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79: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:04:24.25 ID:qYAejjfmi
そして待ちに待った夜が来た。 

みんなが寝静まった夜10時、
俺は静かに布団を出て外に向かった。 

懐中電灯はどこにあるかわからなかったが、
今日は月が明るく、懐中電灯はいらないようだ。 

ちなみに月で影ができるのもこの時初めて知った。 

歩いて前に夜空を眺めた場所に向かう。
どうやら先客がいるようだ。

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80: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:05:09.18 ID:qYAejjfmi

「おっす」


「おっす!」


「泣いてるのバレバレだよ」


「だよねぇ…」


「俺もここで眺めていい?」


「うん、いいよ…」


「やっぱすごいよな、すごい」


「なに言ってるの?当たり前じゃん」

俺はこの言葉にドキッとして、そして娘に聞いてみた。

81: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:07:45.01 ID:qYAejjfmi

「ここでの生活が当たり前になりそうで不安なんだけどさぁ、
 娘はここでの生活ってどうなの?」


「どういうこと?」


「初めてここに来た時、すげー、こんなところがあるのか、
 家にエアコン無いのか、扇風機すら無いのか、と思ったのに、
 もうそれが日常になりかけてて不安なんだ」


「なにが不安なの?」


「俺はここに来て生きてて良かったって思えたんだ、
 娘も奇跡だって言ってただろ?
 でもそれが当たり前になったら、なんかヤバいじゃん」

82: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:08:24.16 ID:qYAejjfmi

「私も今そんな感じだよ、
 カトウくんや俺くんが居るのが当たり前になりかけてる、
 でもあと二日しかない、さっきそれに気づいてここに来たの」


「そうなんだ、どうすればいいんだろうね?」


「どうしようねw」


「笑い事じゃないよーw」


「不安になったらまたここに来なよ、
 ここの自然は俺くんが生きてるうちは無くならないよ」

83: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:08:56.26 ID:qYAejjfmi

「カトウもここに工房作りたいって言ってたよ」


「ほんと!?」


「あ、聞いてなかったのか、言わない方が良かったのかな?」


「そうなんだ、楽しみだなーw」


「切り替え早いなwww」


「俺くんもねw」


「俺は娘が笑ってると安心できるんだよ」
言った後に気づいたがこれって
マズいかな?と思ったが相手は天然、問題ない

84: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:10:01.72 ID:qYAejjfmi

「じゃあ私のスマイル見たらお金払ってねw」


「ぼったくりマックかよwでもなんか安心した、
 俺が東京に帰っても
 この星達は存在しててただ見えないだけなんだな」


「なんか恥ずかしーねw」


「もう恥ずかしくてもなんでもいいよw」

娘「私も俺くんに会えて良かったよ」


俺はもうこの言葉で十分だった。けど恥ずかし過ぎて


「恥ずかしーw」
言っちゃったよ、はあ

85: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:10:43.64 ID:qYAejjfmi

「私は人に恵まれてるんだよ、自慢だけどw」


「羨ましいなぁ、俺は人に恵まれたのはカトウくらいだよ」


「カトウくんが良い人連れて来るから私は人に恵まれるんだよw」

もうカトウには敵わないな、
俺は素直にカトウと知り合いになれたことを誇りに思う。


「もう何に悩んでたのかわからなくなったわw」


「私もw」


「そんじゃ帰りますかー」


「そうしますかー」

86: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:22:37.72 ID:pFd2cMrv0
面白い
続きが気になるな

87: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:24:40.96 ID:qYAejjfmi
そんで家について俺が思ったことを喋ってみた。

「俺たちちょっと贅沢だったのかもな、
 それでそれが無くなりそうになって焦ってたんだ。」


「あー、そうかも」


「もともと持ってなかったものを誰かがくれて
 最初は喜んでたのに、それがいつのまにかそれがあって
 当たり前になってて、でもそれを取り返されそうになると
 やっぱり無くしたくないって思うんだ。」

88: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:25:42.19 ID:qYAejjfmi

「ちょっと欲張りだったかなぁw」


「俺カトウや娘一家に会えただけで人生満足だよw」


「それはちょっと欲張らな過ぎじゃない?w」


「これくらいで満足して喜んでるのがちょうどいいよ、
 もしまた良い人に会えたら超うれしいじゃん?w」


「たしかにw良いこと言うじゃんw」

89: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:26:18.75 ID:qYAejjfmi

「俺カトウとここに来れて本当に良かったよ」


「ありがとう、カトウくんにもお礼言っときなよw」


「おう!」


「じゃー寝ますか!」


「そーしますか!」


「おやすみ!」


「おやすみ!」

90: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:27:10.96 ID:qYAejjfmi
こんな感じで娘は笑いながら部屋に入っていった。

やっぱりここは良いところだ、失いたくない。

これも贅沢なのか?とか考えたが先ばかり考えて
今ある幸せに気づかないのもアホらしいと思ったところで、
恥ずかしくなってきて寝た。

91: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:42:07.71 ID:qYAejjfmi
そして最終日、夜はバーベキューをやるのが
この家の伝統なんだそうだ、俄然やる気が出る。

この頃には箱を1回で2箱運ぶのは当然、
たまに3箱に挑戦してヒィヒィ言っていることすら
珍しい光景では無くなっていた。

カトウも俺に触発されてか(俺の自惚れか)
いつも以上に気合が入っているようだ。

92: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:43:06.63 ID:qYAejjfmi
午後も草をほとんど取り尽くしてしまい、
箱もほとんど作り終え、薪も割り尽くし、
何をしようかといったところだが、
そこは農家、仕事など探せばいくらでもある。

俺とカトウは夕飯の買い出しに出かけた。
軽トラを借りて出かける。

実は俺は軽トラを運転するのが夢でもあった。
しかしMT。不安だ。

カトウ
「大丈夫か?汗すごいぞ」


「大丈夫、大丈夫…」

キーを回してエンジンをかける。
クラッチを切り1速に入れる。
アクセルを開け、徐々にクラッチを繋ぐ…動いた!

93: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 00:44:05.98 ID:qYAejjfmi
最初の壁を乗り越えればあとは落ち着いたものだ、
まわりの景色を眺めながらゆっくり軽トラを走らせる。

窓を開けているだけで爽やかな風が吹き込んで来る。
この土地は良い最高だ。
やっぱ言うならこのタイミングかな

94: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 01:06:41.80 ID:qYAejjfmi

「なあカトウ」

カトウ
「ん?」


「ここに連れてきてくれてありがとな」

カトウ
「…」

返事が無い、
ちらっとカトウの方を見ると涙を流してた。


「どうしたんだよ…!?」

俺は結構焦ったが、
しばらくして落ち着いたカトウが話してくれた。

95: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 01:07:40.74 ID:qYAejjfmi
カトウ
「俺も昔この土地と娘一家に助けてもらったんだ。
 俺高校の時鑑別所行ったりしてたんだ。
 だけどふとこれじゃダメだって思って、
 その時通ってた高校辞めたんだ。
 それでまた一から高校入り直そうと思って見つけた
 高校で娘や他の友達と出会ったんだ。
 今までの学校のイメージとだいぶ違う学校でさ、
 マジで楽しかった。
 そこで俺は助けられた。そんで俺は自分の中で、
 1回助けられたら3回誰かを助けるっていうルールを決めたんだ。
 でも助けるって言っても難しいんだよね。
 でもある日2ch見てたらさ、
「暇、助けろ」ってスレ見つけてもうこれだー!って思ってさ、
 でもお前から連絡来なかったらどうしよう、
 もし来てもどうやって助ければいいんだろう、
 でもすぐにお前から連絡きてさ、
 もうあそこしかないって思ってここに連れてきてさ、
 お前がここに来て良かったって言ってくれて
 本当嬉しかったんだよ、
 お前が俺が助けられた人1号だよw」

97: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 01:10:51.38 ID:qYAejjfmi
俺はもううれしくて仕方がなかった。

俺が立てたクソスレに
こんなに真剣に向き合ってくれたヤツが居たことが。

そして、そいつと今、
そいつの大好きな土地に居れることが。

俺もついうれしくて涙をちょっとだけ流してしまった。

そしたらその途端カトウが

98: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 01:11:26.71 ID:qYAejjfmi
カトウ
「あ!泣いてる!何で?感動した?www」


「うるせーwwwわりーかwww」

カトウ
「悪い、この話嘘なんだwww」


「は?どっからどこまで?」

カトウ
「お前が20歳のニートってとこから全部だよwwww」

終わり

99: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 01:15:14.39 ID:8G8l5DXw0

100: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 01:17:25.36 ID:l7gjo+XTO
乙。爽やかで面白かった

101: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 01:18:23.12 ID:KeWPIVPK0
乙乙!

102: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 01:21:33.59 ID:AB1hXOQg0
乙!このスレ読めてよかった!

103: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 01:30:04.52 ID:xfceoTTF0
お疲れさまです

104: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 01:48:18.33 ID:25z+Ynvu0
鮮やかな釣りスレ
おつ

105: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 02:24:01.94 ID:VCBqqtD90
やっぱ創作か。

リアルなら良い話だったなー

106: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 05:50:24.49 ID:Hg7LSgr40
すげー良スレだった

107: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 05:58:36.88 ID:lJbCz0u+i
読み終わった!楽しかったー
娘死ぬのかと思ってヒヤヒヤしながら見てたわ

108: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 06:29:48.06 ID:Y0VwroB+0
>>1
おもろかった
どうせならもう少し引っ張ってほしかったな

109: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 07:43:36.48 ID:SEBOesrU0
ちょっと悩みが解消された気がするわ。
サンキュ。

110: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 08:42:41.42 ID:JjPL/5YD0
なかなかの良釣り

111: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 09:49:16.72 ID:snv2L0N+0
面白かった

112: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 10:27:27.95 ID:eimL4fL9O
マジで面白かった
>>1

114: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 11:30:55.43 ID:vascZ54d0
おい、娘とカトウはその後どうなったんだよw

115: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 12:05:48.26 ID:UeOMiSHE0
なんかこういうの見ると楽しかった2chを思い出すね。
いつから今みたいなびっぷらになっちゃったんだろう。

118: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 21:28:39.58 ID:qYAejjfmi
ここまで読んで下さった方々ありがとうございます。
昨夜(今朝?)は自分の都合で無理やり
釣りスレにしてしまい、申し訳ありません。

一応続きを用意したのですが、
いらなければイラネなどのレスをください。

もし読みたいという方がいるようでしたら
申し訳ありませんが投下させてもらいます。

レスが無いようなら、
身勝手ながら投下させてもらいます。

119: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 21:31:47.37 ID:KQ8Bxj8A0
(0゚・∀・)wktk

120: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 21:32:47.06 ID:thLng9H10
読みたいですお願いします

121: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 21:57:47.77 ID:qYAejjfmi
カトウ
「あ!泣いてる!何で?感動した?www」


「うるせーwwwわりーかwww」

カトウ
「でも今気づいたんだけどさ、お前に助けられたって
 言ってもらえてなんか俺も助けられたんだよね」


「というと?」

カトウ
「1回助けたら助ける回数が2回増えるってことwww」


「それはいいなwwww」

カトウ
「だろ?www最高だwww」

122: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 21:59:09.16 ID:qYAejjfmi
俺たちは笑いながら町のスーパーまで軽トラを走らせた。


「着いたー、思ったより立派なスーパーだな」

カトウ
「肉屋はあっちに良いところがあるよ」

野菜などはスーパーで買い、
肉は精肉店っていうのかな?そこで買った。

肉なんてパック詰めされた物しか買ったことがない。
量を指定して買うというのは新鮮だ。

最後にカトウと俺で割り勘して花火セットを買った。
これは頼まれていないがサプライズだ。

カトウ
「よし、帰って準備だな!」


「おう!」

123: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:00:07.79 ID:qYAejjfmi
そして家に着き、バーベキューの準備を始める。

さすがにカトウは何度もやってるみたいで手慣れたものだ。

4時頃になって娘と弟が帰ってきた。

プールにでも行ってきたのだろうか、髪が濡れている。
と思ったら肩からクーラーボックスを下げている。

124: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:00:54.61 ID:qYAejjfmi

「どこいってたの?」


「川だよー」


「魚釣ったの?」


「釣ったよ!みてみて!」

俺はクーラーボックスを覗いて驚いた、
デカい魚が10匹くらい入ってる。20~30センチはありそうだ。


「すげー、これなんて魚?」


「これはイワナっていう魚だよ」


「へー、うまいの?」


「超うまいよwww」


「マジか、楽しみwww」

カトウは火を起こしている。
俺は娘と弟とイワナの下ごしらえをすることになった。

125: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:01:32.59 ID:qYAejjfmi

「とりあえず内臓出して渡すから塩付けてちょーだい」


「了解」

弟が新聞紙に塩をぶちまけてる


「え、そんなに使うの?w」


「そうだよww」

弟は魚に塩を付け始める。
もう付けるっていうかすり込む感じだ。

味濃過ぎじゃね?と思ったがここは従っておこう。
塩をつけた後は魚に串を刺す。

串は目から刺すらしい、
口から刺すイメージだったので意外だった。

126: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:02:14.89 ID:qYAejjfmi
火が着いたみたいでカトウもイワナ組に混ざる。

カトウ
「串を刺す時はな、
 スノボのキャンバーをイメージすればいいんだよ」


「ふーん?」

よくわからないがキャンバーというのは
Wのような形らしい、なるほどわからん。

とりあえずイワナをくねくねさせながら串に刺していく。

そして下ごしらえ終了。
1匹だけ違う魚が居ることに気づいた。

127: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:02:51.96 ID:qYAejjfmi

「この魚って違う種類?」

カトウ
「よく気づいたな、それはニジマスっていう魚だよ」


「そうなのか、ニジマスの方がうまいのか?」

カトウ
「俺はイワナの方が好きかな、食べ比べてみたら?」


「お言葉に甘えるわww」

128: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:04:06.13 ID:qYAejjfmi
吾郎さんと社長(夏実さん)も帰ってきたところで
バーベキューが始まった。
早速吾郎さんは網一面に肉を並べた。


「え、野菜は焼かないんですか?」

吾郎さん
「せっかく腹減ってるのに肉食わなきゃもったいないだろww」


「な、なるほど!」

吾郎さんが言うならそうなのだ。

129: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:05:12.88 ID:qYAejjfmi
カトウと弟は小さい焚き火を始め、
地面にイワナの串を刺して焼いている。
すげぇ!漫画で見たやつだ!


「漫画みたいだ!」

カトウ
「いいだろwww」


「すげーいいわwww」

カトウ
「そういえば持ち物にカメラって書いておいたけど忘れた?」


「いや、持って来てあるけど使ってないよ」

130: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:06:30.65 ID:qYAejjfmi
カトウ
「なんで?景色すげーいいじゃん」


「初日に一枚だけ撮ってみたんだけどさ、
 全然違うんだよ、迫力っていうのかな?」

カトウ
「あー、わかるわそれ、俺も最初は写真撮ってたけど
 いつの間にか撮らなくなったわ、やるなww」


「だろwwwやっぱ写真は被写体には敵わないんだよwww」

カトウ
「カメラマンが居たら殴られそうだなwww」

そう言って俺たちは笑った。

そういえばここに着てから笑ったり泣いたり、
感情が素直に出てくる。

自然の中に居ると俺も自然体になれるのだろうか。

ちょっと恥ずかしくなってきたところで

131: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:07:11.45 ID:qYAejjfmi
吾郎さん
「焼けたぞー!食えー!」

カトウ
「よっしゃ!食うぜー!」

社長
「食うぜー!」

夏実さんのキャラが未だに定まらない。流石だ。

肉はもう肉!って感じ、タレ無しでもうまい。

そしてイワナとニジマス。簡単に言えば超うまかった。

イワナの方がもうちょっとうまかった。
言葉が見つからないので気になる人は
是非食べて見ることをお勧めする。

132: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:07:52.69 ID:qYAejjfmi
ただの野菜も外で焼いて食べるってだけで絶品料理に早変わりだ。

そしてこの家で採れたトウモロコシ。
炭火焼きで食べてみたがこれはちょっとうますぎた。

そして辺りも暗くなってきた頃、俺たちは食材を完食した。

そしてカトウはニヤニヤしながら軽トラに向かった。
花火を取りに行ったのだろう。

娘と弟も家に入っていった。と思ったら出てきた。

133: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:08:31.72 ID:qYAejjfmi
カトウ
「じゃーん!花火買ってきました!」


「え?毎年うちで用意してるのに」

カトウ
「あれ、そうだっけ!?」

どうでもいいがカトウはたまに記憶を失うやつだ。


「まあいっぱい遊べるからいいじゃんwww」

カトウ
「それもそうだなwww」

134: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:10:05.96 ID:qYAejjfmi
こうして花火大会が始まった。
カトウが調子に乗って火をつけまくってる。

煙がすごい、もはや煙幕だ。
カトウの姿は見えなくなった。

吾郎さんは座ってニコニコしている。
社長はビールを飲んでいる。

そして最後の締めにみんなで線香花火をやった。

吾郎さん
「よーし、終わり!」

カトウ
「終わりかー!」

名残惜しいがこれでここでの生活も終わりか…

135: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:10:47.44 ID:qYAejjfmi

「まだなんか残ってるよ?」

そう言って弟が取り出したのはヘビ花火。
とりあえず火を着けてみんなで眺める。うにょー

カトウ「なんか締まらねーwww」

でもみんな笑ってる、やっぱ笑ってるのはいい、
笑ってるだけで幸せになれる気がする。

違うな、笑えるってことは幸せなことなんだな。
この辺まで考えたが俺は恥ずかしくなったので考えるのをやめた。

136: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:11:24.62 ID:qYAejjfmi
食器などを簡単に片付ける。
炭などは明日の朝に片付けるそうだ。


「カトウ、明日何時に帰る?」

カトウ
「そうだなぁ、午前に出荷手伝って帰るか」


「じゃあ午後には出発かぁ」

カトウ
「帰りたくないだろ?」


「帰りたくないわ、でも帰る」

カトウ
「お、ちょっと男らしいぞwww」


「俺には俺の居場所があるからなwww」

カトウ
「ヒューヒューwww」
ちなみにこれは口で言っている。

137: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:12:05.52 ID:qYAejjfmi

「東京でちゃんと生きてからまたここに来たいと思う。」

カトウ
「おう、また連れて来るぜ」


「冬までにちゃんと生きるww」

カトウ
「ちょっと女々しいぞwwwがんばれwww」

138: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:13:48.61 ID:qYAejjfmi
そして最後の日の朝、

いつもの時間に起き、

いつものように散歩に行き、

いつものように朝食を食べ、

いつものように収穫する。

東京での俺は明日が来ることが当たり前だと思っていた。

でも、もうここで当たり前に明日を迎えることはできない。
だから俺は今ちょっと嫌な感じだ。
いや、俺は気づきかけていたじゃないか、
いつもあるものが当たり前じゃないということに。
俺は東京に帰ってもこのことを忘れない、
まあたまに忘れるだろう。
でも思い出せる自信がある。
今日一日とりあえず頑張ってみよう。

139: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:14:53.00 ID:qYAejjfmi
収穫も終わり、昼ごはんもご馳走になった。
そして帰る支度をしていると
吾郎さんは俺とカトウに封筒を渡してきた。

中を確認すると1万円札が何枚か入っているようだ。


「なんですか?これ」

吾郎さん
「バイト代だよ、あれ、カトウくんから聞いてない?」


「聞いてないですよ?」

カトウ「言ってないですwww」


「なんで言わなかったんだ?」

カトウ
「お金とか余計なこと考えないでここに連れてきたかったからな、
 あとお前をちょっと試したのもあるwww」


「ひでぇwww」

140: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:15:37.25 ID:qYAejjfmi
カトウ
「でもお前はここに来た、それはお前が本気だったからだよ」


「そうかもな、恥ずかしーw」

カトウ
「うるせーw人がせっかく褒めてやったのにw」


「はいはいw吾郎さん、
 お金置いて行きます。また取りにきていいですか?」

吾郎さん
「待ってるよ、今度は冬に来るんだろ?w」

カトウ
「知ってたんですかwww」

吾郎さん
「娘がうれしそうに話してたからねw」


「じゃあまた来ます!」

吾郎さん「おう!」

141: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:16:16.55 ID:qYAejjfmi
帰る前に、もう一度だけカメラを使った。
みんなで集合写真を撮った。

みんないい笑顔だ。

カトウ
「それじゃ帰ります、お世話になりました!」


「ありがとうございました、また来ます!」


「またね!待ってるよ!」

142: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:17:22.52 ID:qYAejjfmi
バイクに跨がり、エンジンをかける(カトウが)。

明日はどんな一日なるのだろう。
明日がどんな日になるのかは自分次第だということを俺は学んだ。

今はカトウに頼りっぱなしだ。
次は自分の力でまたここに戻ってこよう。

そんなことを考えながら昼の道を走る。

143: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:18:24.30 ID:qYAejjfmi
これで本当に終わりです、
ありがとうございました!

144: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:19:10.38 ID:snv2L0N+0
涙目…
面白かった>>1

145: 名も無き被検体774号+ 2014/10/17(金) 22:50:59.62 ID:6sviXeXW0
めっちゃ面白かった!!
>>1乙です。

148: 名も無き被検体774号+ 2014/10/18(土) 00:17:08.54 ID:ByhbINPo0

おもろかった

149: 名も無き被検体774号+ 2014/10/18(土) 01:01:10.08 ID:WtDOJ/1s0
面白くて一気に全部読んじまった、、、
乙!誰かを助けられるような人になる!!

150: 名も無き被検体774号+ 2014/10/18(土) 01:07:26.52 ID:Ve+zhVDC0
一気読みした
大変乙

152: 名も無き被検体774号+ 2014/10/18(土) 10:16:46.27 ID:/YR3G0120
今日一日、頑張れそうな気がしてきたよ。
冬の話も待ってるからな。

153: 名も無き被検体774号+ 2014/10/18(土) 16:57:35.25 ID:MupX/peq0
いい話だった

156: 名も無き被検体774号+ 2014/10/19(日) 13:17:39.45 ID:rlkZkDQM0
いい話だった
頑張ろう




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引用元 2週間くらい外出しない?って言われた話