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1: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:03:24 ID:EoXxsraI6
いろいろあった

もう数年前の話になる
ちょっと書かせてくれ
いや書いてやる

よくある自分語りスレだけど見てくれたらうれしい

転校生が来たのは高2の時


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3: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:05:05 ID:EoXxsraI6
俺は通信制の高校に通ってたんだ。

その学校は週に3日学校に通うクラスと週に
1日学校に通うクラスに分かれていて、俺は週3クラスだった。

週3クラスと週1クラスは通う日が違うし
週3は午前だけ、
週1は午後だけだから顔をあわせたことがない。

7: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:07:07 ID:Blp9sHaNZ
ふむ

8: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:07:16 ID:EoXxsraI6
当時俺は何の目標もなくだらだら生きていて、
普通に大学行って普通に就職するんだろうなって思ってた。

通信高校に来たからって訳じゃないけど、
どっかで人生をあきらめてたな。

俺は昔から日記を付けてるからそれを参考にしながら書いてく。

11: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:08:57 ID:EoXxsraI6
7月22日

クラスに一人の転校生が入ってきた。
通信学校で転校生は全然珍しくないから
小、中学校で経験した転校生に対するドキドキは特にない。

その転校生は長井という名前で、
色白で黒髪を肩くらいまで伸ばした女の子だった。

3時間目、移動教室でパソコン室へ。
長井はちょうど空いていた俺の隣の席に座った。

13: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:09:44 ID:EoXxsraI6
ちょいちょい遅いけど勘弁してww

15: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:12:17 ID:EoXxsraI6
授業中クラスの女子が転校生に質問をした。

女子「長井さんはどこの学校から来たの?」

長井「○○女子高から」

自信がないようなおどおどしたしゃべり方だった。
が、そんなことより俺は女子高っていうのが珍しくて
「女子高!?」と割と大きな声で言ってしまった。

長井「う、うん」

転校生も若干引いてるし・・・。


今思えばこんなのが最初の会話だなww
忘れないはずだ。

16: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:14:38 ID:EoXxsraI6
8月7日

エクセルの試験が近いこともあり、
5人くらいの生徒がパソコン室で居残り授業。
その中に俺はもちろん、長井もいた。

授業内容は、練習問題を早く解き終わった人が
わからない人に教えるというものだった。

だけど俺はパソコンが苦手。
逆に長井はパソコンが得意なようで、
誰よりも早く終わらせ誰よりも遅い俺を教えることに。

俺に教えている時もおどおどしたようなしゃべり方だったから、
こいつは元々こういうしゃべり方なんだなと理解した。

17: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:16:49 ID:EoXxsraI6
(そういやこの長井って人、女子校から来たんだったな)

長井は丁寧に教えてくれているんだけど
俺の頭は女子校のことでいっぱいだった。
健全な男子高校生だからしょうがないよねww
そこで長井に訊いてみた。

俺「ねえ、女子校ってどんなところだった?」

長井「うーん・・・みんな彼氏と行為したとか、
   そういうことしか言わなくて嫌なところだったよ」

俺「へっ?」

俺はこの時二つのことでびっくりした。

19: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:19:21 ID:EoXxsraI6
一つ目は女子校がお下品なところだと知ったこと。
全部の女子校がそうかどうかはわからないけどww

そして二つ目はこんなおとなしそうな子が
男である俺の前で行為とか言ったこと。

だけど長井はまったく恥ずかしがる素振りを見せない。
俺は意識しすぎだと思い
「まあ、男の目がないからなー」なんて言って平然を装った。


書かなくても分かると思うけど
セリフはこの時こんなこと言ったなーって思い出しながら書いてるだけで、
すべてその通りに言ってるわけじゃないぞ。

21: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:20:52 ID:EoXxsraI6
日付のとなりに何日目か書いてくね
そっちの方が一年の経過がわかりやすいと思う。

20: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:20:37 ID:quD8nOtnN
パンツ脱いだ

22: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:21:19 ID:EoXxsraI6
>>20
パンツは吐いとけwww

23: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:22:20 ID:EoXxsraI6
8月21日(31日目)

この日もいつも通り休み時間に
親友のハマー(濱治)ってやつとしょうもないことを話してたら、
後ろから誰かが俺の名前を呼んだ。

24: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:23:27 ID:EoXxsraI6
???「安藤君」

あ、俺安藤って名前ね
もちろんみんな仮名(濱治以外)


振り向くと長井がいた。

俺「どした?」

長井「・・・これ」

そう言いながら長井は四つ折りにされた紙を俺に差し出した。

こ、これはっ!

27: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:25:19 ID:EoXxsraI6
俺「あっ、ああ、ありがと」

俺が紙を受け取ると長井は自分の席に戻っていった。
ハマーがなんか言ってたけど無視。

そして次の授業中こっそり読んでみた。


・・・あれ?これ、ラブレターじゃないぞ。

28: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:27:31 ID:EoXxsraI6
手紙の内容をまとめると、

『安藤君へ
安藤君が先生にバイト先を探していると言っているのを聞きました
(盗み聞きをするつもりはなかったの)。
そこで、私のバイト先を紹介したいと思います。
あとでメールアドレスを教えてください。  長井 』

みたいな感じだった。
完全にラブレターだと思い込んでた俺は結構へこんだ。
これなら手紙にしなくてもいいじゃないか・・・。

先生にこんなことを言った覚えはなかったが、
まあバイト先を探していたのは事実だったので
とりあえず話を聞いてみることにした。

29: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:28:37 ID:quD8nOtnN
普通に嬉しくね?

30: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:29:10 ID:EoXxsraI6
放課後、教室を出ると長井が待っていた。

俺「えーと、長井・・・だったよね」
なんとなく確認の質問。

長井「えっ?・・・うん」

長井の手にはすでに携帯があった。
それを見て俺もすぐに携帯を出す。

俺「メアド、交換するか」

長井「そうだね」


こんなぎこちない感じでメアド交換は終了。

俺「今日中にメールするよ」

長井「お願いします」

俺「じゃ、またね」

長井「うん、またね」

帰りのバスの中で長井への最初のメールはなんて打とうかずっと考えていた。

31: ツートンカラー兵長◆7q/GDl3lOnB. 2014/11/19(水)23:30:00 ID:feh1EApHv
なんかワロタ

32: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:30:25 ID:EoXxsraI6
夕方ごろ長井にメールを送った。

かっこの中はメールの内容ね。

俺『安藤です
  さっそくだけどバイトのこと教えて』

すると5分もたたないうちに返信が来た。

長井『○○(店の名前)ってところ
   分かるかな?』

俺『ちょっと待ってて』

パソコンで店の名前を調べるとすぐに出てきた。
個人経営の飲食店だった。

しかしそこは俺の家からすごく遠い。
片道1時間以上かかるからとても高校生がバイトとして通勤できる距離じゃない。

残念だが断ることにした。

33: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:32:07 ID:EoXxsraI6
俺『パソコンで見たよ
  ここ俺の家から遠いから通うのはちょっと厳しいや』

長井『そうなの?
   うーん、わかった』

俺『ごめんね
  せっかく紹介してくれたのに』

長井『いや、いいよ
   しょうがない』

そこでメールのやりとりは終わった。
まあ俺が返信しなかったからなんだけど、なんて返せばいいかわからなかった。

34: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:33:27 ID:EoXxsraI6
9月6日(47日目)

この日は半年に一度あるかないかの体育。

うちの学校は運動場も体育館もなかったから
体育をするときは近所の市民体育館を貸し切っていた。

その日体育で何をするかはランニングと体操をして初めて教えてもらえる。

35: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:35:38 ID:EoXxsraI6
担任「今日は4チームに分かれてドッジボールをします」

俺、絶望。
ドッジボールなんて運動できないやつのただの恥さらしじゃないか!

もうわかると思うが俺は極度の運動音痴だ。

周りを見ると嬉しそうな顔をしているやつもいれば
俺みたいに不満げな顔をしているやつもいる。
というより嬉しそうな顔をしているのは一部の男子だけだった。


ため息をつくとハマーが俺の肩にポンと手を置いた。

ハマー「大丈夫、俺が守ってやるから」

俺「だまれ」

36: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:36:45 ID:EoXxsraI6
結局ハマーはDチームで俺は長井と同じAチームだった。

担任
「第一試合、Aチーム対Bチーム。Cチームと
 Dチームは邪魔にならないところで観戦するんだぞー」


試合開始後あっという間に決着がついた。
Aチームのボロ負け。

俺は早々にボールに当たって目立たなかったから
精神的ダメージは軽量で済んだ。
自分のことに必死で誰がどんな活躍をしたかは分からない。

担任「Bチームの勝ち!次、Cチーム対Dチーム!」

やった、休める!

俺にとって体育の休憩は砂漠の中のオアシスだ。

37: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:39:04 ID:EoXxsraI6
あのメール以来、長井とはしゃべっていなかったから
この際に一言だけ言おうと思って長井を探した。

長井は一人で突っ立ってCチーム対Dチームの試合を見ていた。

俺「長井、この前はごめんね」

長井「何が?」

俺「バイトのこと。せっかく紹介してくれたのに」

メールでも同じことを言ったが、
もう一度ちゃんと謝っておきたかった。

長井「大丈夫。時給が上がらなかったのは残念だけど」

俺「ん?えっと、どういうことですか?」

長井「店長がね、誰か紹介したら時給を10円上げるって言ってたの」

俺「それが狙いかww」

長井「うんww」

38: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:41:19 ID:EoXxsraI6
ハマーはドッジボールで大活躍。
気付くと俺と長井は座っていて、いっしょにそれを見ていた。

長井「濱治君っていつも安藤君のそばにいるよね」

俺「あいつは女より男だから」

長井「やっぱりww」

俺「www・・・」

笑いの後に気まずい沈黙が生じた。

俺「そ、そういえばさ、長井は彼氏とかいるの?」

別に長井に彼氏がいようがいまいがどっちでもよかったが、
沈黙を打破するために訊いた。


でもなんでこの質問にしたんだろ。
自分でも不思議だ。

39: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:43:49 ID:EoXxsraI6
俺が訊くと長井の顔色が険しくなった。

長井「いないよそんなの」

俺「そんなのってww・・・」

長井「私誰かと付き合うとか絶対に嫌だ。束縛されるの大嫌い」

俺「お、おう」

長井の勢いにちょっと引いた。
あきらかに今長井は不機嫌だ。
俺は訊いてはいけないことを訊いたのかと焦った。

41: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:46:16 ID:EoXxsraI6
俺「あっ、長井ってどこに住んでるの?バイト先から近いの?」

へたくそながらに話を変えると長井の表情は穏やかになった。
それを見て俺も一安心。

長井「○○だよ」

俺「おお、観光名所じゃん」

長井「いいところだよ」

ピーーー

その時試合終了の笛が鳴った。

先生「Dチームの勝ち!次、Aチーム対Cチーム!」

俺「げっ、もう休憩終わりかよ」

長井「がんばろ」

俺「せやな」

俺たちが立ち上がるとハマーがこっちに向かって走ってきた。

ハマー「安藤、俺の活躍しっかり見てたか?」

俺「死ね」

となりで長井が笑ってた。

40: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:44:59 ID:CNGNsLMxH
ドッジ・・・ボール・・・高2・・・?

42: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:46:50 ID:EoXxsraI6
>>40
通信だからな
俺も聞いたとき耳を疑ったよww

44: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:48:44 ID:EoXxsraI6
9月18日(59日目)

終業式

うちの学校は二学期制だったから夏休みが遅いんだ。
夏休みって言っても二週間くらいしかないけど。

この時にはたまに長井と話すようになっていて、
始業式が終わって「じゃあね」って声を掛け合った覚えがある。

でもそれだけ。
まだ俺にとって長井は学校でたまに話す人って認識だった。

43: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:47:45 ID:EoXxsraI6
9月27日(68日目)

俺は家で暇を持て余していた。

夏休みだっていうのにやることがない。
漫画も読んだしゲームもやった。あっ、勉強は元々しないです。

誰かと遊ぼうにも中学時代の友達はみんな学校。
高校の友達で唯一家が近いハマーはばあちゃんちに行っている。

短期バイトをやろうと思ったが時期的に高校生ができるのが一つもない。

まさに究極の暇だ。


47: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:50:06 ID:EoXxsraI6
両親は共働きで一人っ子の俺は、夏休みに入って一人でいる時間が多かった。

このままずっと一人だとダメ人間になる!
誰かと関わらねば!

たった二週間の夏休みでこんなことを
本気で思った俺はちょっとやばかったと思う。


しばらく悩んだあげく、ある結論にたどり着いた。

そうだ、誰かにメールしよう。

48: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:52:23 ID:EoXxsraI6
誰にメールを送ろうか。
中学時代の友達は授業中だったら悪い。
ハマーは・・・いいや。
それ以外の学校の友達ともしょっちゅうメールしてるし・・・。
せっかくだからあんまりメールしたことない人にしよう。

なんてことを考えながら俺は携帯のアドレス帳を眺めてた。

しかし消去法でいくと一人しか残らなかった。
長井だ。

俺友達少なすぎ・・・。

49: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:54:14 ID:EoXxsraI6
長井になんて送ろうか。

次はその事で迷った。


そしてふとあることに気付いた。

俺、長井の電話番号を知らない。

ということでどうせ電話なんかしないと思いつつ
電話番号を教えてもらうために長井にメールをした。

50: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:55:26 ID:EoXxsraI6
俺『電話番号教えて』

長井『どうして急に?』


『携帯のアドレス帳見てたらさ、そこに登録されてる中で
 電話番号知らないの長井だけだったんだ。
 それがなんか気持ち悪くて』

実際これは事実だった。

51: 名無しさん@おーぷん 2014/11/19(水)23:57:42 ID:EoXxsraI6
長井『そうなんだ
私は親しい人にしか電話番号教えないけど、いいよ
○○○-○○○○-○○○○(電話番号)
安藤君のも教えて』

俺『ありがと
俺の番号は○○○-○○○○-○○○○
登録よろしく』

長井『うん』


そこでメールのやりとりは終了。
結局俺はまた暇になっちゃって、
何度もクリアしたマリオサンシャインをまた最初から始めた。

52: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:00:11 ID:jCMhcynqF
9月28日(69日目)

夜、マリオサンシャインをしていると長井から電話が掛かってきた。

まさか掛かってくるとは思わなかったから、出るとき緊張した。

俺「もしもし」

長井「男友達がしつこい。いや、もう友達じゃないか」

長井は早口でこう言った。

俺「え、ちょ、まず落ち着け。さっぱりわからん」

長井
「ごめんちょっと聞いて。その人私にひどいこと言ったの、
 それなのに心が変わったのかしつこく謝ってくる」

なんでそんなことを俺に言うのか全く分からなかったが
無視するわけにはいかない。

54: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:02:13 ID:jCMhcynqF
俺「許す気はないの?謝ってるんだし」

長井「絶対に許さない」

一日たったら前日の怒りなんて忘れる俺には
この絶対にというのが理解できなかった。
そんなにひどいことを言われたのだろうか。

俺「なんて言われたの?」

長井「それは言えない」

俺「そっか、じゃあこれからその人とはどうするの?」

長井「・・・関わらない」

これを聞いたとき俺は悲しくなった。
長井にひどいことを言った人に同情したのかは分からないが、
人と縁を切れるということがすごく悲しかった。

56: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:05:03 ID:jCMhcynqF
長井
「でもその人に私の大好きなゲームを貸してるの。
 返してもらいたいけど会いたくない」

俺「縁を切るならちゃんと返してもらわなくちゃ」

長井「だよね・・・やっぱり返してもらう」

俺「それがいい」

長井「話聞いてくれてありがと。またね」

俺「はい、じゃあね」


結局なんだったんだ・・・。

その日少しだけ長井のことを考えて寝た。

57: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:05:42 ID:jCMhcynqF
10月1日(72日目)

始業式

長井とは一言あいさつを交わしただけで、
男友達について触れることはなかった。

58: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:06:01 ID:aBzurA7Pt
長井の顔を芸能人に例えると?

59: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:08:04 ID:jCMhcynqF
>>58
ココリコの遠〇と千〇の娘って言われてる写真が一枚だけすごい似てた。
ほかの写真はまったく似てなかったけど。

60: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:08:37 ID:jCMhcynqF
10月6日(77日目)

家でぼーっとテレビを見ていると、長井が住んでいるところが映った。

そこは観光地でよくテレビに映るが、
長井と知り合って見るのは初めてだったからちょっと興味が湧いた。

61: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:10:14 ID:jCMhcynqF
今回取り上げられていたのはその観光地の名物お菓子。
俺はこのお菓子が大好きで
子供のころから食べていたからテンションが上がった。
と同時にそれがすごく食べたくなってきた。

長井に買ってきてもらおうかな。

そう思った瞬間俺は長井に電話を掛けていた。


62: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:11:55 ID:jCMhcynqF
長井とは先日電話で話していたから、
電話を掛けることへの抵抗感が少なくなっていた。

今日長井バイトかなーなんて考えていると、電話が繋がった。

長井「はい」

俺「もしもし安藤です。元気?」

長井「うんww」

俺「そりゃよかった。えーと、ゲーム返してもらった?」

いきなりお菓子を頼むのは気が引けた。

63: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:14:23 ID:jCMhcynqF
長井「返してもらったよ。これでもうあの人と関わらないで済む」

俺「あ、あーそうなんだ」

ダメだ、この話題は。また悲しくなる。
早く頼もう。


「今さ、テレビで長井が住んでる町が映ったんだよ。
 それ見てたら急に○○(お菓子)が食べたくなってきて・・・。
 よかったら学校に買ってきてくれないかな。もちろんお金は払う」

長井「いいよ」

まさかの即答。

俺「マジっすか!?」

長井「うん、じゃあ明日買ってあさって渡すね」

俺「ありがと!」


・・・もしかして長井っていいやつじゃないか?

俺の長井に対する印象が変わった。

64: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:16:06 ID:jCMhcynqF
10月8日(79日目)

休み時間、ハマーはほっといて俺は長井の席へ行った。

俺「持ってきてくれた?」

長井「これだよね?はい」

俺「やった!ありがと」

その後お金を払って自分の席に戻った。
今すぐ食べたいがここは我慢。家でゆっくり食べるんだ。


65: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:16:49 ID:jCMhcynqF
俺は家に帰るとさっそくお菓子を食べた。

今まで食べた中で一番おいしく感じた。

66: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:18:19 ID:jCMhcynqF
10月14日(85日目)

夜、ハンターハンターを読んでいると長井から電話が掛かってきた。

俺「もしもし」

やっぱり電話に出るときは緊張する。
でもこの時には
「長井とあんまり話したことないから緊張する」
から
「長井が異性として気になるから緊張する」に変わっていた。

気になるだけで惚れてはないからな!

67: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:21:18 ID:jCMhcynqF
長井「安藤君、お願いがある」

俺「いいよ」

長井「まだ何も言ってないよww」

俺「お菓子買ってきてくれたから」

長井「そうだったね」

俺「で、お願いって何?」

長井
「うん、今ね、私の好きなゲームがキャンペーンをやってて、
 パソコンから応募するとグッズが当たるかもしれないの」

俺「そのゲームって男友達に貸してたゲーム?」

長井「そうだよ、ドラゴンファンタジーっていうゲーム」

それはちょうど俺が買おうとしていたソフトだった。

68: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:22:29 ID:jCMhcynqF
実際にはドラゴンファンタジーってゲームはないぞ。
ほんとは違う名前のゲーム

69: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:23:06 ID:jCMhcynqF
俺「あーあれか」

長井「知ってるの?」

俺「買おうか迷ってるところ。面白い?」

長井「面白い!買って!攻略本貸すよ!」

長井のこんなに明るい声を聞いたのは初めてだった。

俺「そんなに好きなのかよww」

長井「好き!」

俺は購入を決意した。

そのゲームやりたい気持ちももちろんあったけど、
それ以上に長井ともっと仲良くなりたかった。

70: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:24:09 ID:aBzurA7Pt
完全に惚れてるがな

73: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:26:22 ID:jCMhcynqF
俺「じゃあ買おうかな」

長井「ほんと!?」

俺「うん、やりたくなってきた」

長井「買ったら知らせてね」

俺「もちろん。それでお願いっていうのは
  俺もそのキャンペーンに応募してってこと?」

長井「そうだよ」

俺「オッケー、今すぐ応募する」

長井「ありがと」


74: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:27:03 ID:jCMhcynqF
パソコンを起動して応募画面を開くと俺もうびっくり。

なんとグッズ当選者数はたったの3人!
長井がなんで俺に頼んだのか分かった。

一応、応募はしたが・・・当たるかこれ?

俺は奇跡が起こることを願った。

75: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:28:43 ID:aBzurA7Pt
んなもん当たるわけww……ファッ!?

76: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:29:16 ID:jCMhcynqF
10月18日(89日目)

学校で長井にドラゴンファンタジーを買ったことを伝えた。

俺「ドラファン買ったよ」

長井「え!?どう?面白い?」

俺「めっちゃ面白い。雰囲気とか最高やな」

長井「でしょ!音楽もいいからよく聴いてね」

俺「分かったww」

77: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:31:29 ID:jCMhcynqF
俺「それで攻略本はいつ貸してくれんの?」

長井「ドラファンは周回プレイも出来るから、初回クリア後かな」

俺「しゃーない、初回は自力で頑張るか」

長井「安藤君にクリア出来るかなー」

俺「俺のゲームテクニックなめんなww」

長井「詰まったらヒントあげる」

俺「おう、頼む」


帰り道ハマーがドラファン貸してと言ってきたが嫌だと断っておいた。

78: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:33:40 ID:jCMhcynqF
10月29日(100日目)

奇跡が起こった。

なんと、なんとドラファングッズに当選したのだ!


今手元にあるグッズが幻じゃないのを何度も確認した。
ってこれは言い過ぎかww
とにかくうれしかった。
なんか長井と運命めいたものまで感じた。

長井とはドラファンを買って以来、
ドラファンのことなどで毎日メールか電話をしてたんだけど、
このことは言わなかった。

明日学校で驚かせるために。

79: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:34:43 ID:aBzurA7Pt
これが恋の力というものか…

80: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:36:23 ID:jCMhcynqF
10月30日(101日目)

俺が当選グッズを見せると、長井は一瞬固まった。

長井「・・・すごい、当たったんだ」

俺「まあね。はい、あげる」

長井「いいの!?」

俺「いいよ」

長井「ほんとにいいの!?」

俺「いいに決まってんじゃん。そのために俺に頼んだんだろ?」

長井「見せてもらうだけでいいのに」

俺「とにかくあげる」

グッズを長井に手渡した。

長井「あ・・・ありがと!」

俺「どういたしまして」

俺は終始ドヤ顔ww


長井「安藤君大好き!」

はい、いただきました。
今長井に完全に惚れました。

俺「えっ、あっ、おっ、うん」

この時ばかりは動揺を隠せなかったww

81: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:38:25 ID:aBzurA7Pt
いつからリア充スレになったんだ

82: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:39:18 ID:jCMhcynqF
11月1日(103日目)

授業中、長井からメールが来た。

長井『今度安藤君の家に行っていい?』

俺はドキッとしてななめ後ろの席にいる長井を見た。
すると長井もこっちを向いていた。

口パクで「マジ?」と言うと長井は頷いた。

84: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:41:06 ID:jCMhcynqF
俺『いいよ、いつ?』

長井『5日
   空いてる?』

俺『だいじょぶ』

長井『ドラファンがどれくらいうまいか見てみたい』

俺『うますぎて腰抜かすぜ』

長井『それはないww』


なんてやりとりをしてると担任に見つかって俺だけ携帯を取り上げられた。
放課後には返してもらったけど。

この日から授業中でも長井とメールするようになった。

83: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:41:06 ID:aBzurA7Pt
そういえば>>1のスペック聞いてなかった

85: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:42:03 ID:jCMhcynqF
>>83
ちょっと待ってて
書く

86: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:44:43 ID:jCMhcynqF

俺 ちびandがり

長井 俺と同じくらいの身長 痩せ型


スペック何を書けばいいかわかんないよお

87: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:46:46 ID:jCMhcynqF
11月2日(104日目)

長井が来るということで部屋の掃除をした。

部屋がすっきりすると長井の前に誰かを家に呼びたくなった。


誰かって言ってもハマーしかいないんですけどね。

88: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:48:03 ID:jCMhcynqF
11月3日(105日目)

ハマーが家に来た。

ハマー「おお、片付いたなー」

俺「だろ?今度からはお前んちだけじゃなくて俺んちでも遊べるぜ」

俺の部屋が汚かったからハマーと遊ぶときは基本あいつの家だったんだ。


しばらく遊ぶとハマーが訊いてきた。

ハマー「おい安藤、お前長井とはどうなんだ?」

安藤「えっ!?」

どうって言われましても・・・。

89: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:49:46 ID:jCMhcynqF
俺「別に・・・」

ハマー「最近仲いいじゃねえか。どうなんだよ、どこまでいったんだよ」

俺「どこまでもいってねえよ」

ハマー「さすがDTだな」

俺「お前もだろ」

ハマー「でも長井のこと好きなんだろ?」

俺「・・・」

ハマー「お前は分かりやすいからなー」

俺「いやあ、まあ、そうだけど・・・」

ハマー「じゃあいけよ!男ならいけよ!」

俺「そんなんじゃねーよ、ただの友達」

ハマー「けっ、ダメだなこりゃ」

ちなみにハマーは今現在もDTだ。

90: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:50:32 ID:aBzurA7Pt
お前は卒業したみたいな言い方だな

91: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:51:32 ID:jCMhcynqF
俺「ま、あさって長井がうちに来るけどね!」

このことはハマーに黙っているつもりだったけど
言われっぱなしでムカついたからつい言ってしまった。

ハマー「は!?おま、そういう大事なことは先に言えよ!」

俺「うるせー!これ言ったらお前もっとうるさくなるだろ!」

ハマー
「ゆるせねえ・・・。おい安藤!スマブラやるぞ!ぼこぼこにしてやる!」

俺「望むところだ!返り討ちにしてやるよ!」


結果、俺はハマーに一勝もできなかった。
あいつのマルスはマジで強すぎる。


92: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:53:43 ID:jCMhcynqF
10月5日(107日目)

学校が終わり長井と一緒に俺の家に行った。

長井「おじゃまします」

俺「ここが俺の部屋」

長井「きれいだね」

俺「きれいにしたの」

長井「ちがうよwwここから見える海のこと」

俺の家の前には海があって、部屋から水平線まで一望できたんだ。

俺「もう見飽きたよ」

長井「もったいない」

俺「そういえば長井が住んでいるところは海がないもんな」

長井「そうだよ」

俺「まあそんなことより昼めし食おうぜ。
  なんか作るよ。嫌いな食べ物とかある?」

長井「作ってくれるの!?うーん、私はトマトが嫌い」

俺「じゃあケチャップ使えないな」

長井「ケチャップは好き」

俺「なんだそれwwまあいいや、適当に漫画でも読んでて待ってて」

長井「うん、ありがと」


俺はミートライスと野菜スープを作った。

長井はおいしいと言って残さず食べてくれた。

93: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:54:50 ID:aBzurA7Pt
ほう

94: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:56:03 ID:jCMhcynqF
昼食を終えると俺はドラファンを始めた。

長井は「人がドラファンをやっているのを見るのが好き」
と言ってずっと俺がプレイしているのを見ていた。

長井は椅子に座り、俺は長井の目の前で床に座っていた。

長井「結構うまいね」

俺「だろ?たぶん日本一うまいぜ」

長井「いや、私のほうがうまいww調子に乗るなww」

そう言って長井は俺の背中を足で押した。

95: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)00:57:55 ID:jCMhcynqF
長井「あれ、安藤君の背中あったかいね」

俺「俺は昔、人間ストーブって言われてたから」

長井「なにそれおかしいwwwでもストーブなら活用しなくちゃね」

そう言って長井が俺の背中を両足で挟んできた。

長井「あったかい」

俺「あ、ああ、遠慮なく使いなさい」

もう俺心臓バクバクwwゲームに集中できないwww

だって好きな人が自分の背中を足で挟んでるんだぜ!
理性なんかたもてねえよ!


96: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:00:41 ID:jCMhcynqF
時間はあっという間に過ぎ、外は真っ暗になっていた。

長井「そろそろ帰る」

俺「そうだね、家遠いし」

長井「何かゲーム貸してくれない?」

俺「いいよ、そこのケースに入ってるやつから好きに持っていって」

長井「うーん、じゃあこれ」

長井はゼルダのソフトを選んだ。

俺「バス停まで送るよ」

長井「ありがと」


外は昼間の何倍も寒かった。

俺は自販機であたたかいココアをふたつ買い、ひとつを長井に渡した。
そしてそれを飲みながら一緒にバス停まで歩いた。

97: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:02:13 ID:jCMhcynqF
長井「ココアってこんなにおいしかったっけ」

俺「俺もびっくり。すげえおいしい」

長井「やっぱり寒いからかなー」

俺「かもね」

長井「ねえ、安藤君って一年生の最初から今の学校にいるの?」

俺「いや、一年の終わりのほう。長井が来る半年ほど前に転校してきた」

長井「そうなんだ・・・。なんで、転校したの?」

訊きづらそうに訊いてきた。

通信学校ではこの質問はタブーみたいなところがあったんだ。
みんな何かと暗い過去があるからな。
でも俺は違った。

99: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:04:04 ID:jCMhcynqF
俺「早起きが出来なかったんだ」

長井「えっ、それだけ?」

俺「・・・はい」

こうなるからなるべく前の学校を辞めた理由を言いたくなかった。

俺「長井は?」

長井「私は、いじめられてたから」

俺は特に驚いたりしなかった。クラスにもそういう人がいっぱいいるだろうし。
ハマーも中学の時いじめられていたと言っていた。

長井「学校サボって死ぬところを探したりしてた」

しかしこの死ぬって言葉には驚いた。

俺「・・・なんかごめん」

長井「なんでよww」

俺「なんとなく」

今までのんきに生きてきた自分が馬鹿らしく感じた。
そしてもう少し早く長井と出会っていればという
自分でもどうしようもない後悔が襲ってきた。

98: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:03:11 ID:aBzurA7Pt
見ているぞ

100: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:05:04 ID:jCMhcynqF
>>98
誰もいなくても淡々とやっていくつもりだったんだけど
その言葉はやっぱりうれしい

101: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:06:30 ID:jCMhcynqF

「まあ、その・・・死ぬ場所を探すくらいなら、
 また俺と遊ぼうよ。そっちのほうが楽しいじゃん」

長井「・・・うん、そうする」


いつの間にか俺たちはバス停に着いていた。
そしてすぐに長井が乗るバスが到着した。

長井「来週暇だったら、今度はうちに来て」

俺「わかった。絶対行くよ」


バス停からの帰り道、明らかに来た時よりも長く感じた。

102: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:08:29 ID:jCMhcynqF
11月12日(114日目)

今日は長井の家に遊びに行く日。
にもかかわらず長井は学校に来ていなかった。
俺は心配になり長井に電話した。

しかしなかなか電話に出ない。
もう一度かけるがやはり出ない。
3度目の目の電話でやっと繋がった。

長井「もしもし」

俺「あっ、長井!お前今どこだよ!」

長井「家だよ。今起きた」

俺「家?・・・なんだ、よかった」

長井「なんで安心してるの?」

俺「いや、なんでもない」

俺はてっきり死ぬ場所を探しているのかと思っていた。

103: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:10:36 ID:aBzurA7Pt
おい…これはまさか…

104: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:11:20 ID:jCMhcynqF
長井「今日うちに来るんだよね」

俺「そうだけど、俺長井んちの場所知らねえよ。
  たしか電車で通学してるんだったよね」

長井「そうだよ。じゃあ学校が終わったら電話して。
   どこでどの電車に乗ればいいか教えるから」

俺「あいよ」

長井「あっ、お昼ご飯は食べてこないでいいからね」

俺「ということは?」

長井「私が作るから」

俺「よっしゃ!オッケ!楽しみにしとく!」

長井「そこまで期待されても困るww」

俺「ならまったく期待しないでいるよ」

長井「それはそれで・・・ちょっとは期待してww」

俺「わかったww」


その後の授業中俺はずっとニヤニヤしてたwww
いやー周りは気持ち悪かっただろうな。

105: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:13:22 ID:jCMhcynqF
学校が終わり長井にどの駅でどの電車に乗るか聞いた。
俺は方向音痴というわけではなかったから、特に迷うことはなかった。

教えてもらった駅で降りると長井が待ってくれていた。

俺「よっ、これお土産」

俺は来る途中のコンビニで買ったプリンを渡した。

長井「ありがと」

俺「やっぱここは山がいっぱいあってきれいだな」

長井「安藤君の家から見える海もきれいだよ」

俺「俺はここのほうがいいな」


駅から長井の家までさほど距離はなかった。

長井の家は普通の一軒家だった。

106: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:16:16 ID:jCMhcynqF
家に入ると長井は俺をリビングっぽい広い部屋へ連れて行った。
そこにはテーブルとテレビと大きな電子ピアノがあった。
長井が言うにはここは居間らしい。

俺「長井の部屋には行かんの?ww」

長井「顔がゲスいよww私の部屋は汚いからダメ」

俺「残念・・・」

長井「じゃあさっそくごはん作ってくるね。そこにあるゲーム好きなのしてていいから」

長井がテレビ台を指差してそう言った。
そこには大量のゲームがあった。
もちろんドラファンも。

俺「スマブラやってるよ。ごはん何作るの?」

長井「ひみつ」

俺はワクワクしながらスマブラを起動した。

107: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:18:05 ID:jCMhcynqF
俺が一人スマブラに飽きてきたころ、長井がおぼんに何かをのせて持ってきた。

長井「お待たせ」

テーブルの上にリゾットらしきものとインスタントのコーンスープが並んだ。

俺「いい匂いがする。これ、リゾット?」

長井
「うん、しめじとベーコンのリゾット。
 料理がうまい人に料理を出すのはちょっと恥ずかしいけど」

俺「そんなことねえよ。じゃ、いただきます!」

俺はリゾットを口に運んだ。

俺「・・・おいしい」

長井「ほんと!?よかった」

長井が作ったリゾットはお世辞抜きでおいしかった。
明らかに俺より料理がうまい。

少し悔しかった。

108: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:19:34 ID:aBzurA7Pt
ニヤニヤする

109: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:20:32 ID:jCMhcynqF
昼ご飯を食べた後は一緒にスマブラをした。

何回か勝負をしたが長井はゼルダしか使わなかった。

実力は五分五分ってところ。


しばらくするとゲームにも飽きて、
ふと部屋を見渡すと電子ピアノが目に入った。

俺「長井ピアノ弾けるの?」

長井「弾けないこともない」

俺「合唱コンクールで伴奏やった?」

長井「やった」

俺「じゃあ結構うまいな」

長井「何その基準ww」

俺「ちょっと何か弾いてみて」

長井「いいよ」

110: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:22:11 ID:jCMhcynqF
長井はピアノで何かを弾きはじめた。

あとでわかったけどこのとき弾いていたのは久石譲の『あの夏』だった。

みんなが聴けば決してうまいと言えるような演奏ではなかったが、
俺の心には十分届いた。
長井が弾いたからかな?
ピアノってこんなに素晴らしかったのかと少し泣きそうになった。
正直、涙目にはなっていたと思うww

長井の『あの夏』を聴きいたあと、俺はしばらく何も考えられなかった。
それほど俺の心に残った。

111: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:22:48 ID:jCMhcynqF
あの夏じゃなくてあの夏へだな

112: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:25:10 ID:aBzurA7Pt
あの夏へとか神曲やんwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

113: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:25:11 ID:jCMhcynqF
俺「長井、ポリアンナ弾ける?」

長井「なにそれ」

俺「マザーってゲームの曲」

長井「ネスの?」


「うん、ネスは2だけど。
 俺そのポリアンナって曲が好きだから、弾いてくれないかな」

長井「いいけど、楽譜がないと」

俺「パソコンで探したら見つかると思う」

長井「わかった。探して練習しておくね」

俺「頼む」

長井のピアノ演奏を聴いたら、
無性にポリアンナの生演奏が聴きたくなった。

114: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:27:05 ID:jCMhcynqF
テレビの横には本棚があって、様々な漫画や文庫本が並んでいた。

俺はその中からコナンを選び読み始めた。
長井は俺が貸したゼルダを始めた。

この間ずっと沈黙が続いたがまったく気まずくなかった。
むしろ心地よかった。

115: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:29:23 ID:jCMhcynqF
長井「あっ、ダメ!」

長井が急に声を上げた。

俺「何が?」

長井「本を90度以上開かないで」

俺「90度!?難しいぞ」

長井「ごめんね。私の家では本を大切にすることになってるの」

俺「そうなんだ。いいことだよ」

長井「安藤君、その巻まで読んだら一緒に行きたいところがあるの」

俺「どこ?」

長井「私のお気に入りの場所」

116: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:30:42 ID:aBzurA7Pt
死に場所じゃないだろうな

117: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:31:08 ID:jCMhcynqF
長井のお気に入りの場所は長井の家から
少し歩いた山の上にあるすごく小さな神社だった。
お賽銭箱がある建物がひとつ建っているだけ。
たくさんの高い木に囲まれていて、神秘的でなぜか落ち着いた。

長井「この神社は誰も来ないから一人になりたいときはよく来るんだ」

長井はお賽銭箱の前の三段くらいしかない階段に座った。

長井「ここにこうやって一日中ずっと座ってたこともある」

俺「確かに。ここなら永遠にいられそう」

俺も長井の隣に腰を下ろした。

118: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:33:28 ID:jCMhcynqF
長井「寒いね」

俺「これ使えよ」

俺は首に巻いていたマフラーを長井に渡した。

長井「ありがと」

長井はマフラーを体全体に包むように巻いた。

長井「安藤君、お願いがある」

俺「言ってみなさい」

長井「学校がある日だけ、電話で私を起こしてくれない?」

俺「今日みたいに?」

長井「そう。私朝が苦手だから」

俺「いいよ」

好きな人にこれを頼まれて断る人がいるだろうか。
いや、いないだろう。

俺「そのかわり」

長井「ん?」

俺「ひざまくらして」

よく言った俺!
この時の俺を表彰してあげたい!

まあいつも通り心臓はバクバクでしたけどwww

119: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:35:05 ID:jCMhcynqF
長井「今?」

俺「うん、ダメ?」

長井「安藤君ならいいよ」

安藤君なら!?
それってつまり・・・って訊きたかったけど
今はひざまくらに集中することにした。

俺「では、失礼します」

長井「どうぞ」

俺はロボットのような動きで長井の膝に頭を倒した。

120: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:35:51 ID:aBzurA7Pt
wwwww

121: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:37:34 ID:jCMhcynqF
俺「重い?」

長井「大丈夫」

急に長井が俺の手を握った。

長井「安藤君の手、きれいだね」

俺「そ、そう?」

長井「それにあったかい。さすが人間ストーブ」

俺「・・・俺、今すごく幸せ」

長井「へんなのww」

このまま時が止まればいいと思った。

そして自分に「J-POPかよ」とツッコんだ。

122: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:38:49 ID:jCMhcynqF
でも幸せな時間っていうのは本当にあっという間なんだよな。
時刻はとっくに8時を過ぎていていた。

長井「そろそろ帰らなきゃね」

俺「そうだなー」

俺はひざまくらされたまま答えた。

長井「また遊びに来てよ」

俺「うん」

当たり前だ。

123: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:39:50 ID:jCMhcynqF
11月13日~12月1日(115日目~133日目)

俺と長井、予定が合えばどちらかの家に行くという日々が続いた。

124: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:41:22 ID:jCMhcynqF
12月2日(134日目)

この日も夜遅くまで長井と電話で話していた。

俺「明日は俺んちで遊ぶから、また何か作ってやるよ」

長井「うん・・・。ねえ安藤君」

俺「ん?」

長井「明日渡したいものがある」

俺「おっ、なになに?」

長井「教えない。ただ安藤君にしか渡さないもの」

俺「俺だけ!?」

長井「そう」

もうね、超嬉しかったね。
長井の中で俺が特別になったような気がして。
何を渡すのかは謎だけど。

125: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:43:19 ID:jCMhcynqF
俺「ヒントちょうだい」

長井「私の大切なもの」

俺「うーん・・・」

俺は長井の家に代々伝わる家宝的なものだと思った。

俺「売ったら高い?」

長井「ほしい人なんていないよww」

ほしい人がいないものをなぜ俺にあげのか。

俺「さっぱりわからん」

長井「明日のお楽しみ」

俺「くっそー気になるな」

いくら考えてもわかりそうになかったから
俺の中で長井が子供のころ大切にしていたおもちゃということにした。

126: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:45:48 ID:jCMhcynqF
俺「早く明日になってほしいからもう寝るよ。眠さも限界だし」

長井「えーもう寝るの?」

俺は部屋の電気を消しベッドに横になった。

俺「おやすみ」

長井「ちょっと待って!私ポリアンナ弾けるようになったよ」

俺「マジで!?」

長井「今から弾くね」

俺「おう聴かせて」

127: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:46:24 ID:jCMhcynqF
少し間が空いたあと、ポリアンナのあのイントロが聞こえ始めた。

ところどころ詰まってはいるが立派な演奏だ。

長井が弾くからか、心に響く。

俺はどんどん夢の中へと入っていった。

128: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:48:20 ID:jCMhcynqF
12月3日(135日目)

気付くと朝だった。

今日も長井の夢を見た。
初めて長井の家に行ったあたりから毎日長井が夢に出てくる。
やっぱり常に考えていたからだろうな。

いつも通り長井にモーニングコールをして学校に行った。

129: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:50:06 ID:jCMhcynqF
放課後、長井と一緒に俺の家へ行った。

学校では昨夜俺が電話中に寝てしまったことを長井に笑われた。

約束通りこの日も長井に料理を作ってやったが何を作ったか覚えてない。
ただおいしいと言って食べてくれたことは覚えてる。

130: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:52:47 ID:jCMhcynqF
昼ご飯を食べ終わってゲームをしている時も、
俺は長井からのプレゼントがいつもらえるのかワクワクしていた。

とてもじゃないが「プレゼントはまだ?」なんて図々しくて言えない。
それとも長井は何かタイミングを見計らっているのか?

長井「そうだ!安藤君に渡すものがあったんだ」

忘れてただけかーい!

でも待ってました!

131: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:53:10 ID:aBzurA7Pt
待ってました

132: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:54:14 ID:jCMhcynqF
長井「はい」

長井はカバンから取り出したものを俺に見せた。

それは赤い液体が入った小さなビンだった。

俺「長井・・・これ、何?」

訊かなくても分かる。

これは血だ。

133: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:55:50 ID:aBzurA7Pt
うっ…

134: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:56:05 ID:jCMhcynqF
長井「私の血だよ」

俺「・・・」

俺は頭の中がパニックになって何も言えなかった。

長井「今回は首を切ったの」

長井は髪をかきあげ、俺に首を見せた。
そこには何本もの傷跡が残っていた。

今回?首?切る?

俺はますますパニックに陥った。

135: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)01:57:44 ID:jCMhcynqF
俺「今回ってことは、ほかにもどっか切ってるのか?」

長井「あとは左手首」

俺は長井の左手の袖をまくった。
やはりそこにも何本もの傷跡があった。

長井「だから私は夏でも長袖なの」

そういえばそうだ。
出会ってから一度も長井が半袖の服を着ているところを見たことがない。

俺「・・・いつから?」

長井「中学から」

俺「そんなに前から・・・」

136: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)02:00:05 ID:jCMhcynqF
長井「受け取ってくれる?」

俺「・・・うん」

長井「ありがと」

長井を安心させるために俺はビンを受け取った。
そしてそれを机の引き出しの中に入れた。

俺「なあ長井、自分を切るなんてやめろよ」

長井「無理だよ・・・切らないと落ち着かない」

俺「・・・そっか」

長井「私がリスカをしていることを知った人は、みんな私から離れていくの」

長井が悲しそうな声で言った。

俺「大丈夫、俺はずっとお前のそばにいるよ」

あきらめない。絶対にやめさせてやる。
俺にしかできないんだ。

本気でそう思った。

137: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)02:03:43 ID:jCMhcynqF
12月4日~12月20日(136日目~152日目)

俺が血を受け取ってから、
長井の行動は少しずつエスカレートしていった。

「吐いた」や「死にたい」と毎晩言ってきたり、
経血の画像をメールで送ってきたりした。

もちろんリスカも続けていて、
そのたびに俺はやめるよう説得した。

ただ俺と遊ぶ時は切らなかった。
長井なりに遠慮したんだろうな。

こういう日々が続いて、俺はますます長井を助けたくなった。

138: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)02:04:23 ID:jCMhcynqF
うわっもう2時じゃん

朝はやいからもう寝るよ

昼間とか時間があるときにまた淡々と張っていきまっす。

139: 名無しさん@おーぷん 2014/11/20(木)02:05:45 ID:aBzurA7Pt
>>1おつ