762: 本当にあった怖い名無し 2013/06/18(火) AN:AN:AN ID:fy39kgUp0
お盆だし、親父の墓参りに行って来たついでに、
思い出した話をひとつ

うちの親父は俺が中学の終わりごろに亡くなった
しかし親不孝者なもんで、
親父の命日などほぼ覚えていない
(今年もすっぱり忘れてた)

それは10年以上前の、
親父の命日にあった出来事

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その年も案の定忘れてて遊びに出かけ、
確か夜10時過ぎくらいに帰ってきたと思う

玄関のドアを開けたら、家の中真っ暗。
オフクロはもう寝たのか、と思った矢先
「おかえりなさい。電気点けちゃ駄目よ」
と、台所のほうからオフクロの声が

763: 本当にあった怖い名無し 2013/06/18(火) AN:AN:AN ID:fy39kgUp0
なんでこんな真っ暗にしてんだよと言いつつ台所に向かうと、
水道からドバドバと水が流れて器に溜まる音がする
暗くて薄ぼんやりとしか見えないが、
どうやらオフクロは水道の前に立って
水を両手で受けているようだった

何してるのかと聞く前に、
オフクロはすっと横に避けて、
俺を水道の前に立つよう促した
「両手で水を汲んで。こぼさないようにしっかりとね」

とりあえず手洗いするつもりで水に手を突っ込むと
「そのまますくって。お家の中のどこかにいるから、
 探してちゃんと飲ませてあげてきなさい」
と、わけのわからないことを言う

正直頭の中???状態だったが、
穏やかな声なのに有無を言わせない迫力があって、
何故か逆らえなかった
探すって何を?と思いつつ、とりあえず両手で水を汲んで、
暗い中をそろそろと歩き出した

764: 本当にあった怖い名無し 2013/06/18(火) AN:AN:AN ID:fy39kgUp0
その答えはすぐにわかった

探すまでもなく、台所の冷蔵庫の横にうずくまっていたからだ
暗闇の中でもはっきりとわかるほど、真っ黒な人影
見た瞬間硬直した

飲ませてあげなさいってのは、
これのことか? これに水を飲ませてやれと?
頭が混乱してて、状況が全く理解できなかった
ただ、すぐ傍の台所に母親がいるわけだし、
不思議と恐怖は感じない
その黒い影に向かって、そーっと両手を差し出す

765: 本当にあった怖い名無し 2013/06/18(火) AN:AN:AN ID:fy39kgUp0
いきなりガシッ!っと両手首を掴まれて、
心臓が止まりそうになった
黒い影は俺の両手に顔を突っ込んで、
ぐびぐびと水を飲み干していく
その頭部を見て、
俺の両手首を掴んでる骨ばった掌の感触を思い出して
ああ、これ親父だ、と気付いた

後ろまで禿げ上がってて、
額の上のあたりに孤島のように髪の毛が残ってるこの頭部
そうか、今日は親父の命日だったっけなと、
そのとき初めて思い出した
その時点でもう恐怖はなかった

ただ、下を向いちゃいけない、
顔を見ちゃいけないと思い
(何故そんな風に思ったのかよくわからないが)
そのまま水を飲み終わるまでじっとしていた

766: 本当にあった怖い名無し 2013/06/18(火) AN:AN:AN ID:fy39kgUp0
ふっと、両手首を掴んでる感触が消えると、
もうそこに親父の姿はなかった
台所のオフクロの所に戻ると
「手首まできちんと洗いなさいね」
とだけ言われ、それに従った

手を洗い終わって、もう電気点けていいのか?と聞くと、
頷いたようなので台所の照明を点けた
明るくなった台所で、
オフクロはどこか呆けたような表情でしばらく立っていたが
ザバザバと水が流れる音にふっと我に返ったかのように

「なに水を出しっぱなしにしてるの! 勿体無い!」
いきなり怒鳴られた

「なんで部屋の電気消してるの。暗くて危ないでしょ!」
えー?

767: 本当にあった怖い名無し 2013/06/18(火) AN:AN:AN ID:fy39kgUp0
今のは何? 
うちの家系に伝わるなんか儀式的なものなの? 
等々質問攻めにしてみても
「あんた何寝惚けてるの?」
と、全く取り付く島も無い
知らぬ存ぜぬを決め込んでいる風にも思えないし

そもそもうちのオフクロは
嘘が全くつけないというかつかない人間なので
どうも本気で自分がしてたことを覚えていないらしい

もしかして親父、喉渇いてたのかなと思い、
翌朝日が昇る前に墓参りに行ってみた
墓石の前に置いてある湯飲みが、
風で吹き飛ばされたのか地面に落ちて割れていた
多分そうなんじゃないかなーと予想していたので、
代わりの湯飲みに水を汲んで置いてきた

おしまい

769: 本当にあった怖い名無し 2013/06/18(火) AN:AN:AN ID:4fjQKzs00
お母さんに何かよからぬモノがとりついて、
ヤバい奴に水を与えてしまったのでは?

770: 本当にあった怖い名無し 2013/06/18(火) AN:AN:AN ID:i0TCWsex0
>>767
ありがとう。
ちなみに両手を掴まれた時ってのは
体温を感じるものなの?

772: 本当にあった怖い名無し 2013/06/18(火) AN:AN:AN ID:fy39kgUp0
>>770
体温は感じなかったなー。
温かくも冷たくもなかった
ただ、生前の脂ぎった肌の感触はそのままだったから、
間違いなく親父の手だと判断できたよ

771: 本当にあった怖い名無し 2013/06/18(火) AN:AN:AN ID:p1iqI0NJ0
>>762
ほー、なかなか興味深い話だった。
死者は喉が渇くからお水をあげなさい、と聞くね。
事故現場とかでビールとか缶ジュースとか
フタも開けないでそのまま置いてる人けっこう居るけど
あれ、飲めないからね。開けてから置かないとね。
一番いいのはやはりコップに水らしいけどね。
何かが降りてきて大切なことをさせたり
言ったりするというのは時々あるようだけど、
実際に体験する人はそれほど多くないから知らない人が多いよね。
いいお母さんなんだな、と思いました。

772: 本当にあった怖い名無し 2013/06/18(火) AN:AN:AN ID:fy39kgUp0
>>771
この話思い出したのは、
連日の猛暑で墓石が木炭みたいに熱くなってたからなんだわ
桶で4〜5杯水ぶっかけないと、
触るどころか近づけないくらいジリジリと熱を放ってたからねぇ…
あれじゃあ中で眠ってる人間も、
暑くて干上がってしまいそうだ
お盆にはキンッキンに冷えたビールをお供えしてやろうと思ってる

773: 本当にあった怖い名無し 2013/06/18(火) AN:AN:AN ID:nCL2VgF10
施餓鬼というものだな
盆でもない命日に来たとなると余程困ってるだろうから
墓所に限らず自宅の仏壇,遺影の脇,なければ箪笥の上でも
毎日水を供えるようにしたほうがいいと思う


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