1/4へ ※2/4へ ※4/4へ


348: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:16:37.06 ID:SXx2AtTZ0
それでは、第四部、投下します。 
ちょっと長いかも。

人気記事(他サイト様)


349: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:18:10.66 ID:SXx2AtTZ0
―― 第四部 豹変 ―― 

夏休みの間、ボクは部活と塾の夏期講習、そしてバイトで滅茶苦茶忙しかったです。 
午前中は部活、昼飯もそこそこに塾へ、そして夜はバイト。 
課題も信じられないくらいの量が出されるので、それを片付けるだけでも 
毎日日付が変わるくらい机にへばりついてました。もうヘトヘトでした。

351: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:19:23.44 ID:SXx2AtTZ0
彼女のことは凄く気になるし、メールだけでもしたかったんですが 
忙しいからと自分に言い訳をして、結局一度もメールしなかったです。 
我ながら情けないくらいヘタレ。

350: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 01:18:57.01 ID:uC5k3G1T0
四部キター!

352: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:20:23.09 ID:SXx2AtTZ0
>>350 
長いので、途中で落ちるかもですが、頑張ります。 
―― 

そう言えば、ミドリからもメールも電話もなかったです。 
彼女も忙しいんだろうなと、思ってたんですがね。 

ところが……

353: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:21:35.81 ID:SXx2AtTZ0
新学期が始まって、ボクは愕然とすることになります。 
もうね、本当に驚きましたよ。顎が外れるくらいポカーンとしたです。 

なぜなら彼女の髪が、みごとな金髪に変わっていたから。

354: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:22:35.35 ID:SXx2AtTZ0
しかも服装は、ビッチそのもの。 

制服のシャツのリボンは無くギリギリまで開襟状態、加えて膝上何センチよ? 
みたいな超ミニ、そして化粧はケバく、若づくりしたAV女優みたいでした。

355: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:23:23.89 ID:SXx2AtTZ0
驚きのあまり声の出ないボクの後ろにドスンと座ると、不機嫌そうに終始無言。 
ボクとは目を合わさない。ボクは何か言おうとするんですが、全く言葉が出ない。 
池の鯉のように、ひたすら口をパクパクするばかりです。

356: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:24:30.03 ID:SXx2AtTZ0
周囲が、ヒソヒソと騒がしくなったところに教師が慌ててやってきて 
彼女は職員室へ連行されていったです。

357: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:25:31.17 ID:SXx2AtTZ0
ボクの部活以外の数少ない友達が、慌てて寄ってきました。 

コイツらには1年前の件も、病院でのことも、映画デートの話もしてあって 
休み中に何度も「今日、告れ!」「明日、告れ!」と突かれていましたから。

358: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:26:55.98 ID:SXx2AtTZ0
「何があったんだ?」 

まず寄ってきたのが、二次ヲタ。 
三次には興味がない、と常々豪語している悲しいピザ。 
中学の頃からの数少ない友達の一人。去年のマネージャーさんの件も 
ちょくちょくと相談していた奴。筋金入りのヲタだがイイ奴だ。

359: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 01:27:21.82 ID:tA6KMPQO0
その豹変が>>1のせいなのか?いや続きを待つ。

360: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:28:59.45 ID:SXx2AtTZ0
>>359 
この時点では、全く不明なんです…… 
ボクのせい……でも、あるようで、ないようで…… 
―― 

ゲーム(特にギャルゲー)とパソコン一般に詳しい。 
エロゲーとギャルゲーの違いを語りだしたら止まらない。それって違うのか? 
悪いが今後、虹ヲタと呼ばせてもらう。

361: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:30:09.84 ID:SXx2AtTZ0
「なんかスゲーものを見た気がするぞ。おまえ何も知らないのか?」 

こいつはメカフェチ。生き物には興味がないと宣言している。 
機械モノをこよなく愛する変態。 
虹ヲタとの部活繋がりで親しくなった奴。成績優秀。イケメン。

362: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:31:11.77 ID:SXx2AtTZ0
好みのタイプは“美少女型アンドロイド”らしい。 
よく知らんが名前もついているみたいだ。バカだし…… 
僻地から通学してるせいで、正式にバイク通学が認められている羨ましい奴。 
今後、メカ夫と呼ぶ。

363: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:33:04.89 ID:SXx2AtTZ0
ボクは驚きで言葉を失っていて、もう気絶しそうなくらいでした。 

そりゃそうでしょう、人生初の楽しいデート相手であった美少女が 
一瞬にして見事なビッチに変身したわけですから。

364: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:34:17.91 ID:SXx2AtTZ0
だから、落ち着いてからゆっくり話そう、ということになり昼休みに奴らの 
所属するパソコン部の部室に集合することにしました。 

部室と言っても授業で使うパソコンが並ぶ、ただのPCルームです。 
専用の部室じゃありません。

365: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:35:20.17 ID:SXx2AtTZ0
このPCルームでは、虹ヲタのせいで何度冷や汗をかかされたか分からない。 

壁紙がエログロ画像とかは当たり前で、 
エラー音が『お兄ちゃん、やめて!』だったり 
いつの間にか全端末にチャットソフトがインストールされて、授業が 
チャット大会になったこともあった。

366: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:37:03.78 ID:SXx2AtTZ0
そんなバカ話は、さておきミドリの件。 
二人ともボクに気を使っているのか、非常に言いにくそうに話を進めるけど 
要は「男ができたから諦めろ」と言いたいらしい。

367: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:38:27.14 ID:SXx2AtTZ0
ボクだけは希望的観測を含めて、ちょっと違う気がしてました。 

もし彼ができたのなら、不機嫌な理由が分からない。 
少なくとも夏休み中にできた彼なら、今はラブラブの真っ最中だと思うわけで。 
ボクの知ってる彼女は、そんな子だったハズだから。

368: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:39:20.00 ID:SXx2AtTZ0
そういうと、三人とも考え込んでしまった。 

男三人で話していても埒があかないということで 
とりあえずメールしてみようとなったわけです。 
……返ってきたのはデーモンでした。またかよ。

369: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:40:02.10 ID:SXx2AtTZ0
それじゃあ電話してみようとなった。 
……着拒否。こっちもか。 

それならと虹ヲタの携帯を借りて掛けてみた 
……出ないし。

370: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:40:57.16 ID:SXx2AtTZ0
結論としては、理由は不明だけど完全に嫌われたんだろう 
ということで落ち着きました……(合掌)

371: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 01:41:39.09 ID:EnRze/Yt0
明日休みだから最後まで付き合うぞ!

372: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:42:11.96 ID:SXx2AtTZ0
>>371 
ありがとうございます。 
―― 

生徒指導の成果なのか、その後の彼女の髪は金髪から汚い茶髪に変わってました。 
ギリギリ通学可能な範囲の色に落ち着かせたんでしょうね。 
短期間に染めを繰り返したせいか、なんだかバサバサで纏まりがなく 
とても残念な感じ。

373: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:43:05.43 ID:SXx2AtTZ0
相変わらず不機嫌な黒いオーラを360度、全方向に発散していて近寄り難かったし。 

それでもボクは勇気を振り絞って、毎朝というか彼女が登校してくれば 
たとえそれが昼でも「おはよう」だけは言ってましたよ。 

当然、何の反応もないんですが。

374: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:44:54.89 ID:SXx2AtTZ0
そのうちに、次の変化が現れることになるんです。 

彼女が、校内でも面倒なグループと言われる男と次々と付き合っていく 
ことになるわけです。これは悲しい。非常に悲しい。 

元がカワイイ子ですからね。狙ってた輩は多かったんですよ。 
弱っているところを狙うとか許せんですが……

375: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 01:45:54.34 ID:SUP7ftQ20
きっついな 
でも分かるぞ

376: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:47:08.74 ID:SXx2AtTZ0
>>375 
もう泣きそうでしたよ…… 
―― 

しかも、どれも長続きせず、次から次へと手当たり次第といった状態…… 
“食い散らかす”という表現がピッタリなわけでして。 

こうなるとクラスだけじゃなく、校内でも有名になり始めて、 
皆が彼女のことを「糞ビッチ」とか「サセ子」とか言うようになってましたね。 

まあ、実際見た目も行動もその通りだし……

377: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:49:03.44 ID:SXx2AtTZ0
そのうち「兄弟にはなりたくねー」とか「病気とか、もらったら堪らん」とか 
「メンヘラとか怖いじゃん」と校内で彼女を相手にする男はいなくなりました。 
当然ながら女子も怖がって近寄らない。 

そして彼女は、孤立していくんです……

378: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:49:59.91 ID:SXx2AtTZ0
噂はさらに加速し、高校生では物足りなくなりカネを持ったオッサンと 
遊んでるとか、AVに出演したらしいとか、薬漬けでヤクザのオンナになった 
なんて話もあるくらいなりました。

379: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:51:06.32 ID:SXx2AtTZ0
さすがにこうなると、ボクの友達も「アレは黒歴史だ。忘れろ」と直接的に 
彼女を諦めるように言ってくるように、なっていきましたね。 

コイツらが彼女の悪評を知りつつも、その内容を言わないでいてくれるのは 
こんな状態でも、ボクに気を使ってくれているからでした。

380: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 01:51:17.93 ID:xNrhXI0M0
女ってこういうのがあるから解せぬのだよなー 
そしてこういうことする子に限って素直じゃないと来たもんだ

381: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:52:59.58 ID:SXx2AtTZ0
>>380 
そう解せないんです。理屈じゃないみたいですから。 
―― 

そして遂に、彼女は学校にすら来なくなるわけです。 

たまに来ているような気配はあっても、クラスには顔を出さないし 
授業も出ない。

382: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:53:48.36 ID:SXx2AtTZ0
だからボクも、さすがにもうダメだなとか思い始めたんです。 

ところがある時、珍しくクラスに顔を出してボクの後ろに座る彼女の左手に 
気づいたんですよ。

383: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:55:14.19 ID:SXx2AtTZ0
なぜかその日までは分からなかったんですが、確かにあの指輪があることに。 
しかもあの時のまま、薬指に…… 

だからボクは……やっぱり彼女には何か辛い事情があるんだ! 
とか考えるようになったんです。

384: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:56:23.16 ID:SXx2AtTZ0
それでまた虹ヲタと、メカ夫に相談したわけです。指輪のことも話して…… 

「おまえなあ、頭大丈夫か?」 虹ヲタが心配そうに言います。 

「悪いことは言わん。やめとけ」 メカ夫が諭すように言います。 

「今さらあのビッ……いや、彼女に近づいてどうするよ?」 

虹ヲタはさすがにイラっときたのか、暗黙の禁止用語を 
うっかりと言いそうになってました。

385: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:57:53.91 ID:SXx2AtTZ0
「おまえが仲の良かった頃とは違いすぎるぞ。 
 もう幻想を捨てて現実を見ろよ」 

メカ夫も呆れたように続けます。もう全否定モード。 

「でも、見てられねーじゃん。いっつも一人で…… 
 なんかあるんだよきっと。カワイそーじゃん」 

ボクも必死でした。コイツらには分かって欲しかったんです。 
たとえ協力してもらえなくても、コイツらには理解して欲しかったんです。 
彼女を……

386: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:58:56.89 ID:SXx2AtTZ0
「おいおい、マジですかぁ~?」 

肩をすぼめながら両手を天に向けて“やれやれ”という仕草を揃って 
しながら、生暖かい目でボクを見つめる二人。 
とか言いつつ、二人とも真剣に考えてくれることになりました。 
やっぱり友達はありがたい。

387: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:59:42.36 ID:SXx2AtTZ0
さて、考えるとは言ったものの何も浮かばない。 

すると虹ヲタが、何だか怪しげな推理を展開し始めました。 
手詰まりのボク達は、今は怪しさ満載の彼の推理に耳を傾けるしかありません。

388: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:00:11.31 ID:SXx2AtTZ0
「きっと、どこかでフラグが立ったということだよね」 

「フラグ?」 ボクとメカ夫が怪訝そうに繰り返します。 

「映画を観に行って、指輪を買わされたところまでは 
 問題なかったんだよね?」 

虹ヲタは構わず持論を展開していきます。

389: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:01:06.50 ID:SXx2AtTZ0
「なら、その周辺になにか選択肢があったハズ。 
 おまえは“Bad Endルート”を辿ったんだよ」 

「選択肢……? ないなぁ。彼女に言われた通り、動いただけだし」 

ボクは、正確性に自信のない記憶を辿りながら答えます。

390: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:02:21.08 ID:SXx2AtTZ0
「じゃあ、環境変数だ。彼女の心境に変化を与える何かがあったハズだ」 

コイツ……完全にギャルゲーとして考えてやがる。 
でも、今はコイツしか頭を働かせてないから仕方ない。 

「そういえば……気のせいかもしれないけど」 

ボクは映画の一件よりも、更に古い記憶を辿ります。

391: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:03:11.15 ID:SXx2AtTZ0
「なになに?」 二人が食いついてくる。 

「彼女の家の前に、変な色のスクーターが停まってたことがあって……」 

「それで」 話を聞く前からこれが原因、と決めて掛かりつつある様子の二人。 

「そのスクーターを見た彼女が、急に黙り込んだことがあったんだ」

392: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:04:27.80 ID:SXx2AtTZ0
それは夏休み前のことでした。いつものように彼女を家まで送っていくと 
いかにも柄の悪そうな目立つスクーターが停まっていたんです。 

オーナーらしき人影は見えなかったんですが、彼女の顔がみるみる曇り 
黙り込んでしまったわけです。 
その時は「おや?何だろ?」くらいにしか考えなかったんですけど。

393: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:05:53.59 ID:SXx2AtTZ0
「……むぅ、そのスクーターってカナブン色みたいなやつ?」 

機械モノの記憶については 
コイツの右に出る者はないメカ夫が言います。 

「そうそう、ラメ入りグリーンみたいな色」 

ボクの記憶はいつも曖昧ですが、さすがにカナブン色のスクーターは 
しっかりと記憶に残ってました。

394: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:07:04.12 ID:SXx2AtTZ0
「それなら、オレも学校の周りで何度か見かけたな。結構弄ってるヤツ 
 だったから覚えてる」 

さすがメカ夫だ。ノーマルではないところまで覚えてるらしい。 
というか、あのカラーリングで、ドノーマルってことはないわな。 

「……それだな」 虹ヲタが満足そうに頷きます。

395: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:08:01.04 ID:SXx2AtTZ0
虹ヲタの推理では、そのスクーターのオーナーと彼女には何らかの 
接点があり、彼女はそれを好ましく思っていなかったんだろうとのこと。 

その件は、きっと学校では知られたくないレベルの話ではないかとの推理。

396: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:08:58.43 ID:SXx2AtTZ0
というわけで、メカ夫が知り合いのショップ経由でカナブン色のスクーターを 
追いかけてくれることになった。なんでも、あれだけ弄ってるならどこかの 
ショップに頻繁に通ってるハズだ、という読みでした。

397: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:10:14.32 ID:SXx2AtTZ0
何日かして、メカ夫がニヤニヤしながらやってきた。 
カナブン号は読み通り、簡単に見つかったとのこと。 
なんでもオーナーは、○○中学の卒業生で現在は高校を中退して何か 
日雇いのような仕事をしているらしいとの情報だった。 

面倒な輩が出てきたなぁ~、というのが正直な感想でした。

398: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:11:21.78 ID:SXx2AtTZ0
メカ夫がカナブン号を追いかけてる間、虹ヲタはミドリの過去を洗っていた。 
彼女と同じ中学出身の同級生から、知り合いの元教師、果ては親同士の 
ネットワークにまで食い込んで調査してくれたらしい。 
お前、卒業したら探偵事務所でも開設したらどうだ? 

そこで分かったことは、噂を含めて次の通り。

399: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:12:43.13 ID:SXx2AtTZ0
まず、彼女は中学の一時期、転校してくる前に荒れていたことがあったこと。 
次に、父は再婚しており、義母の連れ子の義姉がいること。 
そして、義母とは折り合いが悪いらしく、現在は義姉と二人で暮らしていること。 
最後に、義姉とは非常に仲が良く、二人で外出しているところをよく目撃されていること。

400: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:13:57.90 ID:SXx2AtTZ0
ここまでの調査で、カナブンと彼女の接点が分かりました。 
転校前の中学が同じでした。 
ボクは、さすがに彼女の転校前の状況は知らなかったです。 
それどころか、お義姉さんと住んでる、なんてことも初めて知りました。 
彼女とは4年くらい近くに居たわけですが、そんなことは全く知らなかったですよ。 
うぅぅ……

401: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 02:14:40.29 ID:RnKAozPg0
支援!

402: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:14:44.23 ID:SXx2AtTZ0
そこで、ボク達三人が想像したストーリーは次のようなもの。ありきたりですが。 

親の再婚 
 ↓ 
義母と折り合い悪し 
 ↓ 
娘荒れる 
 ↓ 
不良グループへ 
 ↓ 
更正して転校 
 ↓ 
高校入学 
 ↓ 
昔の仲間登場 
 ↓ 
再び荒れ始める ← 今ココ

403: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:15:55.18 ID:SXx2AtTZ0
>>401 
感謝! 
―― 

となると、昔の仲間とやらを何とかすればよいのでは? なんですけど。 
ここで三人は悩むわけです。 
サッカー小僧とピザとメカヲタのトリオでカチコミとか、ありえんわけですよ。 
ヘタすりゃ命だって危ない気がするじゃないですか。

404: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:16:43.46 ID:SXx2AtTZ0
ボクはさておき、あとの二人は縁もゆかりもナイ女子のために命は 
張れませんですよ。 
いや、ボクだってそこまでの覚悟はないかもです。すいません。

405: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:17:36.08 ID:SXx2AtTZ0
そこで、とりあえずカナブンは置いといて義姉に接触をして事情を聞こう 
となったわけです。 
もし、どんな形であれ、今はカナブンと、よろしくやってるのだとしたら 
ボクの出る幕ではありません。まったく余計なお世話でしょうし 
馬に蹴られて死ねるレベルです。

406: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 02:18:33.99 ID:tA6KMPQO0
トリオ、かんばれ。って感情移入しちゃうね。

407: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:18:36.34 ID:SXx2AtTZ0
それに、趣味の悪いスクーターのオーナーとかって、なんか物騒な感じがする 
じゃないですか……すいません。ヘタレで。 

とは言うものの、義姉の歳がいったいいくつなのかも知らないし 
学生なのか仕事をしてるのかも分からない、そういえば、ボクはミドリの 
家の場所は知ってても、電話番号は知らないんです。

408: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 02:18:47.40 ID:CH38FdCSO
後藤ちゃん支援

409: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:20:49.47 ID:SXx2AtTZ0
>>406 
立派な、ダメンズなわけでして…… 
>>408 
恐縮です。 
―― 

というわけで、彼女の自宅を急襲、いやノンアポで訪問することにしました。 
時間は彼女が家にいない時間の方がいいかと思って、まず金曜の午後 
授業はサボりました。一度目は空振りです。 

次は月曜日の午前。二度訪問の訪問です

410: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 02:22:52.95 ID:Wf7Czp0K0
やっと追いついた 
がんばれー

411: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:24:10.02 ID:SXx2AtTZ0
>>410 
ありがとうございます。 
―― 

ボク達三人は、制服のシャツをパンツにピッタリと入れて 
全ボタンを締めて、ネクタイを首まで上げたサラリーマンスタイルで 
彼女の家の玄関前に立つわけです。 

「ピンポーン」 緊張の一瞬です。 

「はぁ~い」 

インターホン越しに若い女性の声。

412: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:25:04.18 ID:SXx2AtTZ0
ボク達三人は「居たっ!」と喜びと緊張の混じった感覚で 
小さくガッツポーズです。 
この瞬間に「もう戻れないぞ!」と思ったのを覚えてます。 
いわゆる「賽は投げられた」状態です。

413: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 02:25:54.10 ID:C7IGUuFI0
おもしろいです 

頑張れー

414: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:27:13.92 ID:SXx2AtTZ0
>>413 
頑張りますー 
―― 

「こんにちは。○○高校二年○組の山下と申します。 
 妹さんの件でお話したいことがあります」 

事前に何度も練習した言葉を噛まないように、マイクに向かって一気に話します。 
ここで怪しまれては先に進むことができません。

415: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:28:53.20 ID:SXx2AtTZ0
「……今、開けますね……」 

玄関に現れたのは、心配そうな表情の女性でした。 
ボク達は、さっきインターホンに向かって言ったことと同じ内容のことを 
言いました。大事なことなので2回言ったわけではありません。

416: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:29:50.24 ID:SXx2AtTZ0
すると女性は、ここでは話がしにくいので近所のファミレスで 
待っていて欲しいと言うと、家の奥へと消えていきました。 

指定されたファミレスで待つこと約30分、先程の女性が現れました。 
ボク達三人は直立してから90度の礼でお迎えします。百貨店の店員並だし。

417: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:31:08.58 ID:SXx2AtTZ0
不安げな表情の女性が自己紹介をしてくれました。 

「はじめまして、ミドリの姉の○○です」 

普段はダラダラしてる3人ですが、この時はできるだけ好印象を与えようと 
いつもの3割増くらいの気合で話します。面接の要領です。 

「ミドリさんと同じクラスの山下、虹ヲタ、メカ夫です」

418: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:32:30.27 ID:SXx2AtTZ0
「妹のことでは、ご心配をお掛けしてすいません」 

本当に申し訳なさそうに、お詫びをする女性。 
そんなに謝られたら困ってしまいます。別に彼女がボク達に 
迷惑をかけたわけじゃないですし、今の状況だってボク達、いやボクが 
勝手にやってて、残りの二人は渋々つき合ってくれてるだけなんですから。

419: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:33:07.71 ID:SXx2AtTZ0
虹ヲタとメカ夫は、黙ってこっちを見る、 
どうやら、ここから先はボクのターンらしいです。 
ボクは相当テンパっていたので、何をどう説明したのか覚えていないです。

420: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:33:58.48 ID:SXx2AtTZ0
それよりも、まず自分がいったい何をしたいのかが 
自分でもよく分かっていなかったから。 
でも、内容は伝わらなかったかもしれないけど、必死さは 
伝わったんじゃないかと思います。

421: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:35:06.57 ID:SXx2AtTZ0
「あなたが山下さんだったんですね。妹からよく話を聞いてましたよ。 
 中学の頃からね。そういえば夏休み前かな、あの子、その頃すごく 
 楽しそうだったんだけど……」 

非常に辛いところから話は始まりました。 
そこを突かれると、ちょっと心が痛いです。

422: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:35:58.81 ID:SXx2AtTZ0
なんだか気まずい雰囲気が漂い始めたんですが、ボクは三人で 
事前に打ち合わせたシナリオ通りに進めます。 

「彼女に何があったのか、ご存じないですか?」 

直球勝負です。

423: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:36:44.92 ID:SXx2AtTZ0
お義姉さんからは一瞬の間を置いて、一見関係のないような言葉が出てきました。 

「実は私、来年結婚するんです」 

「はい……?」 

話の流れが掴めず戸惑い、顔を見合わせる三人。 

「私、あの子と二人で住んでるから、あの子一人になっちゃうのよ」 

その言葉で事情が分かりました。 
そうでした、この姉妹は二人で住んでいたのでした。

424: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:37:41.48 ID:SXx2AtTZ0
「それが悲しいと(ああなるのか?)」 

ボクは言葉の後半部分を飲み込んだ。 

「それを伝えたのが、ちょうど夏休みだったかな。 
 あの子ショックだったみたいで……それと……」 

お義姉さんは、言っていいのかどうか躊躇う様子。

425: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:38:34.08 ID:SXx2AtTZ0
「彼女の昔の仲間のことですか?」 

ボクは思い切って言ってみた。この辺が核心になりそうだったので。 

「……そう、知ってるんだ……」 

お義姉さんは、ポツリポツリと噛み締めるように説明してくれました。

426: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:39:46.13 ID:SXx2AtTZ0
妹、つまりミドリは、父の再婚をきっかけに荒れていた時期があったこと。 
(荒れていたといっても、派手な格好で、似たような子が集まった 
 グループに居ただけとの説明です)

427: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:40:09.29 ID:SXx2AtTZ0
義母との折り合いが悪いせいで、今は両親とは別居状態であること。 
妹の前に現れたのは、たぶん荒れていた時期の仲間だと思うけど 
転校後、昔の仲間とは全く付き合いがなくなっていること。

428: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:41:04.72 ID:SXx2AtTZ0
だから、そいつにしてもストーカーみたいに付きまとっているだけで 
妹も困っているハズだと。 

ボク達三人は、まだ釈然としない表情だった。 

今の説明を聞いても、彼女が華麗な変身を遂げた合理的な説明が 
つかなかったから。 

そして、お義姉さんは続けます。

429: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:42:08.74 ID:SXx2AtTZ0
「あの子、ひとりでスゴく不安なんだと思う……中学の頃も…… 
 お父さんの再婚からあんなふうになっちゃったし…… 
 たぶんだけど……あの子、一人になりたくないんだと思う。 
 だから、誰かに助けて欲しかったんじゃないかと思うの。 
 夏休みの間もずっと山下さんからの連絡を待ってたみたいだったし」 

この言葉を聞いて、三人がビクッと固まります。ボクは頭を抱えます。

430: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:43:05.81 ID:SXx2AtTZ0
虹ヲタとメカ夫の目が痛い。どうやらボクは彼女に期待させるだけ 
期待させて肝心な時に逃げてしまったことになっているようです。 
しかも、絶望まで与えてしまった様子。

431: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:44:04.31 ID:SXx2AtTZ0
激しく落ち込むボクと、それを責める視線の二人を見て 
お義姉さんは慌てて言葉を続けます。 

「違う違う、山下さんを責めてるわけじゃないのよ。 
 私がいけないんだから……今回は、私が居なくなることが凄く不安 
 なんだと思うの。 
 そこに、現れて欲しくない昔の仲間が現れたりしたから、あの子は 
 もうどうしていいのか分からなくなって……」

432: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:45:00.38 ID:SXx2AtTZ0
それで、転校前の頃みたいになってしまったと。 

その時は結果として、お義姉さんが自分を救ってくれたという一種の 
成功体験みたいなモノが、彼女の深層心理にあるのかもしれない。 

ということは、今回も誰かが彼女の前に現れて彼女を絶望の淵から 
救ってあげないといけない。それがボクでいいのか……?

433: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:45:59.42 ID:SXx2AtTZ0
重い空気が4人を包んでいる。虹ヲタとメカ夫の目がボクに 
鋭く刺さっている。痛い。 
彼らの目は「お前が悪い」という非難の眼差し。

434: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:46:48.23 ID:SXx2AtTZ0
そうだろうな、彼女が一番助けを必要としていた時期にその期待を 
裏切って逃げ回ってた奴が、誰あろうボクなんですから。 

でも、言い訳をさせてもらえるなら、ボクはその辺りの事情を全く 
知らなかったわけで……

435: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:47:38.86 ID:SXx2AtTZ0
知ってたら、絶対に彼女を助けに行きましたよ。 
逃げたりなんてしません。たぶん…… 

沈黙に耐えられなくなった虹ヲタが、口を開きます。 

「お義姉さん、大丈夫ですよ。 
 妹さんのことは“コイツ”に任せてください」 

って、えっ? ボク? ですか? 

436: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:48:24.59 ID:SXx2AtTZ0
メカ夫が続きます。 

「そうですよ“コイツ”なら絶対に妹さんを元気な姿に 
 戻せますから。もちろん、ボク達も手伝います」 

やっぱり、ボクなんですよね?

437: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:49:27.04 ID:SXx2AtTZ0
自信満々で無駄に力強い言葉を聞いて、お義姉さんは安心したような 
不安なような複雑な表情をしてました。 

あと一押し、ボクの決意表明があれば、その表情が少しだけ安心側に 
振れそうな雰囲気なんですが……

438: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 02:50:07.05 ID:SUP7ftQ20
うむ、頑張って欲しいわ

439: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:50:16.55 ID:SXx2AtTZ0
基本的にヘタレなボクは、なかなか言葉が出ないわけです…… 

もう友達二人は怒りの目になってます。爪でテーブルをカチカチと 
叩き始めています。テーブルの下で足も踏んづけてきました。

440: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:51:14.33 ID:SXx2AtTZ0
>>438 
もうちょいで頑張れそうです。 
―― 

『いい加減、覚悟を決めろ!』という声が聞こえてきそうな目と 
態度だったです。 
お義姉さんはというと、期待と不安に満ちた目でボクを見つめてます。 
三人の視線に後押しされて、ついにボクはその決意を口にすることに 
なります。

441: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:52:21.91 ID:SXx2AtTZ0
「ボク、彼女を助けたいんですっ! 
 余計なお世話かもしれないけど……」 

「山下さん……」 

お義姉さんの顔が一瞬、輝いたように見えました。 

決意表明、所信表明演説、なんでもいいから更に続けます。

442: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:53:12.08 ID:SXx2AtTZ0
「今日は、お義姉さんにそれを伝えたくて会いに来たんです。 
 だから……彼女にもう一度笑って欲しいから…… 
 精一杯やってみますっ!」 

虹ヲタとメカ夫が大きくうなずき、テーブルの下で拍手したように 
見えました。

443: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:54:04.51 ID:SXx2AtTZ0
お義姉さんは、号泣状態でボク達三人の手を取って喜んでくれました。 
あの子をよろしくお願いしますと、深々と頭を下げて帰っていきました。 

言っちゃったよな……こりゃ責任重大だぞ…… 
他人の人生背負っちゃった感じだし。 
ボクと二人の友達は自分達の発言の重さに、かなりビビッてました……

444: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:55:25.96 ID:SXx2AtTZ0
切りのいいところまで投下できましたので 
続きは明日ということで、お願いいたします。 

それでは、おやすみなさい。

445: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 02:56:36.67 ID:SUP7ftQ20
乙! 
明日も読みます

446: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:59:07.79 ID:SXx2AtTZ0
>>445 
長時間お付き合いいただき、感謝です。 

明日も来るのは、夜になると思います。

447: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 03:02:39.49 ID:NjIAP5/G0
乙! 
まってます

448: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 03:07:19.41 ID:SYylVozU0
おつ!

451: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 03:24:17.45 ID:EnRze/Yt0
お疲れ様です!話の中に引き込まれるわ

452: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 03:55:50.61 ID:KYIfwysz0
読みやすいよ 明日も待っている!

455: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 05:10:47.90 ID:lVqNYC2t0
独特の文体で読ませるな~。 
癖になりそうw

467: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 23:45:34.19 ID:SXx2AtTZ0
こんばんは。 

そろそろ投下を始めたいと思います。 
たぶん、今回で終われる予定です。

469: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 23:48:10.68 ID:SXx2AtTZ0
昨日の続きからです。 
―― 

それからボク達三人は、ファミレスに残って今後の作戦会議。 
やっぱりカナブンとの対決は、避けれそうにないことが分かったけど 
どうすればいいのか具体策はなかった。


468: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 23:46:45.64 ID:xNrhXI0M0
きたな!

470: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 23:48:58.67 ID:SXx2AtTZ0
>>468 
きました! ちょっと遅くなりましたけど。 
―― 

それに彼女の本当の気持ちが分からない以上、万一、カナブンを 
退治できたとしても、その後に「余計なことをしてっ!」恨まれる 
可能性もゼロじゃない。

471: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 23:49:58.95 ID:SXx2AtTZ0
というわけで、やっぱり彼女本人と話をしなきゃ始まらないという 
結論になりました。なんというか……あまりにも当然の結論です。 
って、最初に気づけよ。 
いや最初に、やったけどダメだったんだってば。

472: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 23:50:45.46 ID:SXx2AtTZ0
そして、カナブン退治に彼女が同意すれば、もう直接対決しかないとなった。 
う~ん、正直なところ気が重い。鬱だし。 

ボク達は、さっき聞いたお姉さんの携帯に連絡して彼女にボク達が話を 
したがってることを伝えてもらうことにした。あとは明日。

473: 名も無き被検体774号+ 2012/10/06(土) 23:50:53.38 ID:LQV7ZpkI0
待ってたぜ!

474: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 23:52:07.56 ID:SXx2AtTZ0
>>473 
お待たせです。 
―― 

翌日、彼女は遅刻せずに登校してきました。 
ボク達を探すように、クラスを見渡しながら入ってくると静かに自席に着く。 

クラスの視線が、彼女に集中している。ちょっと可愛そう。

475: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 23:53:09.47 ID:SXx2AtTZ0
ボクは、これまでと同じように「おはよう」と言い 
続けて「昼休みにPCルームで」と告げました。 

反応はなかったけど、とりあえず伝わったと思う。

476: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 23:53:56.19 ID:SXx2AtTZ0
それからの時間、ボクの緊張はどんどん高まることになります。 
背中に彼女の視線が刺さっている気がします。気のせいかもしれないけど。 
休み時間には後ろを振り返り、適当に話をしているフリを続けます。

477: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 23:54:47.18 ID:SXx2AtTZ0
そうしないと、彼女は一人になってしまいますからね。それは辛いでしょう。 
彼女は返事はしませんが俯きながらも、上目遣いに視線を送ってくれます。 
それは、きっと期待している証拠。

478: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 23:55:31.40 ID:SXx2AtTZ0
お義姉さんから大方のことは、聞いているに違いないし。 
ボクは彼女に期待されているという嬉しさの反面、これから自分に 
起こるであろうことへの不安でいっぱいでした。

479: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 23:56:31.28 ID:SXx2AtTZ0
緊張の昼休み。 

ボク達三人はPCルームでパンをかじりながら待っていました。 
すると、扉が少しだけ開いて誰かが中を伺っている気配。 
ボク達はできるだけ明るい声で彼女を迎えます。

480: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 23:57:19.17 ID:SXx2AtTZ0
「ミドリかな? 待ってたよ」 

その声に促されて不安げに、そしておずおずと入ってくる彼女。 
しかし、姿と表情がこれだけギャップのある子もないよなぁ。 
ビッチスタイルなのに不安気って、やっぱり相当無理してるんだな。

481: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 23:58:02.63 ID:SXx2AtTZ0
ボク達三人は彼女を刺激しないように、できるだけゆっくりと話しました。 

そして……ボクの気持ちは夏休み前のままだし、今でも彼女のことを放って 
おくことはできないと思っていることを、精一杯伝えました。

482: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 23:59:09.00 ID:SXx2AtTZ0
もちろん、夏休みに連絡できなかったお詫びもしましたよ。 
たくさんの言い訳を添えて。 

そして、カナブンのことはボク達でなんとかするし、何の心配も 
要らないと伝えました。 

本当は、こっちが心配だらけだったんですけど。

483: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:00:09.92 ID:SXx2AtTZ0
調子に乗って、お義姉さんが結婚で家を出た後はボクが…… 

と言いたかったのですが、それは問題が解決してから 
別の形で伝えることにしました。

484: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:01:05.65 ID:SBzO9ltG0
彼女は黙って話を聞きながら、静かに泣いていました。 
こちらの話が終わると、彼女は消え入りそうな声で呟きます。 

「ありがとう……」

485: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:02:01.21 ID:SBzO9ltG0
早速、その日の帰りから作戦実行。 

といってもボクと彼女が一緒に帰るだけ。部活は当面休むことに。 
そうすれば、そのうちカナブンが出てくるだろうという読み。

486: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:03:01.86 ID:SBzO9ltG0
万一、なにかの気まぐれで奴が出てこなければ、超ラッキー。 
ボクと彼女の、ハッピーエンドが待っているハズ…… 

って、そんな都合のよい話はナイだろうけど。

487: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 00:03:19.70 ID:SyPZpVM60
オレの高校時代とはえらい違いだ 
羨ましいわ

488: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:04:23.61 ID:SBzO9ltG0
>>487 
平和な方が、よかったと思いますよ。 
―― 

ボクと彼女は、できるだけ自然に二人並んで歩き、その後ろを 
虹ヲタとメカ夫が、バイクで尾行する。 

最初の一週間は、何も起こらなかったです。

489: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:05:27.82 ID:SXx2AtTZ0
1日目は、彼女と少し距離が開いた状態で帰りました。ずっと無言 
2日目は、並んでみた。やっぱり無言 
3日目は、ピッタリ寄り添う形になった。でも無言。 
4日目は、彼女から腕にしがみついてきた。震えてる。少しだけ話した。 
5日目は、お互いの手を絡めてみた。昨日よりも話ができた。 

う~ん、正直疲れた。汗だく。ヘトヘト。

490: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:07:06.30 ID:SBzO9ltG0
週末は会うことはなかったけど、時間を見つけては電話もメールもしましたよ。 
もう、夏休みのような失敗を繰り返すわけにはいかないですからね。 

もし彼女の様子に変わったことがあったら、すぐにでも飛び出すつもりで。

491: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:08:19.31 ID:SBzO9ltG0
彼女は、どちらかというと電話よりもメールの方が話しやすい? 
というか、字面が落ち着いた雰囲気でしたね。 
メールの行間には、沈黙が表現されませんから。

492: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:09:01.57 ID:SBzO9ltG0
二週間目。 

先週と同じく彼女はボクの腕にしがみついている。正直なところ歩き辛い。 
でも、悲壮感が少し減ったように見えたのは良かったかも。

493: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:10:07.88 ID:SBzO9ltG0
時折だけど、ボクの顔を見て微笑んでくれるようになったし。 
週末の会話で、少しほぐれたのかな。 
そして、天気のこと、学校のこと、みたいな会話がポツポツと 
できるようになりました。

494: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:11:06.01 ID:SBzO9ltG0
このまま何も起こらなければ、いいのになぁとか考えるようになった頃…… 

やっぱり現れた。カナブンだ。 

彼女がボクの背中に隠れて、ぎゅっとしがみついてくる。 
後方からメカ夫のバイクのエンジン音が高くなり、近づいてくるのが分かる。 

カナブン号から男が降りて、こちらを見る……

495: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:12:32.73 ID:SBzO9ltG0
打ち合わせ通りにメカ夫にミドリを託して、虹ヲタとボクの二人で 
カナブンと対峙する。 

相手は無言…… 

こちらも無言……

496: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:13:54.92 ID:SBzO9ltG0
こちらとしては、戦闘開始まで時間があればあるほど有利。 
なぜなら、ミドリを自宅に避難させたメカ夫が合流すれば3対1になるから。 
相手よりも、人数が多いに越したことはない。

497: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:16:01.14 ID:SBzO9ltG0
どのくらい時間が経ったかな、カナブンが何か話しそうな雰囲気。 

沈黙で交渉が進まなくなった時は、先に話し始めた方が譲歩する場合が 
多いと聞いたことがある。 
でもそれは、交渉の場合。武力衝突には適用されない法則だと思います。

498: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:16:58.47 ID:SBzO9ltG0
虹ヲタはさておき、ボクは元々が口数が多い方じゃないから 
沈黙は怖くない。何時間でも黙っててやりますぜ。 

こちらの作戦を知ってか知らずか、カナブンが遂に口を開く。 

「あんたら何者?」

499: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 00:17:31.71 ID:SyPZpVM60
全くどーでもいいが 
30代ってウソだろ? 
本当は20代後半だろ?

500: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:17:39.24 ID:SBzO9ltG0
すぐにでも詳細を説明したい気持ちを、ぐっと堪えてボクは…… 

「何者だと思う?」 

質問返しとは、我ながらひねくれたもんです。 
とりあえず相手に、頭を使ってもらいましょう。 
その分、こちらには考える時間も情報も増えますから。

501: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:19:12.27 ID:SBzO9ltG0
>>499 
その辺は、ご想像にお任せします(笑) 
―― 

少しイラついた表情を見せながらカナブンが続けます。 

「その制服は○○高校だろ。ミドリの知り合いかなんかだろ?」 

「だったらどうする?」 

あくまでも、とぼけて交渉のテーブルに乗らないボク。

503: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:21:00.75 ID:SBzO9ltG0
というか、何をどう交渉したらいいのかまったく分からないし、こうやって 
言葉遊びをしてる中で何か突破口が見つかれば……とか思ってたのが本音。 
すると…… 

「どっちが、彼女と付き合ってるんだ?」

502: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 00:20:52.04 ID:UtCtA0Jq0
>>1きてたー!見てるよ!

504: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:22:27.87 ID:SBzO9ltG0
>>502 
きましたー! ありがとー 
―― 

意外なことを意外なトーンで言い出すカナブン。コイツの言葉に怒気はない。 
ボクは、ひょっとしてコイツは悪人じゃないのかも? という考えが頭をよぎる。 
だから、ちょっと話をしてみようかという気になったですよ。

505: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:23:54.94 ID:SBzO9ltG0
「今のところ付き合ってるとかはないけどね。 
 ただね、彼女がアンタを怖がってるみたいだから 
 ボディーガードみたいなもんだ、と言えばいいかな」 

「そうか……」 

この一言からカナブンが語り始める……えっ?語り始める?!

506: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 00:24:35.83 ID:SyPZpVM60
野暮な質問だったな 
スマン続けてくれ

507: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:25:37.39 ID:SBzO9ltG0
オラオラ言いそうな輩っぽい外見とは違い、彼は武力衝突ではなく 
外交での解決を望んでいるようなのです。 
これは渡りに船、地獄に仏、鴨がネギ、いや違うか、 
とりあえず、こちらには好都合でした。 
 ・ 
 ・ 
 ・ 
本当は、涙が出るくらいホッとしたんですよ……

508: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:27:15.28 ID:SBzO9ltG0
>>506 
ハイ、続けます。 
―― 

結論から言うと、彼は中学の頃からミドリが好きだったらしい。 
彼女と直接話をしたことはなかったものの、例のメンバーの中で 
ちょっと異質な彼女が、ずっと気になっていたとのこと。

509: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:29:40.67 ID:SBzO9ltG0
ところが、彼女が中二で急に引越しをしてしまったせいで 
行方が分からなくなり、ずっと気にしていたと。 

そして、この夏休み頃に、偶然ボクと一緒に帰る彼女を見つけて 
つい彼女の後をつけた上で、待ち伏せをして声をかけてしまったらしい。

511: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:31:54.60 ID:SBzO9ltG0
ところが、その頃を境に彼女が急変していったから、彼も驚いて 
その原因の一端が、自分にあるのかと思ってしまったと。 

だから、引くに引けない状態になっていたらしいです。 
おまけに、次々と連れて歩く男が変わっていくものだから心配で……

510: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 00:30:13.31 ID:WaGLn23O0
ストーカーはいかんね。

512: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:33:22.15 ID:SBzO9ltG0
>>510 
ですね。 
―― 

彼も不器用な男のようで、結果的に自分の存在が彼女を 
追い込んだらしいことには、とても困惑してましたね。 

彼は彼なりに彼女が変わっていく様を心配し、何とかしたいと 
考えていたようですから……

513: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 00:34:17.03 ID:ekQHWCkG0
ただの奥手くんか

514: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:36:29.78 ID:SBzO9ltG0
>>513 
ボク達の前では、そのように見えました。 
でも、強面でしたよ。 
―― 

途中からはメカ夫も合流し、ボク達4人は公園で話をしました。 
30分くらい話しましたかね。 

彼女の状況は、ある程度までカナブンさんにも話しました。 
彼は、自分の行動が彼女を怖がらせたことについて素直に謝罪をし 
それを彼女に伝えて欲しいとのことでした。

515: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:37:40.58 ID:SBzO9ltG0
そして、もう二度と彼女の前には姿を見せないだろうことも。 
帰り際に、彼はボクの目をしっかりと見つめてこう言います。 

「彼女のことはアンタに任せた。俺はアンタを信じる」 

「わかった」 

ボクは短く答えましたが、頭の中では何だか言葉にしにくい感情が 
渦巻いていました。

516: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:38:43.91 ID:SBzO9ltG0
妹をお願いします、と号泣しながら頭を下げたお義姉さん…… 

自分の気持ちを殺して、ボクに彼女を託したカナブン…… 

自らの危険も顧みず、イヤな顔ひとつせずにここに居てくれる友達……

517: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:39:52.74 ID:SBzO9ltG0
みんな、いい人です。何かこう……暖かいものというのか…… 
ボクとミドリに向いている、みんなの気持ちが嬉しくて 
ひとりで、ジーンとしてました。 
実はその時、泣いていたかもしれません。

518: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:41:11.22 ID:SBzO9ltG0
というわけで、カナブンさんについては、一件落着となりました。 

事務的に“一件落着”と言うには、ちょっと切なかったですが……

519: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:42:53.61 ID:SBzO9ltG0
ボク達三人が、ミドリの家で状況を説明しているところに 
お義姉さんが帰ってきました。 

昔の仲間の件については、片が付いたことを報告すると 
とても喜んでくれて、その日は夕食をご馳走になることに。

520: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:44:07.32 ID:SBzO9ltG0
メニューはカレーだっと思います。急に量を作ることになりましたから 
豪華なディナーとはいかないでしょう。 

それでも5人で囲む食卓は楽しいものでした。ミドリの笑顔をみるのは 
数ヶ月ぶりでしたし。

521: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:45:08.21 ID:SBzO9ltG0
ボクはその時の話の流れで、それから毎朝夕にミドリを 
送迎することになりました。名目上はボディーガードです。 

本当は、もう不要なんですけどね。

522: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:46:01.06 ID:SBzO9ltG0
翌朝。 

ボクはミドリの家へ向かいました。お迎え初日です。 
そこでまた驚くわけです。いや、今度はいい意味で。

523: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:47:27.73 ID:SBzO9ltG0
ボサボサだったロングの茶髪が、見事にショートになってました。 
しかも、天使の輪を装備した綺麗な黒髪。もちろん制服も普通に。 

そして、照れながらボクを見るとモジモジしながら…… 

「似合ってるかな……」 

もうね、キュン死です。ボク。

524: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:48:48.79 ID:SBzO9ltG0
奥からお義姉さんが出てきて、笑いながら種明かしをしてくれます。 

「山下さん達が帰った後で急に美容院に行きたいって言い出して 
 もう大変だったんだから」 

「スゲー似合ってます。超カワイイです!」 

ミドリは顔を真っ赤にして、相変わらずモジモジしてる。 
なんだかキャラが変わってるし。

525: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:50:05.51 ID:SBzO9ltG0
お姉さんに急かされて登校することになったのですが 
なんだか恥ずかしくて話ができません。 
そのうち、ミドリから話を始めます。 

去年の夏休みのことです。

526: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:51:40.31 ID:SBzO9ltG0
彼女が劇的に変わったのは、カナブンの存在から過去の自分が知れ渡り 
みんなが、自分から離れていくのが怖かったから。 

しかも夏休みに入って、仲直りしたハズのボクからメールの1本すら 
来なくなっていたので、自分はもう嫌われてしまったのかもしれないと 
落ち込んでいたのにと。 

(この件は、つくづく面目ない……自分がヘタレだったばかりに……)

527: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:52:33.63 ID:SBzO9ltG0
おまけにお義姉さんまで、自分から離れていくことが分かり 
もう、どうしようもなくなったせいで、あんな風になってしまったとのこと。 

彼女にしてみれば、中学の頃にそんな風になった時には、お義姉さんが 
必死になって自分を庇い、支えてくれたことがあったから、今度も誰かが…… 
と無意識に思ったのかもしれない。

528: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:54:14.94 ID:SBzO9ltG0
それに……あの荒れた自分も確かに自分であり、それを隠し続ける 
ことはできないと。 

だから、自分が誰かを好きになった時には、いつかは伝えなければならない 
ことだと、ずっと思っていたと。 
彼女は、それを受け入れてくれる人としか付き合うことはできないと考えていたとのこと。

529: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:54:57.43 ID:SBzO9ltG0
そして、校内のできるだけ目立つ男と次々に付き合ったのは 
カナブン対策。やっぱり怖かったから。

530: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:56:03.20 ID:SBzO9ltG0
とにかく誰かに傍に居て欲しかったから、言い寄ってくる奴を全て 
オーケーしたらしい。 

でも、すぐに手を出そうとする失礼な奴とは、二度と会わなかったと。 
だから、結果として手当たり次第になったとも。

531: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 00:56:44.05 ID:SyPZpVM60
ほう、つまり 
男遊びしてるようで 
行為はしてないと?

532: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:57:42.59 ID:SBzO9ltG0
>>531 
という申告です。追求はしません(笑) 
―― 

そういう事情だから彼らとは、噂になっているようなことは 
絶対になかったということを、ボクにだけは信じて欲しいと言われました。 
そんなに必死な目で見ないでも、そこは全力で信じますよ。はい。

533: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 00:59:09.38 ID:SBzO9ltG0
「もし、そんなことがあったとしても 
 それは過去のことだから気にしないよ」 

なんてカッコつけて言ったらスゲー怒られた。というか泣かれた。 

「だから信じてって言ったのに……」 

目にいっぱいの涙を溜めて言われてしまいました。反省。

534: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:00:41.62 ID:SBzO9ltG0
そこで疑問。 
なぜ最初からボクにカナブン対策をお願いしなかったのか、と尋ねてみると。 

彼女は、ボクがきちんと告白してくれていたなら、何も問題はなかったのに 
と拗ねた目で軽く睨まれましたね。 
そうでした。告白どころか夏休みは、一度も連絡してませんでした…… 
すいません。

535: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:00:47.47 ID:ANbxjGMi0
支援

536: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:02:13.81 ID:SBzO9ltG0
>>535 
感謝 
―― 

そんなわけで、彼女は学校にも毎日来るようになったのですが 
勉強のキャッチアップは、少々辛いものがありました。 

でも、一生懸命がんばると言うんで、昼休みのPCルームを使って 
一緒に勉強しました。

537: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:04:21.98 ID:SBzO9ltG0
ボクの苦手な科目は、虹ヲタとメカ夫が担当。 
というか、ほとんどメカ夫におまかせ(笑) 

コイツは、女性耐性がまったくなかったせいで、至近距離で女子に 
見つめられると、それがミドリでもまともに話ができなかったんですが 
しばらくすると普通に話せるくらいまで成長しました。

538: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:06:30.29 ID:SBzO9ltG0
そして、教え上手だということが判明し、噂を聞いた何名かの女子から 
志願があり、一緒に勉強するようになったんです。 
ボクとミドリは部活があったんで、昼休みだけでしたが、彼らは放課後も 
PCルームで集まっていたようです。

539: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:08:09.80 ID:SBzO9ltG0
実は、メカ夫は隠れた人気モノだったようです。 
相手は、どちらかというと地味子さん系でしたがね。 
でも本当にいい奴だし、イザとなるとヲタとは思えないくらい 
頼もしいですから。 

虹ヲタですか? まあ、それなりです(笑)

540: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:09:43.52 ID:SBzO9ltG0
そして、校内は学園祭シーズンに突入し、活気づいていくわけです。 
最近はボクとミドリ、虹ヲタ、メカ夫、そして地味子さん数名がひとつの 
グループになってましたからね。 

今年の学園祭は、楽しくなりそうだなとか思ってました。

541: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:10:41.57 ID:SBzO9ltG0
そして、ボクには計画があったのです。学園祭の時にミドリに告白しようとね。 

やっぱり、色んなことがあって彼女が弱ってる時につけこむとかフェアじゃない 
と思ってたんですよ。 
だから、しばらく時間を置いて、彼女が元通り元気になったら決めてやるぞと。

542: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:11:24.18 ID:6NeYJ4d10
いやな予感

543: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:11:42.25 ID:b+UJmPt70
うん

544: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:12:05.74 ID:SBzO9ltG0
>>542 
わかります? 
―― 

ところが、これがいけなかった…… 
ある日、彼女からメールが到着するわけです。 

「話がある。5時に校門で待つ」 

愛想のないメールでした。なにか深刻な雰囲気が漂っています。

545: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:13:11.36 ID:SBzO9ltG0
>>543 
そうなんです。 
―― 

部活が終わり、校門へと急ぐとミドリが待ってました。例の雰囲気です。 
これは、誰か好きな男ができた様子だなと思ったです。 
なんだか自分の肩がドヨーンと落ち込んだ気がします。

547: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:14:07.38 ID:SBzO9ltG0
非常に気が重かったですが、約束した以上トンズラするわけには 
いかないので諦めます。 

「遅くなって悪いな」 

まだ約束の時間まで10分以上あるんですが、とりあえず 
到着通知の第一声です。

546: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:14:01.10 ID:JMguoQoT0
ドキドキ…

548: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:14:57.58 ID:SBzO9ltG0
>>546 
ボクもドキドキしてました。 
―― 

「いい……さっき来たとこだから」 

彼女が力なく答えます。

549: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:15:10.69 ID:SyPZpVM60
嫌だー 
上手くいかないなら寝る!

550: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:16:07.48 ID:SBzO9ltG0
>>549 
…… 
―― 

これって、正に1年半ほど前と同じ光景じゃないですか?! 

ボクはもう逃げ出したくなりましたね。これから二人でファーストフード店へ 
行って、ポテトと飲み物で小一時間話すんですよね。他の男のハナシを。 

あ”ーもう勘弁してくれ……

551: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:17:05.99 ID:SBzO9ltG0
二人並んで夕暮れの中、学校からの坂を下ります。 
赤い夕陽の風景にもかかわらずボクはブルーでした。 
文字通りトボトボと歩き、ファーストフード店へ到着。 

端の席を陣取りポテトと飲み物で準備完了。

552: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:17:57.79 ID:SBzO9ltG0
「男性の意見が聞きたい……」 

ミドリの第一声。そして…… 

「私、好きな男の子がいるの……でも、どうしていいかわからなくて……」

553: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:18:24.23 ID:Kvkj67Eu0
最後の1行はオレたちみんなの心の声だよ

554: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:19:23.29 ID:SBzO9ltG0
>>553 
ボクの心も同じですが…… 
―― 

ボクとしては、一番聞きたくなかった言葉でした 
目の前が真っ暗になって、気が遠くなっていくのを感じました。 
終わったです。すべてが……

555: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:20:02.16 ID:SBzO9ltG0
彼女は、はにかむようにストローの袋をコネコネしながら、小さな声で 
ポツリポツリと話しています。 

デジャヴどころではないですよね。ループですよループ。全く同じ光景を 
体験したことがありまよ、ボク。

556: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:20:41.19 ID:oJwtEJDp0
ああああ…

557: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:21:13.69 ID:SBzO9ltG0
>>556 
うぅぅ…… 
―― 

その場から逃げ出したい気持ちを抑え、気を取り直して挑むことにしました。 
なぜなら、きっとこれが彼女からの最後の相談になると思ったからです。 
視界の中で彼女が小さくなっていきます。なぜが歪んで見えてきました。

558: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:21:57.86 ID:SBzO9ltG0
息が苦しい。でも、ボクは気力で真っ直ぐと座っていました。 
彼女を直視することはできなかったですけど。 
前回の相談はグダグダになりましたが、最後の相談くらいは 
きちんとしようと……うぅぅ……目から水が……

559: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:22:05.25 ID:hv4JEETI0
分からん、まだ分からん 
>>1が上手くいく、と信じたい

560: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:22:22.79 ID:SBzO9ltG0
彼女の話によりますと…… 

好きな子というのは、昔から友達として仲のいい男の子のこと。 
自分は彼のことが好きだという気持ちに、つい最近ハッキリと気がついたと。

561: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:22:56.53 ID:6NeYJ4d10
これは…

562: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:23:01.33 ID:SyPZpVM60
好きな男ってまさか•••

563: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:23:41.79 ID:SBzO9ltG0
>>559、561、562 
そうです。最後の1秒まで。 
―― 

最近は彼と、なんとなくいい雰囲気まではいくんだけど、もう一歩を踏み出す 
勇気がない。「好き」という肝心な一言が言えない。 
だから今のままの関係を続けようと決めたんだけど、もう耐えられないと。

564: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:24:14.49 ID:oJwtEJDp0
おお…

565: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:24:31.12 ID:hv4JEETI0
おおおおお、きたかーーーーーー??

566: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:24:54.94 ID:ANbxjGMi0
ktkr

567: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:24:56.09 ID:SBzO9ltG0
>>564、565 
…… 
―― 

でも、もしダメだったら、友達ですら居られなくなるのかと思うと苦しくて 
苦しくてどうしようもないとのこと。 
実際、一言も話すことができない期間があって、その時はとても辛かったと。

568: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:25:44.00 ID:SBzO9ltG0
>>566 
wktk 
―― 

似たような境遇の奴がいたもんだと思いましたね。 
その気持ちは痛いほど分かりますよ。だからボクも真剣に答えます。 

「その気持ちはよくわかるよ…… 
 でも結局はケリをつけないと先には進めないから」

570: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:26:22.34 ID:SBzO9ltG0
ボクは他人事とは思えない内容を自分に重ねて話します。 
まるで自分自身に語りかけるように。 
友達として居心地がいいと思うなら、そのままの関係を続ければいい。

571: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:26:24.47 ID:c8r6nYNC0
支援!!

572: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:27:23.10 ID:SBzO9ltG0
>>571 
感謝 
―― 

でも、いつかはどちらかに恋人と呼ばれる人物が現れることになる。 
その時に心から祝福できるなら、その気持ちは本物。 
もし、そうでないなら……友達であり続けたことを、きっと後悔する 
ことになると。

573: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:27:59.54 ID:SBzO9ltG0
「言わずに後悔するくらいなら、言って後悔した方がいいかもしれないよ……」 

どこかの博士の受け売りです。 
ここまで言ってボクは我に返ったんです。 
そうだっ! ボクも同じだと――

574: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:28:43.36 ID:UtCtA0Jq0
wktk

575: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:28:46.37 ID:SBzO9ltG0
ボクは背筋を正してミドリを見つめる。もう彼女の相談なんてどうでもいい。 
今、ここでボクが想いを伝えなければ彼女は相談内容の“仲のいい子”のところへ 
行ってしまう。 
そうなってしまったら、ボクはヘタレな自分を一生後悔することになる。

576: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:29:11.79 ID:hv4JEETI0
いいぞ、いいぞ

579: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:30:28.06 ID:SBzO9ltG0
>>574 
ktkr 

―― 

「ミドリ……ボクの話を聞いてくれないか」 

彼女は、急に改まったボクを見て驚いた表情ながら、コクリと頷く。 

「今の話を聞いてさ……自分に重なったんだよね。 
 だからさ、相談途中で悪いんだけど、先にボクの話を聞いて欲しい。 
 その後で、そっちの相談内容の結論を決めてもらってもいいかな」

580: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:31:06.56 ID:c8r6nYNC0
キャーー!キター!

581: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:31:31.50 ID:SBzO9ltG0
>>580 
わーわー 
―― 

ここまで聞いて、ミドリは俯いて黙ってしまった。ボクは構わず続けます。 

「実はボクにも、同じように仲のいい子がいてさ。 
 もうしばらくは、友達でいようと思ってた。 
 でも……その子に好きな子がいるらしいと聞いて…… 
 今、ここで伝えないと、一生後悔すると思ったんだ」 

「……うん」 

ミドリの目に涙が浮かんでいる。なぜだ?

582: 忍法帖【Lv=20,xxxPT】(2+0:8) 2012/10/07(日) 01:31:46.92 ID:IDs4SB+x0
パンツ窓から捨てたけど 
俺の行動は正解だよな!?

583: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:32:19.69 ID:+UqtyHix0
良かったなー!!

584: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:32:41.28 ID:SBzO9ltG0
>>582 
ぜひ履いたままで。 
>>583 
返事はまだですがね。 
―― 

「ミドリ……ボクはキミが好きな自分に気がついた 
 いや、これまで何年も気づかないふりをしていたんだ…… 
 友達じゃなく、ボクの彼女になって欲しい」 

額が汗でびっしょりだ。目の前の紙コップと同じ状態。

585: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:33:10.94 ID:hv4JEETI0
ヘタレ脱却!!

586: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:33:22.12 ID:c8r6nYNC0
うおおおおおお!よく言った!!

587: 忍法帖【Lv=20,xxxPT】(1+0:8) 2012/10/07(日) 01:33:38.19 ID:IDs4SB+x0
いいないいな

588: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:33:41.83 ID:Kvkj67Eu0
信じていいんだよな!?

589: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:34:44.67 ID:SBzO9ltG0
>>585、586、587、588 
遂に! 言えました! 
―― 

不思議なもので、告白というものは言い終えてしまうと非常にスッキリ 
するもんだなと。

590: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:34:48.50 ID:f3MOVVtg0
すげードキドキしてきた!

591: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:35:39.37 ID:SBzO9ltG0
>>590 
当時のボクもドキドキで 
―― 

人生初の告白経験…… 

これまでのモヤモヤとした気持ちがウソのように心の中が透き通って 
自分の心の底まで見通せる感じ。 

もちろん回答が「ごめんなさい」だったら、それはそれで落ち込むだろうけど 
このスッキリした感覚は、残ってくれると思ったし。いや、そう願っただけかも。

592: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:36:08.41 ID:SBzO9ltG0
ミドリは黙って俯いている。肩が細かく震えているのが分かった。 
泣いているのか? 
まさか笑っているんではないと思うが? 

「△●※□■~~~」

593: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:37:03.27 ID:SBzO9ltG0
言葉にならない声を上げ、涙と鼻水でグシャグシャの彼女がボクの胸に 
飛び込んできた。泣きながら何か言っている。 
(ユーサクのバカ~)と言っているように聞こえた。違うかもしれんが。

594: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:38:02.58 ID:SBzO9ltG0
しばらくは何を言ってるのか分からない。 
怒っているのか、悲しんでいるのかすら判断できない。 
店中の注目が集まっているのを感じたけど、そんなことに構ってられる余裕はない。

595: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:38:59.71 ID:SBzO9ltG0
「ユーサクはズルい……バカ……」 

やっぱり怒っているのか? 
ダメなら、ひと思いに殺ってくれと思いましたね。 


「相談……ユーサクのことだったのに……」 

「え”?」

596: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:39:34.67 ID:hv4JEETI0
キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!

597: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:40:17.09 ID:SBzO9ltG0
>>596 
きましたー 
―― 

そういえば、あまりにも似通った状況だなとは思ってたですが、そんなの冷静に 
分析できる状態じゃなかったですから……しまった。早まったか。 

「でも、嬉しい」 

ミドリが笑顔に変わります。そして…… 

「返事はもちろん、イエスだよ」 

まだ睫毛が涙で濡れてましたけど、それが余計に可愛かったです。 

598: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:41:03.62 ID:UtCtA0Jq0
おめでとう!!

599: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:41:06.00 ID:lzV8fDDBP
ままままさかの今の奥さん???

600: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:41:15.37 ID:SyPZpVM60
オレも笑顔に変わります

601: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:41:23.46 ID:Kvkj67Eu0
おめでと~☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ 
もう修羅場はないよな??

602: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:42:22.15 ID:ZxnGzyZqO
マネージャーの乱入はないよな?

603: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:42:30.90 ID:f3MOVVtg0
感動してパンツはいたよ。

604: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:42:53.25 ID:jWBEjWT60
今はだれもいない部屋で 
一人・・?

605: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:43:37.37 ID:SBzO9ltG0
>>598、600、601 
ありがとうございます。 
>>599、604 
1の冒頭で“独り”と 
>>602 
ナイナイ(笑) 
>>603 
これから脱ぎます? 
―― 

ボクとミドリは、これで正式に? 付き合うことになりました。 
でもその後、彼女にはしょっちゅう、からかわれることになります。 

「告白したのは、ユーサクなんだからねー 
 どーしても私と付き合いたいって言ったから 
 付き合ってあげたんだからねー(笑)」 

何かある度にコレを言われるわけですよ。そう、ずっとね。

606: 忍法帖【Lv=20,xxxPT】(1+0:8) 2012/10/07(日) 01:43:43.61 ID:IDs4SB+x0
最初で最後の彼女と結婚 
そこまでのハッピーエンドを期待してもいいと思うんだ

607: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:43:46.41 ID:SyPZpVM60
>>604 
そこはオレも気になった

608: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:44:18.31 ID:SBzO9ltG0
以上が、ボクとミドリが付き合うまでの紆余曲折でした。 
次は、ちょっと進展した辺りを、短めに書いてみたいと思います。 

おまけみたいなもんですが、基本的にデレデレなので、そういう系が 
お嫌いな方は避けた方がいいと思います。

609: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:44:41.29 ID:5WBtBS9M0
パンツ脱いだ

610: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:44:48.08 ID:+UqtyHix0
最初に独りみたいな記述があったからなー…

611: 忍法帖【Lv=20,xxxPT】(1+0:8) 2012/10/07(日) 01:45:33.28 ID:IDs4SB+x0
デレデレもいいけど 
今に至るまでミドルとの関係とか聞いてみたい

612: 名も無き被検体774号+ 2012/10/07(日) 01:45:36.33 ID:fc4wulA50
俺の貞操帯は鉄壁だった

613: バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/07(日) 01:47:55.95 ID:SBzO9ltG0
>>606、607、609 
死んだりしませんから、その点はご安心ください。 
>>611、612 
高校生ですからね(笑) 


---------------おすすめ記事--------------------
日頃から私をいびる姑の介護を放棄したら夫に「お前は人間じゃない」と言われた。なので姑から受けた被害の記録を元に刑事告発&民事訴訟を起こしたら…

徒歩で役所に向かう道中で見かけた男が自転車屋の店頭に展示されてるキャラクター自転車を撮影してたんだけどこれ何かの罪に問えないの?ものすごくキモかったんだけど…

私に対する暴力が原因で同居解消に至ったのに「そろそろ頭も冷えただろうから戻ってきたら?」と旦那に言ったらしい義母に腹が立ってる。誰の頭が冷えたって?

ストレスで流産した私に無神経な事をした小姑が出産したのでお祝いに黒いリボン付きの真っ白のテディベアを贈った。「悪気はない」発言の夫には緑の紙。あの時の事忘れてませんよ。

「養育費は払わない」という念書を取り交わしたはずの元嫁から養育費の支払いを求める連絡がきて腹が立ってる。抱っこすら許してもらえなかった子供への愛情なんて無いんだが…

【閲覧注意】ある日、妹の部屋から母親の絹を裂くような悲鳴が聞こえてきた。私「(Gでも出たのかな…)」→妹の部屋に行ったら…

ルームメイトのA子の彼に招待されたネトゲでA子彼に馴れ馴れしく接するプレイヤーを発見。それを不貞行為だと判断してA子に伝えたら揉め事が起きてしまったのですが…

元旦那と離婚した数年後、再婚相手との間に娘が生まれた。それを共通の知人経由で知った元旦那と元義家族が意味不明な凸をしてきたんだけど…



1/4へ
2/4へ
4/4へ

引用元 男女間の修羅場を経験した話を書きますよ