない。 
ハルにもう会えない。 

最悪の状況が頭をよぎる。 
俺はその不安を振り祓うように探し続けた。 

サリナがいなくなって2年が経つ。 

ハルを返してくれ。 
そして、 
サリナに会ってもう一度話したい。 

サリナも人の親なんだ。 
ハルを置いていなくったとは言え、こうしてまた会いにきた。 
きっと思うところもある。 

複雑な気持ちが入り交じる中、
俺は駅やショッピングモールなんかを虱潰しに探した。 

689: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 05:02:59.78 ID:LwQCgtEKO.net
途方に暮れる俺。 

いつかこんな日がくるかも。 
そう心の中で少しは思ってたじゃないか。 
でもこんなに早くその日がくるなんて。 

サリナ「ハルが大きくなったら、また3人でこようね?w」 
昔のサリナの言葉を思い出した。 

690: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 05:05:12.83 ID:LwQCgtEKO.net
春は桜が満開。 
秋は紅葉で彩る。 
地域にある記念公園。 
あそこかもしれない。 

時間が経ちすぎてあたりは暗くなっていた。 
最後の希望はそこしかない。と、そう思い夢中で走った。 

691: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 05:07:16.02 ID:LwQCgtEKO.net
俺「ハァ… 

ハァハァ…」 
汗だくで酸欠状態だ。 

ギィーコ…ギィーコ。 
「キャハハハハw 
キャハハハハw」 
ハルの笑い声が聞こえる。 

街灯に照らされた二人の姿を見つけた。 
ブランコに乗るハル。 
それを押していたのはサリナだ。 

693: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 05:08:53.26 ID:LwQCgtEKO.net
俺「ハァ…ハァ…」 
ゆっくりと近づく俺。 

サリナ「久しぶり。」 
そこには優しい笑顔でハルと遊ぶお母親の姿があった。 
俺に気付いたサリナはすごく冷静だった。 

俺「ハァ… 
もう…会えないかと思った…ハァ 
ハルにも…お前にも…ハァハァ」 

サリナ「ハル、随分大きくなったね。 

本当に大きくなった。」 
サリナはハルの頭を撫でながら俺とは目を合わせない。 

694: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 05:10:27.28 ID:LwQCgtEKO.net
ハル「パパァー」 
ハルが俺に気付いて笑顔で走り寄ってきた。 

俺は、またハルをこの手で抱きしめれた事に少し安心した。 

俺「ずっと… 
ずっと待ってた… 

お前ともう一度会って話したかった… 
あの日記ですごく救われたんだ…」 

695: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 05:13:02.97 ID:LwQCgtEKO.net
ハルが自閉症だと診断を受けてすぐ、
佐々木先生からサリナが毎日日記をつけていた事を教えてもらった。 

俺は前のアパートにそれを取りに行ったんだ。 
家財は全てなくなっていたんだけど、大家さんが処分に困っていたと、
日記や母子手帳なんかを入れた箱をとっておいてくれたんだ。 

696: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 05:14:17.66 ID:LwQCgtEKO.net
その日記には、 
ハルが産まれてサリナがいなくなる一週間前までが記されていた。 

そこには、俺の知らないハルの成長と、サリナの気持ちがたくさん書かれていた。 

ハルが離ニュウ食を食べた日。 
ハイハイからつかまり立ちをした日。 
健康診断にひっかかた日。 
自閉症の疑いがあると告げられた日。 

俺が会社をクビになったこと。 
俺が帰らなくてなったこと。 
連絡すらとれなくなったことまで全部だ。 

697: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 05:16:15.44 ID:LwQCgtEKO.net
でもその日記には、喜びや不安は書いてあったけど、微塵も不満や嫌みは書いてなかった。 
そこには優しくてたくましい、ただ息子を愛する母親の姿を感じた。 

なのにだ。 
なのに何故ハルを置いていったのか。 

ずっと疑問だった。 

698: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 05:18:59.98 ID:LwQCgtEKO.net
申し訳ないが今日はここまで。 
続き今日書けたら書きます。 

後書く必要はないかもなんだけど、 
ハルは道路の白線をずっと睨み付け行き来したり、
戸を開け閉めするのが好きだったよ。 
電気を付けたり消したりね。 
後はつま先だけで走ったり気になった物があれば、
ずっとそれとにらめっこしてたり。 

700: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 05:20:26.48 ID:LwQCgtEKO.net
散歩が好きだったから、2時間3時間歩くのは当たり前だったな。 
こだわりの強い子だったのに俺がその時は気づかなかった。 
それが普通の子供だと思ってたし。 
結構クセはあったけどそこは端折らしてもらったよ。 

最初は思い出したかったのと整理したかったってので書き始めたんだよ。 
後誰かに聞いて欲しかったってのもある。 

今はこうやって見てくれて共感してくれる人もいて、
また親になってる人も見てくれてて。 
本当に感謝。 
だから最後まで書こうと思ってる。 

703: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 05:23:05.22 ID:LwQCgtEKO.net
生意気言うが、 
あったことを思い出して書いてるんだが、
多少美化してるところは否定しない。 

後は実話かどうかってのは個人で判断してくれ。 

707: クズ ◆ZST.gXlq96  2014/07/20(日) 05:49:39.11 ID:LwQCgtEKO.net
みんなありがとう。 
またきます 

709: 名も無き被検体774号+ 2014/07/20(日) 06:35:30.45 ID:1Ln/9C2I0.net
読んでるぞ 

続き楽しみにしてるよ 


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引用元 クズの俺が父親になった話