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1: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 19:43:22.04 ID:2leCnqmBi
俺は今20歳、ニート、学校には通っていて友達もいたし、
高卒だが就職もしていた、
しかし色々あったが簡単に言うと
信頼していた人に裏切られこの有様だ。
まあそれはどうでもいいが、
ネトゲのアップデートが長過ぎる。
定期メンテで延長、延長、延長、ついに20時間を突破した。


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2: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 19:44:48.48 ID:2leCnqmBi
仕方ないからVIP+にクソスレでも立てるか、
スレタイはそうだな…「暇、助けろ」
いい感じにどうでもいいな、スペックでも晒してみる。
20歳♂
172センチ
53キロ
ニート
案の定働けと叩かれるか、
ニート仲間から擁護されるか、まあいつもの感じだ、
そんな中いつもの感じじゃないやつが一人いた。
そいつは「俺が助けてやるよwww」
って言ってる。

3: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 19:45:49.20 ID:2leCnqmBi
オレ
「どうやって?」

そいつ
「とりあえず会おうぜ!」

オレ
「出会い厨かよwwww」

そいつ
「そうだよwwwいいから
 ここにメールしろよ ◯×△□@yahoo.co.jp」

俺は暇だったし、
たまに釣られるのも悪くないと思いメールしてみた。
「釣れますか?」
するとすぐに返信がきた
「お前2週間くらい外出できない?」


「いきなりすぎだろ、しかも2週間とか長過ぎだろ」

そいつ
「だよなwwwじゃあ一回会おうぜ、俺墨田区に住んでるんだけど」


「まじかよ、オレ曳舟なんだけど」
そいつ
「まじ?俺向島なんだけど」

驚いた、こんなに近くにいたとは。
チャリでおそらく10分かからないだろう。
結局曳舟のヨーカドーに入ってる
ドトールで待ち合わせすることにした。

4: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 19:46:44.01 ID:2leCnqmBi
とりあえず一番安いコーヒーを頼んで入口に近いところで待ってみる。
7分程経った頃、それっぽい人が来た。
服装は、でかい目玉のパーカーを着ているといっていた、
なるほどわかりやすい、
そいつに手を振ると近づいてきた。

そいつ
「ニート?」


「失礼だな、そうだよwww」

初対面なんだが珍しくあまり緊張しなかった。
お互い軽く自己紹介。
そいつ(以後カトウ)は小柄で童顔だった、
年上の女性にもてそう、かわいーって感じで。
ホモスレじゃないよ

カトウもコーヒーを頼んできた。
そしてちょっと話してみる。
カトウはスケボーやスノボーが趣味らしい。

5: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 19:47:09.78 ID:oJ8/KzNK0
みてるぜ

6: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 19:48:03.97 ID:2leCnqmBi
カトウ
「冬になったらスキー場行こうぜ!」

「えー、転けるじゃん」

カトウ
「それがおもしろいんだよ、
 頭から突っ込んで抜けなくなったときはマジで爆笑したわwww
 連れに出してもらったんだけど耳の穴と
 鼻の穴に雪詰まってて連れも爆笑してたよwwww」

まあカトウと一緒ならいいかな、
と思っている自分がいることに気づいた。そんで


「じゃあいいとこ連れてってよ」
カトウ
「お!まかせとけ!」

7: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 19:48:34.62 ID:2leCnqmBi
数年振りに予定が決まった瞬間である。
それからもよくカトウと会って遊んでいる。
カトウはバイクに乗っていてよく後ろに乗せてもらっていた。
ネトゲはあまりやらなくなっていた。
そろそろアカウント消そうかな。
カトウは19歳で、学校に通っていた。
靴を作る学校だそうだ。
将来は自分の工房を持ちたいんだそうだ。

8: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 19:50:53.24 ID:2leCnqmBi
そして7月になったとき、カトウからメールが送られてきた。
「2週間くらい外出しない?」
カトウが最初にメールで送ってきたやつだ。

最初にカトウにあったのが4月の中ば、
カトウとはかなり仲良くなってたと思うし、
カトウが居れば大丈夫だろう、っていう安心感があった。


「たぶん大丈夫だよ、どっか旅行?」

カトウ
「まあそんな感じかな」


「どこいくんだ?」

カトウ
「長野のほうだよ」

長野か、行ったことないしいいかも。

「じゃあ予定決まったら教えて」
カトウ
「了解!」

10: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 19:52:19.34 ID:2leCnqmBi
2日後にカトウからメールが来た。
カトウ
「7月15日から31日って大丈夫?」

「大丈夫だよ」

カトウ
「オッケー、とりあえずお前ん家行くわ」


「はいよー」

10分後、カトウが来た。

カトウ
「おーす」


「おーす」 
カトウ
「お邪魔しまーす」

どうでもいいがカトウは挨拶がきちんとできるやつだ。

カトウ
「じゃあ7月15日から長野の農家に行くから」

どうでもいいがカトウは突拍子もないことを言い出すやつだ。


「はぁ?」

カトウ
「大丈夫、楽しいから!」


「無理無理!、大変だし迷惑かかるって」

カトウ
「農家にはもう話してあるよ、
 ヒョロヒョロだけど大丈夫ですか?って」


「なんて言ってた?」

カトウ
「笑ってた、んで大丈夫だって」


「覚悟を決めるか…」

カトウ
「ちなみにかわいい子が居るよ」


「先に言えよ…覚悟を決めたぜ…!」

11: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 19:53:17.39 ID:BeewS9qQ0
期待

12: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 19:55:19.50 ID:2leCnqmBi
そして持ち物を書いた紙を渡された。
・歯ブラシ ・着替え ・作業着 ・カメラ ・長袖上着 ・早寝早起き


「サンキュー」

カトウ
「昼間は暑いし夜出発でもいい?14日の夜6時くらい」

「大丈夫だよ」

カトウ
「了解、たぶん3.4時間で着くと思う」


「おっけー」

15: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 20:10:09.71 ID:2leCnqmBi
そして出発当日の夜、カトウから電話が来た。

カトウ
「家の前着いたぜー、準備できてるか?」

「すぐ行くわ」

俺はドキドキしながら外に出た、
不安とワクワクの入り混じった感覚だ、
こんな感覚は何年振りだろう。

カトウ
「よし、行こうか!」


「おう!」

16: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 20:28:12.22 ID:6dqHE8OpO
アルバイトでピンハネか

17: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 20:33:20.72 ID:ffOErqiI0
大学の先輩にカトウさんって男の人がいて
その人が夏休みに長野の農家で短期バイトしてたの思い出したわ
レタスだかキャベツを朝からずっと収穫し続けるって言ってた

18: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 20:50:44.68 ID:S4HKV8UM0
みてるぞ

19: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 20:55:53.80 ID:2leCnqmBi
バイクに跨がり、エンジンをかける(カトウが)。
明日はどんな日になるのだろう。
早起きできるかな、そんなことを考えながら夜の道を走る。

途中何度か休んだり夕飯を食べたりしながら走り続ける。
そしてとある駅についた。
時間は9時20分前、目的地はもうすぐのようだ。
そして9時40分頃、到着。綺麗な家だ。洋風の建物、
日本家屋を想像していた俺はちょっと意外だと思った。

20: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 20:58:45.01 ID:2leCnqmBi
チャイムをならすとバタバタという足音がいくつか、
カトウは扉を開けて入る。
おいおい待たないのかよと心の中でツッコミながら、

カトウ・俺
「お邪魔しまーす」

玄関で待っていたのは母娘弟の3人、
俺はたじろぐが、みんな優しそうでちょっと安心。
カトウは何度か来たことがあるようで慣れた感じだ。

21: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:09:29.32 ID:2leCnqmBi
とりあえず簡単に挨拶してお土産渡して風呂入らせてもらって、
ケツがが痛かったのもあるし今日はすぐ寝ることにした。
俺たちはすぐに眠りに着いたようだ。

そして目が覚めると5時45分。
1階に降りると娘が朝食を作っていた。

22: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:10:01.39 ID:2leCnqmBi

「おはようございます」


「あ、おはよーございます、よく寝れました?」


「こんなに爽やかな目覚めは初めてですww」


「それは良かったですwww」


「じゃあカトウ起こして犬の散歩行ってきますね」


「はい、お願いしますね」

23: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:10:41.70 ID:2leCnqmBi
中々の滑り出しじゃないか?
とか思いながら俺はカトウを起こし、
頼まれていた犬の散歩に出かけた。
外にでると自然がすごい、葉っぱが濡れてキラキラしている。
空気もひんやりしていてとても気持ちが良い。
説明が下手すぎて申し訳ない、実際行けばよくわかる。
犬は黒い色で、やたらモフモフしていた。
リードを繋いだ瞬間ダッシュする。
俺は情けない声を出しながら必死で犬を止めた。
カトウは眠そうにしながらニコニコしている。
散歩コースは家の周りの道をぐるっと回るようなコースで、
1周15分程だ。

24: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:11:31.81 ID:2leCnqmBi
散歩を終えるとテーブルに朝食が並んでいる。
トースト、サラダ、目玉焼き、牛乳。うまい。
朝食を食べ終え、
作業着に着替えると6時45分くらいになっていた。
7時に畑に来るように言われていたので、
長靴を履き、帽子を被って出発する。

畑に着くと娘の父と母がキャベツの収穫していた。
(これからは父→吾郎さん、母→夏美さんと書きます。)

25: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:12:05.41 ID:2leCnqmBi
カトウ・俺
「おはよーございまーす!」

吾郎さん・夏美さん
「おはよー!」

カトウ
「よし、やろうぜ!」


「なにすればいいんだ?」

カトウ
「とりあえず箱詰めされてるやつをトラクターに詰むか」


「了解!」

これがなかなか重い、
1箱だと余裕だが2箱になるとちょっと持てない。
一方カトウは2.3箱まとめて運んでいる。
俺も負けじと2箱に挑戦するが足元がおぼつかない。

26: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:12:47.68 ID:2leCnqmBi
カトウは笑いながら無理すんなー!って言っている。
まだ先は長いしここはカトウの言う通りにしようと思った。
その代わり1箱をなるべく早く積むようにした。
ちなみにキャベツにはサイズがあって、
サイズごとにうまく積むのはちょっと頭を使う。

27: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:13:23.01 ID:2leCnqmBi
そんなこんなで箱詰めされたものは積み終わり、
カトウは包丁でキャベツを収穫し始め、
俺は箱詰めされたものを運ぶことになった。
箱詰めにもコツがいるらしく、
サイズを見極めたりしなければいけないみたいだ。
俺にはまだ早いかな。

28: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:14:19.72 ID:2leCnqmBi
そして8時ころにトラクターが一杯になった。
120箱くらい積んであるそうだ。

カトウは吾郎さんと出荷に行ったので、
俺は夏美さんに教わりながらキャベツを収穫させてもらった。

包丁を使って切るだけなんだがなかなか難しい。

夏美さんは2回切るだけで箱詰めできる状態にできるのだが、
俺は3回4回切らないとその状態にはできない。

29: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:15:16.56 ID:2leCnqmBi
そんな感じで収穫していると、
トラクターが帰って来たので第二弾開始だ。

その日の収穫が終わったのは日が
完全に登った9時40分頃だと思う。

そこで少し休憩。売り物にならない小さ目のキャベツをくれた。
(といっても地元のスーパーで見かける物より大きい)
味付けもせず丸かじり。

30: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:16:19.99 ID:2leCnqmBi
これがとれたてキャベツか、
みずみずしくてほんのり甘味を感じる、
俺はそのままキャベツ一玉完食した。

今日の出荷はこれで終わりらしい。
午後は他の畑に行って草取りやネットを張ったりした。

朝はとても涼しく、
少し肌寒いくらいだが昼間はさすがに暑いし、
太陽がなんだか近い気がする。

汗だくになりながら作業する。
最初はなんでこんなことになってんだ?
とか思ってたけど気づいたら黙々と草を抜いてた。

畑がきれいになると達成感も得られてなかなか楽しい。

31: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:17:00.28 ID:2leCnqmBi
夕方の5時くらいに娘が迎えに来てその日は終了になった。

夕方の犬の散歩もおわらせる。
もうクタクタだ、とりあえず風呂に入る。

これが超絶気持ち良い、湯船に浸かったとき、
思わずア゛ーって言ってしまった。

風呂から上がり、夕飯を食べる。
最初の日はカレーだった。
これもマジでうまい、無言でひたすら食べる。
2回おかわりした。

32: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:17:37.03 ID:2leCnqmBi
ひと段落ついて農家一家とおしゃべりの時間。
夏美さんはちょっと天然な感じでおもしろい、
娘はその遺伝だろう、
ちなみに娘は19歳で弟は小学3年だそうだ、
弟はまだ8時過ぎなのに眠そうにしている。

経緯は覚えてないが夏美さんの
「社長と呼べー!」という一言で
夏美さんのあだ名が社長になった。
そんな感じで10時前くらいになったので寝ることにした。

33: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:18:18.64 ID:2leCnqmBi
次の日の朝、俺は激痛で目が覚めた。
カトウがニヤニヤしながら俺の腕や足を叩いてる。

カトウ
「おう、おはようwww」


「おはよう、知っててやってるだろ」

カトウ
「次の日に筋肉痛がくるのって若い証拠らしいよ、
 良かったじゃんwww」


「」

カトウ
「まー怒るなって、明後日くらいには筋肉痛も治ってるってww」


「だといいな…」

34: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:18:38.00 ID:2diuGAZv0
夏目漱石読んでるみたいだな。
文才あるぞ。

35: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:18:57.39 ID:2leCnqmBi
そして1階に降りるのだがこれが辛い、
しかし娘が笑って見てる、うーん、アリですね。

そして犬の散歩に出かける。
今のところ人生最悪の犬の散歩となった。

ヒィヒィ言いながら散歩を終わらせ、
朝食を食べる。うん、うまい。

そして時間になったので畑に向かう、
まともに運べるのか心配だ。

36: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:20:16.91 ID:2leCnqmBi
畑に着くと吾郎さんがニヤニヤしながら
無理しなくていいぞー!って言ってる。

俺は負けず嫌いな性格で、全然大丈夫です!
余裕です!と言ってしまった。吾郎さんは笑ってる。

カトウ
「よしやるか!」


「お、おう!」

2日目ということもあり要領はわかってきている、
だが体が動かない、もう全身筋肉痛だ。

帰りてー…とか思ってると、
カトウが「40箱運んだら楽になるよ」と言ってきた。
俺は半信半疑のまま40箱目指して運び始めた。

最初はめちゃくちゃ痛かったが、
だんだん慣れてきたのか本当に痛くなくなってきたようだ。

37: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:23:00.32 ID:2leCnqmBi
そしてその日もなんとか出荷を終えた。

出荷が終わったあと吾郎さんに
「中々根性あるなー!」と言われたのが素直に嬉しかった。

その日の午後は、天気も悪かったので
倉庫で出荷用の箱を作る作業だった。

変な機械に箱を通すとテープを貼ってくれるので、
それを積み上げていくというもの。
これはかなり楽しい。

倉庫にあったレールとかを使って
勝手に箱が流れていくようにしたりして遊んでた。
途中で弟も来て、カトウと弟は走り回りながら箱を積んでいった。

俺は筋肉痛だったので箱を流す係り

38: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:23:47.55 ID:2leCnqmBi
その日はそんな感じで終了。
その日の夕方にイベント発生。

吾郎さん
「俺君って免許もってる?」


「はい、ありますけど」

吾郎さん
「じゃあちょっと娘迎えにいってくれない?」


「え、マジですか、どこですか」

吾郎さん
「駅までなんだけどさ、道かるでしょ?」


「来るときに通ったのでだいたいわかりますけど…」

吾郎さん
「じゃあよろしくねー」

39: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:24:55.74 ID:2leCnqmBi
そう言って吾郎さんは俺に鍵を渡し、
何処かに出かけていってしまった。

俺は迷ったら困ると思いカトウも誘った。


「カトウー、駅まで行かない?」

カトウ
「えー、行けないわー」


「なんで?そういえば社長は?」

カトウ
「俺は弟と遊んでないと、社長は買い物行ったよ」

俺は仕方なく一人で行くことに、緊張する。
車の運転も久しぶりだ、
MTだったら発進できなかったかもなー、
とか考えながら駅を目指す。

40: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:25:39.28 ID:2leCnqmBi
幸い迷うことなく駅に到着。

出口近くで待っていると娘が出てくる。
娘はすぐに気づいたようでこっちに向かってくる。
逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ…

娘が車に乗り込んでくる。
もちろん助手席に。とりあえず出発


「迎え俺さんだったんですねー、ありがとうございます。」


「いえいえ、でも不用心な家ですね、
 今カトウと弟しか家に居ないですよww」


「カトウくんは何度か来てもらってますからねwww」

カトウくんか…うらやましい…

41: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:29:47.56 ID:2leCnqmBi

「ところで俺さんは学生なんですか?」


「」(うわあああああああああ)


「実は…俺ニートなんだよね!」
(言っちまったあああああああ)


「へーニートなんですか!ニートってもっと暗くて
 太ってるイメージでした、偏見はよくないですね」


「そ、そうなんだよね!」
(なんとかなったのかあああああ!?)


「ところで娘さんも敬語使わなくていいよ、俺こんなだし」


「あ、ほんとですか?実は私も敬語苦手なんだよね、
 学校も小さくて先輩後輩みんな友達みたいなところでさwww」


「なんかそういうのっていいねぇ、温かみがあるっていうか」
(切り替え早え!あとちょっと否定して欲しかった…)

42: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:30:25.42 ID:2leCnqmBi
そんなこんなで家に着き、
夕飯を食べてダラダラして寝ました。

天然ってすごいと思った一日でした。

次の日の出荷は前日よりいくらか楽になってて良かった。

相変わらずカトウはモリモリ運んでる。ザクザク切ってる。

そういえば初日の夜にカトウは
この辺に工房作りたいって言ってた、
確かに良いところだ、俺もこういうところに住みたい。

43: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:31:10.36 ID:2leCnqmBi
その日は午後は休みで地元を案内してもらった。

牧場があったりうまい飯屋があったりして
かなり楽しいところだ、やっぱここに住みたい。

そういえばスキー場もあるみたいだ。

44: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:31:49.57 ID:2leCnqmBi

「なあカトウ」

カトウ
「ん?」


「カトウが連れてこようと思ってたスキー場ってここ?」

カトウ
「おしい!この辺にスキー場結構あるんだよね、
 だからこの辺だけどここじゃないんだ」


「まじか、ちょっと楽しみだわ!」
カトウ
「だな!早く冬ならないかな」


「私も行っていい?」

カトウ
「いいぜー、ってか娘んち一家巻き込むつもりだったwww」


「なにそれww楽しみwww」

カトウ…お前今輝いてるよ…

45: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:33:29.34 ID:2leCnqmBi

「俺さんはスキーとかやるの?」


「えっ、いや、その、スキー場って行ったことないんだよねー」


「そうなんだ、スキーとスノボどっちやりたい?」


「そうだなぁ、どうせやるならスノボーかなぁ」


「」

カトウ
「娘はスキー大好き人間だからな」


「あ、そうなんだ、うーん、悩むなぁ」


「さっきスノボって言ったじゃん…」

やばいいじけてる!?

カトウ
「やっぱスノボっしょ!」

火に油じゃねーか


「まだ冬まで時間あるしゆっくり考えるよ!」

カトウ
「やっぱスノボっしょ!」

てめーはだぁってろ!

46: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:34:00.60 ID:2leCnqmBi
そんな感じでワイワイしながら観光してた。
でも娘は地元だしカトウも何度も来てるはずなのに
一緒にはしゃいでくれてありがたい。

その日もあっという間に夕方になって帰ることになった。

帰る途中に夕飯の買い物をする。

こんなことでもいちいち楽しいのが不思議だ。

47: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:34:44.61 ID:2leCnqmBi
その日の夕飯はグラタンだった、
これもうまい、ブロッコリーがとくに気に入った。

あと天ぷら。シシトウの天ぷらがめちゃくちゃうまかった。

最後に茹でたトウモロコシ食べたんだが
これが激甘うますぎてびっくりした。

農家って飯が異常にうまい。
腹も満足したところでいつものダラダラする時間。

48: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:35:34.40 ID:2leCnqmBi
今日は俺カトウ娘弟でゲームをやった。

デコピンでやるビリヤードみたいなゲームなんだが
これがすごく面白い。

みんなトランス状態みたいでなにが起きても爆笑、
3年分は笑ったと思う。

気づいたら笑い疲れたのか弟が寝てたので、今日はお終い。

時間も時間だったのでお開きにして寝ることに。

50: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:36:36.36 ID:2leCnqmBi
横になったのはいいが中々寝付けない。
カトウに話しかけてみる。


「なあ起きてる?」

カトウ
「…」

寝てやがった。

俺もいつの間にか寝てたようで、
いつも通りの爽やかな朝を迎える。

1階に降りると娘が朝食を作っている。

51: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:37:16.98 ID:2leCnqmBi

「おはよー」


「あ、おはよー、昨日めっちゃ楽しかったねwww」


「すごかったなwww3年分は笑ったよwww」


「顔真っ赤だったよwww」


「娘もなwwwじゃあ散歩行ってくるよ!」


「いってらっしゃい!」

やべぇ良い感じだよ…
さりげなく呼び捨てにしちゃったよ…

52: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:38:08.43 ID:iJP2SWuT0
いいなぁこうゆうの羨ましい

53: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:52:00.80 ID:2leCnqmBi
犬の散歩をしながら俺はここでの生活を思い出していた。

といってもまだ3日目くらいだが。

飯のうまさ、風呂の気持ちよさ、
当たり前の日常になってて気づかなかったが楽しいこと
嬉しいことってのは案外その辺にあるもんなのかもな。

この辺りまで考えたところで
急に恥ずかしくなって考えるのをやめた。

54: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:53:07.46 ID:2leCnqmBi
犬もタラタラ歩くのに飽きたみたいで
リードが許す限り縦横無尽に駆け回っている。


「走るか!」


「ハッハッハッ」

俺は全力疾走する。

犬は俺に合わせてか一緒に並走している。

ここでも俺の負けず嫌いが発揮され、
犬を置き去りに駆け抜けたいと思った。

しかし現実は甘くない。
すぐにバテてしまい、駆け足がやっとだ。

しばらくして歩き始める。爽やかな朝だ。

55: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:54:53.79 ID:2leCnqmBi
家に着くと朝食が用意されている。

カトウも外でなんかしてたみたいで玄関から入ってくる。

とりあえずコーヒー牛乳を一杯。うまい。

俺は結構汗をかいてたみたいで娘に聞かれた。


「なんでそんなに汗かいてんの?」


「犬に挑んだら負けた、悔しい」


「もうあの犬おばあちゃんなのにwww」


「…いただきまーす」

カトウ
「いただきまーす!」


「召し上がれ!」

56: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 21:55:39.38 ID:2leCnqmBi
いつもの時間、作業着に着替え畑に向かう。
筋肉痛も良くなって体が軽い、
今日なら二箱に挑戦できそうだ。

しかし最初の3回くらいだけ運べただけで結局1箱ずつに。
まあ初日は1回もできなかったし良しとしよう。

この日の午後は草取りをやった。

こちらも要領を掴んで来たようで、
前よりも広い範囲を終わらせることができた。

どうでもいいけど爪の間に入った土って中々取れないな。

57: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 22:05:55.45 ID:2leCnqmBi
この日の夜は娘がピアノを弾いてて俺とカトウはそれを聴いてた。

クラシックとかよく分からんがカノンだけは分かった。

カトウはいつの間にか寝てたので、
娘とニヤニヤしながら服の中に氷を入れてみる。


「どうなるかな?w」


「キレたらやだなぁw」

氷ポロン

カトウ
「…んっ!んんんん!?」

跳ね起きるカトウ

娘・俺
「あははははwww」

カトウ
「なんだよ、ひでーなw」

眠そうな顔でニコニコしてる


「上いこーぜ!」

カトウ
「そうすっかー」


「おやすみー!」

カトウ・俺
「おやすみー!」

59: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 22:10:13.14 ID:2leCnqmBi
こんな感じで毎日が過ぎてゆく。

午後の時間を何度か使って倉庫で犬小屋を作った。

犬小屋にはでかい穴が空いていて、
冬になると家の下にもぐりこんでいるらしい。

だからあんなにモフモフになったのかなーとか考えながら犬小屋を作る。

道具は揃っていたのでそんなに大変なことは無かった。

完成した犬小屋を軽トラに載せるのが大変だった。

60: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 22:15:48.65 ID:2leCnqmBi
あとは薪割り、これはすごかった。

俺は斧を使ってやるもんだと思い、意気込んでた。

斧を使うのはちょっと慣れた物だったから
カッコイイところ見せれると思ってた。

しかし現実は甘くない。薪割り機なるものがあり、
木をセットしてレバーを下げるだけで薪を割ってくれる。

木にはフシという硬い部分がある。
しかしそんなものはお構いなしに
バリバリ割っている。わーすげー(棒)

61: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 22:21:54.73 ID:u7PPyNOE0
リアルぼくなつ青年バージョンみたい
いいな

62: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 22:24:14.25 ID:2leCnqmBi
そして8日が経って折り返し地点にきた。

この頃には結構体力がもどってきて
働いた後に遊ぶくらいの余裕も出てきた。

あまり大きい声では言えないが、
チャリで4ケツしたのも良い思い出だ。

カトウはサドルに、娘と弟は荷台に、
俺はサドルとハンドルの間に、
ちょっと納得いかないが楽しかったのは事実だ。

カトウ
「マジこけるかと思ったわwww」


「いやいや、マジ死ぬかと思ったわwww」

娘と弟はずっと笑ってた、夕陽がキレイですなー

63: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 22:25:18.02 ID:67vZ66sj0
ふむ

64: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 22:36:52.26 ID:2leCnqmBi
ある日の夜、俺はこの家でスラムダンクを見つけた。

全巻揃っていたので迷わずページを開く。

湘北対陵南の練習試合を読んでいると、
後ろから声をかけられた。


「まだ起きてたんだ」


「つい懐かしくてね、俺中学までバスケ部だったんだ」


「そうなんだ、ちょっと外行かない?」


「いいけど真っ暗だよ?」


「いいからいいから」

娘に促されるまま外にでてちょっと歩く。

街頭も無く真っ暗だ。
娘は懐中電灯を持っていたが、それを消した。

65: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 22:37:55.69 ID:2leCnqmBi

「上見てごらん」

言葉が出なかった。
ビルに囲まれた世界で産まれた
俺はこんな景色が日本にあるなんて知らなかった。


「すげー…」

アホみたいだが言葉がみつからないときはこんなもんだ。


「星ってこんなにあったんだなぁ…」

感動のせいか一筋涙が流れた。
まあ暗いから大丈夫だろう。

しかし現実は甘くない、娘が俺を照らしやがった。


「あ!泣いてる!www」


「泣いてねーしwwwあくび出ただけだしwww」


「その気持ちわかるよ」

娘が急にトーンを落とした口調で喋り始めた。

66: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 22:43:35.14 ID:2diuGAZv0
もう泣いた。結末想像して更に嗚咽した。

67: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 22:45:40.84 ID:TEYCS/GO0
ふつうに面白い
支援

68: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 22:56:14.20 ID:2leCnqmBi

「私も一人で泣きたくなるとここに来るんだ」


「そうなんだ、景色すごいもんね」


「うん、この星達みてると自分の悩みの小ささを実感できるっていうか、
 まあ現実逃避に近いかもね」


「今もそうなの?」


「私、カトウくんが好きなんだ」

俺はちょっとショックだったがすぐに納得できた。

69: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 22:56:47.23 ID:2leCnqmBi

「カトウは本当に良いやつだよ、俺が保証する」


「あははwありがとうw」


「でもカトウくんはいつもすぐ居なくなっちゃうんだ」


「また来るよ」


「うん、でもやっぱり苦しいんだよ、
 今年は俺くんが来てくれて良かった、
 なんて言えばいいかわからないけど、安心できたよ」

70: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 22:57:36.25 ID:2leCnqmBi

「俺はほんとに偶然ここに来たんだよ」


「そういうのは奇跡っていうんじゃない?うわ、恥ずかし!w」


「恥ずかし!w」


「やめろーww」


「カトウくん一人のときは嬉しいんだけど苦しいんだ、
 でも今年は純粋に楽しかった、また来てね?」


「また来るよ、ニートだからw」


「仕事みつけなさいww」


「そんなに簡単に見つかったら苦労しねーよ…」

わかるだろ?

71: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 22:58:23.09 ID:2leCnqmBi

「じゃあ次に会うのは冬かな?」


「そうなるね」


「長いなー…」

俺はなんて声をかければいいかわからなかったが、
星達を見てて気づいたことをそのまま口に出した。


「まあ星達に比べたら何ヶ月かなんて一瞬だよ、
 瞬きしてまぶた閉じる途中くらいだよ」

俺は真面目に言ったのに彼女には可笑しかったみたいで笑い出した。


「あはははwww恥ずかしーwww」


「うるせーわーwwww」


「あははwwごめんwwあははw」

「人がせっかく慰めてやろうと思ったのにwww」


「ごめんってw笑ったらスッキリした、ありがと!」


「おう!wなんか納得いかないけどww」


「まーまーw帰ろっかー」


「そうすっかー」

72: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 23:04:07.79 ID:2leCnqmBi
帰り道もダラダラ話して帰宅。
時間は確か日付変更前くらい。

ここに来て初めての夜更かしだ。


「おやすみー、寝坊するなよーw」


「娘もなwおやすみー」

次の日はちょっと眠かったがまあなんとか起きれた。

カトウはまだ寝てる。
なかなか起きれないのが玉にキズだな、
なんて考えてると目覚ましが鳴り、カトウも起きた。


「おはよー」

カトウ
「おはよー」

73: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 23:12:35.04 ID:2leCnqmBi
日課である犬の散歩中、カトウが話してきた。

カトウ
「昨日は寝るの遅かったな」

俺はちょっとドキッとしたが隠すことでも無いと思い話した。
もちろん娘がカトウを好きなことは話してない。

カトウ
「そっかー、ここの夜空は見ないと損だもんな」


「だなー、本当すごかったわ」

そんなことを話して散歩終了。

74: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 23:13:33.94 ID:2leCnqmBi
朝食を食べに帰ると、今日は和食が並んでいる。
ご飯味噌汁焼き魚、あとはほうれん草のおひたしとか


「今日はいつになく豪勢ですなぁ」

カトウは既に手を洗いに行っている。
どうでもいいがカトウは食事前には必ず手を洗うやつだ

カトウ・俺
「いただいまーす」


「召し上がれ!」

俺は娘の声を聞くと飯が1.5倍うまくなる気がする、ヤバいヤバい。

76: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 23:23:53.72 ID:2leCnqmBi
ここでの生活も終盤に差し掛かった頃、
俺は自分がここでの生活に慣れつつあることに
気づいてショックを受けた。

収穫したものを箱詰めしたり運んだりというのではなく、
ここでの生活が当たり前になりかけていた。

ここに来て初日の新鮮さも夜に見た星空も当たり前になりかけていた。

俺は不安で仕方が無かった。
今日だけは夜が待ち遠しい。
星空を見たい。そう思いながら過ごした。

77: 名も無き被検体774号+ 2014/10/16(木) 23:53:56.79 ID:Wu8LES9l0
いい文章書くなぁ
面白いよほんとに。



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引用元 2週間くらい外出しない?って言われた話